田村たかみつの気になるニュース

栗東市内関連の新聞記事のスクラップブックです

税収アップのため苦肉の策  栗東市の多額納税業者への優遇策

2003年12月18日 | 滋賀報知新聞
栗東市 「法的に問題はない」=県 「税の公平性が失われる」=

 栗東市は、企業誘致することで税収を上げようと、たばこ業者への事実上の優遇措置といえる「企業事業資金貸し付け条例」の改正案を市議会に提出した。市への納税額が七年間で六十億円以上を見込まれる企業に対して、振興資金五億円を交付する。栗東市は、類似した条例を平成十年に制定して税収を上げたが、総務省(旧自治省)から税体系をゆがめると指導を受けて、一年で廃止した経緯があり、今回も論議を呼んでいる。
 提案によると、これまで同市は、十年間で増税額が五十億円に達する企業に五億円を貸し付けてきた。改正案では、七年間で納税額が六十億円に達する企業に五億円を貸し付けるが、三年半で納税額が三十億円に達すれば振興資金二億五千万円を交付し、次いで六十億円になればさらに二億五千万円を交付するため、結局、借りた五億円の返済はチャラになる。
 これらの条件を満たすのは事実上たばこ業者しかない。市町村たばこ税は、小売り業者が所在する自治体に納められる仕組みになっている。振興資金目当てに企業が集まれば、その分、ほかの自治体の税収減につながると懸念されている。
 同市(当時栗東町)は、同じ性格の条例「企業誘致条例」を平成十年七月に施行し、一年後に廃止している。タバコ業者が町内に営業所を開けば、売り上げ高の五%にあたる奨励金を交付するものだが、奨励金目当てに大阪市からたばこ小売り業者が進出し、たばこ税は約三・五倍に増えた。
 ところが、これが他の自治体の税収が落ち込む事態を招き、総務省(旧自治省)が「他を犠牲にして栗東だけが潤おう節操なき増収」として、▽一部業者への公金支出は不適切▽他の自治体への影響が大きい▽税体系が崩れる恐れ│を理由に指導し、一年後の十一年六月に廃止された。
 今回の条例改正について平田善之市総務部長は、「地方分権や独自の町づくりが求められている時代に関わらず、国からの補助金がカットされる厳しい時代。現在の法制度の中で、市町村の税金を確保するのに許される性質のもの」と、違法性を否定している。条例は十年時限の措置で、二十二日の市議会本会議で可決されれば、来年一月一日から施行される。
 税の公益性などで問題を指摘している県の市町村振興課は、「たばこ税が一自治体に集中する事態になると、税の公平性が失われるなど、様々な問題を含んでいる。もし条例が成立すれば、廃止を含めて助言するしかない」としている。

最新の画像もっと見る