平成20年11月2日(日)
尾白山1,398m、丸山(古町丸山)1,488.4m
3年前の丁度今頃、御前ヶ岳と大博多山の2山に登ってまだ昼前。充分時間があったから、大博多山の登山口を探していて目に付いた『尾白山登山口』という標柱に誘われ、何の資料も持たずに登りだした。ところが、この辺りの山は2時間もあれば登れてしまうだろうと高をくくっていたら、次第に薮が出てきて厳しい登りになり、ついには登る先にまたその先の山が現れるといった有様で、とうとうギブアップのリタイアとなった。家に帰って、『会津100名山ガイダンス』という本を見たら、尾白山(おじらやま)は道のない超上級?の山と言うことになっていた。超上級はともかく、そう簡単に登れる山では無いようだ。まして、2山登って『はしご』のついでに登れる山ではなかったと言うことらしかった。
その後、福島登高会のHPにこの山のガイドが出ていた。地元で刈り払いをして、登山道を整備しているらしく、薮こぎをしなくても登れるということだった。ぼくが登ったのは、このレポートから3年も経っていたのに、その年は薮払いを途中までしかしなかったのだろうか?あの時、1,179mピークまでは確かに刈られていたが、その先は薮に埋まっていた。その後はなかなか機会もなく、尾白山は登れないままになっていた。次に登る機会があれば、ぜひその先の25,000図に標記がある丸山まで行ってみたいと思っていた。
去年、しぼれさんが尾白山に登ってレポを書いている。それによれば、薮もなく登れたと言うことだった。懐かしい?古町を見下ろす写真が載っていた。さて、最近『きままなノラの山歩き』のノラさんが何度か尾白山に登って、丸山を目指したというレポを読み、敗退したままの尾白山へ行く決心をした。ノラさん程の薮もぐりの達人でも、丸山は敗退したというから、そうそう簡単には登れないようだ。地図・GPS・赤テープと、薮漕ぎ用の革手、銃砲店で買ったハンター用帆布製の丈夫なスパッツ(ゲイター)と念入りな準備をし、3連休の中日(2日)に決行することにした。1日は例のごとく…部活の送迎運転手だったので。
1日の夜に家を出た。3連休中とは言え、混雑する日光を通過するのも夜だから、全く問題ない。3時間走って、古町(旧伊南村・現南会津町)から橋を渡り、小塩集落の辻にある例の『尾白山登山口』から滝倉沢川沿いの林道を奥に入る。舗装路が終わり、大きな水たまりだらけのダートを1㎞程で、車が数台停められるスペースがある『尾白山登山口』に着いた。3年ぶりだが、様子はあの時と変わらない。登山口と書かれた標柱がやや古びたぐらいか?満天の星空で、さすがに会津の空は明かりが少なくて星がきれいだ。今夜は冷え込んでいるらしい、既に外気温は氷点下になっている。アラームを6時にセットして冬用のシュラフに潜った。
寒くてアラームが鳴る前に目が覚めていた。薄明るくなってきて支度を始めていると、軽ワゴンが一台やって来た。降りてきて何か聞きたいらしい?窓を開けると、大博多山へ行く道はこれで良いのか?と尋ねられた。大博多山へは山一つ向こうの林道を奥に入るのだと教えた。大博多山は最近人気なので、人が多いでしょうね。と言ったら、その方は「それは良かった」と言って去っていった。人が多い方がいい人もいるんですね。なるほど…。
パンを食べて支度を済ませ、6時20分に登山口から杉林の中に入る。道はきれいに刈り払われて歩きやすい。右手に折れ、しばらくどこかの古刹の庭のような杉林を歩き、滑りやすい水が出た急な登りになる。このまま3回程、もの凄い急斜面を登ってやや平坦な道から斜面のトラヴァースというのを繰り返し、1,179標高点まではかなりの急登が続く。周囲はブナやカエデの落葉樹林になり、黄や赤に染まって秋色の盛りだ。さわやかな快晴の秋山を気分良く登っていく。この急な登りは良く覚えている、3年前は駆け足?で登っていった道だ。その時は周囲の笹を刈り払ったばかりといった様子で、道の上に笹の葉が敷き詰められていた。1,179標高点から先はその刈り払いも無くなり、薮をかき分けてになった。
