酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

招かれざる客って誰 (歩く?)プレイガイド

2012-03-23 09:40:51 | 大学演劇部の頃の話
プログラム。メッセージ。
恒例として「演出」そして「舞台監督」が、挨拶文を掲載させます。
上記、演出は「ある友人君」そして舞台監督は「いその君」。
ですが、本日の「くだまき」はこの二人が主役ではございません。
でもですよ。二十五年以上も前、広告を載せてくださいました下記のお店。
「まだあるのかや?」です。
特に、右下の「オリーブ」は、よく飯食いに行きました。
やはり?御髯を蓄えたマスターです。
ここの「オムライス」はおいしかったなぁ。
プログラムを作成するたびに、馴染のお店を回りました酔漢達でした。

「マスター。久しぶりだっちゃなや」
酔漢「唯梨庵」の扉を開きます。
まだ、唯梨庵が文化横丁にある頃でございます。
マスターは、以前コメントを頂戴しております「ひげ親父」様。
「酔漢君。本当久しぶりだねぇ。今日は一人?」
「一人だけんど・・一杯頂すかね!ボトル入ってったちゃね」
「残ってるよ。マルス。これだよね」
ボトルのマルスをストレート。それと、おかずは「ジャーマンポテト」。
店内は何時ものようにジャズが掛かっております。
「今日はおねげぇ事あってっしゃ」
「やっぱり?ポスター持ってるから・・これ店に貼るんだよね」
「なんだや。マスター分かったのすか?」
「酔漢君が紙包み持ってるから・・・今度の寄席?」
「今度は寄席ではねぇのっしゃ。芝居。演劇だすぺ!」
「『演劇』?やるの?」
「『落語』と『芝居』ばぁ、やってのっしゃ」
「あれ?いつから?」
「福祉大さぁ演劇同好会創ってっしゃ。俺もそのメンバーだっちゃ」
以前も語りましたが、宮城教育大学「みかみ」君は、演劇部から落研に入った変わり種。(おめぇ=酔漢→も、おんなしでねぇか)
「ポスター貼ればいいんだよね」
「おねげぇしてもいいすか?」
というわけで、暫らく唯梨庵の入口。階段を上がったすぐに貼って頂きました。

今、「招かれざる客」は本番中です。
これは、公演開始直前の僕らの会話。
受付をしてます「まき」ちゃんから楽屋に連絡です。
「先輩!大変です!」
「おい、本番直前でトラブルはなしだぜ」と、いその君。
「違うんですよ!お客さんが一杯来てるんですぅぅ」
「え?その・・どこが大変なのよぉ!」おおた君。
「だって・・・・そのぉぉ・・家の芝居ってそんなに人気があったかなぁぁ・・・って?」
「ああ・・・チケットだけは、売りに売ったからな!」平然と答える「猫写真家」君。
「おまぇと、みずま(刑事役)、それとロコちゃんは『歩くプレイガイド』って呼ばれて・・・」
「『猫写真家』には言われたくない!お前が一番売ったんだ!」

僕らが一体どうやってチケットを売ったのか。
これは、日ごろの友人関係と無関係ではないのです。が。
彼ら、彼女の場合は、まったく別なセールスをしておりまして・・。

因みに酔漢の場合。
落語の連中を中心に売った訳です。
「あん好さん!落語止めるの?」
「まさかぁぁ!おらいから落語取ったら何になるのすか!」
「だって、これは演劇のチケットでぇぇ」
東北学院大学落語研究会の歴々。
「出来るん・・・・ですか?」
「まぁやるのは・・やんだけんど・・」
「あん好さんの芝居・・・出て来たとたんに出囃子が流れて・・・」
「あのなぁ。アガサクリスティーの芝居に出囃子は流れない!」
「えっつ?これってホントウの・・・オシバイ?」
「冗談だと思ったのすか?正真正銘の演劇。しかも『さすぺんす』だべ!」
「これ、なんか後から笑えそうだと・・」
「それはナイ!」
という感じで、興味本位?かもしれませんが、5枚程買っていただきまして・・。
宮城教育大学落語研究会の面々。そして同大学演劇部面々。と言うように、酔漢が所属しております団体を中心にセールスしていたわけです。
ですから、まったく自分の事を知らない人達には売りつけて(言葉が過ぎておりますが・・・)おりませんでした。
なんやかやで40枚位のチケットを売りました。

