お試しセット

　年末年始に必要な酒を調達すべく機会あるごとに物色していた。何故なら、混み合う年末年始に無用な外出を極力避けたいからだ。ならば、普段呑みの紙パック焼酎でいいようなものだけど、この時ばかりはちょっと趣向を変えてみたいと思っていた。といっても、値段ばかり高いモノなんては手が出ないし、気持ちが向かない。普段が焼酎だから日本酒かワインがいいところ。コストから言ったら日本酒なのだけどワインも悪くない。まぁ、ワインといったところでおでんをアテにして呑むくらいだからテーブルワインクラスで十分なのだ(笑)。
　そんななか、お試しセットという６本入りボックスのワインに遭遇。参考上代価格から４割ほど安くなっている。さらに、年末セールとかで１割引きになる。すると、驚くなかれちょっと背伸びしなくとも普通に手が届く予算内で買える。どうせ一ヶ月に６本くらいは買っているのだから先買いしても年末年始だから何の文句があるというのか。
　スッカラカンの懐から金ウン千ウォンをかき集めてポンと払った。値段こそ安く買えたけど、ちょっと贅沢できるなとの期待感を抱きながら６本入りの箱を持ち帰っていざ開封。そうしたら、何と熱が籠もっているではないか。瓶も生暖かい。店内の暖房のせいだろう。それが連日一日10時間ちかく晒されていたのかと思うと、ヤバイなと同時にもしかしたらすべて味が落ちてしまっているのかと。安さばかりに目がいって、肝心な保存状態のことまで考える余裕が飛んでいたのだった。