宮沢登山口分岐点を7時08分に通過。前回は無かった立派な木製の標柱が立っていた。宮沢登山口の方がメインなのだろうか?ちょっと覗いたら、そっちの道の方が人が歩いているらしい形跡があった。尾根に上がり、この先は樹林越しに南方の山々や行く手の1179標高点やその先の1278ピークが見えてくる。前回はここからそれを見て遠さに唖然とした記憶がある。1278ピークのもっと先にピークが見え、更にその先の丸山を山頂と勘違いして敗退したのだった。
林野庁の境界見出標が木にくくりつけられた1179標高点まで登ると、登りは一段落し、尾根は南西に屈曲する。木々の切れ間から向かいの大博多山が大きく望まれる。きっと、あそこは人が沢山だろうなあ。ブナの巨木が目に付くようになると、緩い登りがしばらく続き右手に丸山が意外に近く見えてくる。あそこまで行けるだろうか…。
ずっと歩きこなれた登山道が続いている。尾白山もこうして歩きやすい登山道が出来ると、そのうち大博多山と同じように人が来る様になるのだろう。この辺りになると、木々はほとんど葉を落とし、わずかにモミジだけが赤い葉を残していた。次第に急になり尾根は細くなる。大分周囲が良く見えるようになってきた。特に東側は古町を見下ろす懐かしい?眺め。その伊南川沿いの街並みの上には、砲弾の様な形の唐倉山やぽこぽことした会津らしい丸い山々、北にはどこまでも平らなテーブルマウンテンがある。このテーブルマウンテンは駒止湿原だ。南の方には遠くは日光の女峰山や太郎山、その手前の田代山や枯木山・荒海山等の県境の山があり、手前に大嵐山や佐倉山などが見えていた。
前回リタイアした1,278mピークを通過すると、その先に雪崩で磨かれた岩肌を見せる小ピークとロボット雨量計があるピークの先に尾白山が姿を現した。ここから見上げてため息をついた所だ。その更に先に丸山が頭を出している。この辺りから、東や南の斜面には高い木が無くなり、尾根が痩せて素晴らしい展望が続く。岩混じりの鋭峰を8時36分に通過。少し下って上り返した先がブロック造りのロボット雨量計小屋があるピーク。もう山頂は目と鼻の先。南に広く眺めがあり、西の遠くには雪を頂いた三岩岳が見えてくる。大博多山は、もうここより低く見える。
南の宮沢入川に下る斜面は、雪に磨かれた襞も細かく、紅葉した木々で赤く彩られて美しい。北の金山沢に下る岩場が点在する派生尾根が高まった所が尾白山本峰で、その手前が山頂標識がある尾白山だ。9時10分に尾白山頂着。2時間50分掛かった。写真を撮りながらゆっくり登ってきたから、一生懸命登れば2時間半で登れるだろう。この『尾白山山頂』の木製標柱があるピークの先に地図の1,398m峰があり、真の尾白山山頂はこちららしい。しかし、麓の古町からはこの1,398mピーク(本峰)は見えないから、地元で言う尾白山とは標柱が立つこのピークのことだろう。
さて、狭い尾白山山頂で周囲の展望を楽しみ、いよいよ丸山に向かって9時43分に薮をかき分けて出発する。一旦少し下り、薮をかき分けて登り返したピークが1,398m峰で、こちらが尾白山本峰。周囲は木々に囲まれて展望はない。ここまでは薮を刈った跡があったが、この先は刈り払いのないルートになる。
丸山薮往復の記録はこちら
その1
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811040000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811040001/