ところが「みずま」君の場合は違っていて・・。
例えば、仙石線車中。(かれは石巻からの通学でした)。
OLさんや女子大生を見かけては・・。
「酔漢、俺ちょっくら行ってくっから」と姿を消しますと。
「おめぇ、苦竹から多賀城まで何やってたのすか?」
「うん!チケット売って来た!10名に話しして、4枚売って来た!」
「本当すか!なじょして・・・」
「世間話して、ナンパじゃない!ってしっかりアピールして。芝居やってるって話して・・・それで売った」
これはまさに天才的。天武の才!。
しかして、彼は今、東京のど真ん中で呉服屋さんの店長をしております。・・流石です。
そんなかんやでかれこれ100枚近く捌いております。

「猫写真家」君は学内での活動が中心。
通りすがりの学生や、例えば一週間に一回しか授業で出会うことのない奴らに。
「あのさぁぁ。今度家の演劇同好会が公演するんだけどさぁぁ・・・見に来ない?」的なソフト調のアプローチ。
(この口調に騙された?輩が何人いたのだろうかぁぁ・・・)
と、上記のように語りますと。本人から連絡がありそうで・・・(くだまき視聴者でございます故・・・)
公演終了後、学生食堂内で。
「おい『猫写真家』。今度は何のチケット売ってんだ!」と声かけられて・・。
「知った奴すか?」との酔漢の質問に。
「何かの授業で見かけたことはあったけどぉぉ。あんまし覚えてないなぁ。チケット売ったけ?かぁ?」
と、本人はお忘れのご様子で。
と言うわけで、猫写真家君も数百枚の販売。

ロコちゃんの場合。
「ちょっと!ちょっと!」と後輩連中を捕まえて・・。
「ポスター見た?」
「先輩なんですか?」
「えっつ?見てないの?演劇同好会公演のポスターよ!」
「知ってはいましたけどぉぉ」
「だったら暇?見に行ってもいいよ!」
「『見に行っても』って言われても・・・」
「じゃあぁ。ここにチケットあるから!1枚1000円。前売りだと安いよ!」
てな具合で数百枚完売。

せっちゃんの場合。
授業の開始前。早めに入る彼女。
「ねぇ。お芝居って興味ある?」
「えっつ?まぁ・・・」
「やったじゃん!そういう人探してたんだぁぁ」と満面の笑顔。(ワンレンの彼女の笑顔は・・横浜生まれの横浜育ちだしぃぃ・・・)
「少しでも興味あったら。お芝居見た方がいいよ!面白いって・・・私?私が出るわけないじゃん!」(威張っていうなぁぁ)
という半強制的、ソフト調で数百枚。

結果。あの戦災復興記念館大ホールがほぼ満員。
「奇跡だぁ!とは言え・・当然と言えば当然の結果・・だったような・・・」最後に「ある友人」君の言葉。
「優秀な役者はいなかったけど、優秀なセールスマンは揃っていた」とは、猫写真家君の台詞。
満員近い観客の中で芝居が出来る事は緊張もしましたが。
ガラガラよりははるかに気持ちのいいものでした。


ジャン そうさ!ぼくだけの秘密さ!だれも僕がどんな人間だか知らない。僕は危険なんだ!みなん気をつけるがいい。僕はきけんなんだからな!
ベニー リチャードはあなたがどんなに危険だか知らなかった。きっと驚いたでしょうね。
ジャン そうさ、仰天していた。鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してさ。それから、頭ががっくりとたれて、血が噴き出して、彼は動かなくなった。思い知らせてやったんだ!ぼくが思い知らせてやったんだ。もう僕を施設に送るわけにはいかないぞ!
ベニー そんな必要はないわ。あなたは利口だもの。警察は絶対に疑ったりはしないわ。
ジャン 馬鹿警察!馬鹿な老いぼれリチャード。
警部 追え!急ぐんだ!

最終幕近く。
ふと、袖から客席を観ますれば・・親父殿目を覚ましているようで、芝居を見ております。
「いびき・・・聞こえないな」
「家の親父もみってぺさ」
案外、見入っておりました、我が親父殿でございました。

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1 コメント

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Unknown (ロコ)
2020-01-07 19:42:37
私、あの時チケット100枚くらい売っちゃいましたよ🎵うふふ
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