15時30分に尾白山頂着。古町の街並みが、やや薄暗くなった伊南川沿いの山間に見えた。スパッツはずり落ち、靴ひももほどけているから、ここで直す。しかし、どうにか明るい内に登山道のあるところまで戻ってこれたので一安心だ。15時43分に尾白山頂を下る。薮のない登山道はなんて歩きやすいのだろう。で、もうルンルン気分。
坦々と降りていくが、1,179m標高点から最後の尾根を下っていくと、段々足元も薄暗くなってきた。古町に明かりが灯りだした。最後の急な下りはすっかり暗くなり、足元も良く見えなくなった。ヘッドランプを出すのも面倒なので、そのまま暗い道を足探りで下って17時19分に登山口に戻ってきた。どうにか無事に帰れたが、この時期に丸山往復は時間的には厳しいと感じた。
帰りは、木賊温泉の共同浴場『広瀬の湯』に浸かって疲れを癒した。両足脛と右腿は打撲で腫れ、膝や腿、腕には多数のひっかき傷ができていた。でも、温泉のお湯に浸かっていると、なんとも充足して気分が良かった。入浴後は山王峠手前のコンビニで粗末な夕食を済ませ、連休中とは言え、時間的には空いた道を帰路についた。家には9時過ぎに着いた。
=コースタイム=
小塩登山口6:20→1,179標高点7:47→1,278mピーク8:29→9:10尾白山頂9:43→尾白山本峰9:50→1,375m峰10:25→10:40五葉松ピーク(1,370m峰)10:52→丸山直下11:40→12:09丸山山頂(三角点)12:16→12:22雨量観測小屋12:40→丸山三角点12:47→14:23五葉松ピーク(1,370m峰)14:39→尾白山本峰15:23→15:30尾白山頂15:43→宮沢口登山道分岐16:52→17:19小塩登山口
(今回の感想)
今回、登り損ねていた尾白山と丸山(古町丸山)に登ったが、尾白山は登山道もでき、すっかりハイキングコースだった。しかし、途中の尾根からの展望といい、山頂の佇まいといい、会津でも一級の名山だと思う。前回古町から見上げたこの山は、下から見ても大変立派で姿形も良いし、25,000図に無記名ながら、今後は次第に知られて登山者も増えるだろう。隣の大博多山クラスになるのも遠くないだろう。少し寂しい気もするが…。(ヒトケのない山が少なくなるから)
丸山(古町丸山)は、残雪期以外は全く人が入らない山のようだ。残置テープ等のマーキングを一切見なかったから、残雪期でも人は余り入らないようだ。そう言った意味で言えば、ヒトケも少ない秘峰といえるが…。薮は尋常ではない。こんな薮は初めてだった。やはり、残雪期に登る山という認識が妥当だろう。楽しみにしていた山頂は、『山上の楽園』ではなかった。そこもまた、猛烈な薮の原だった。とは言え、こんな山だからこそ、登ろうとする人もいるだろう。
ぼく的には、今後これ以上の薮山はなかなかお目にかかれないだろうという気持です。
=参考=
丸山までの概念図を載せました。物好きな方はどうぞ…
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811050000/
尾白山1,398m、丸山(古町丸山)1,488.4m
3年前の丁度今頃、御前ヶ岳と大博多山の2山に登ってまだ昼前。充分時間があったから、大博多山の登山口を探していて目に付いた『尾白山登山口』という標柱に誘われ、何の資料も持たずに登りだした。ところが、この辺りの山は2時間もあれば登れてしまうだろうと高をくくっていたら、次第に薮が出てきて厳しい登りになり、ついには登る先にまたその先の山が現れるといった有様で、とうとうギブアップのリタイアとなった。家に帰って、『会津100名山ガイダンス』という本を見たら、尾白山(おじらやま)は道のない超上級?の山と言うことになっていた。超上級はともかく、そう簡単に登れる山では無いようだ。まして、2山登って『はしご』のついでに登れる山ではなかったと言うことらしかった。
その後、福島登高会のHPにこの山のガイドが出ていた。地元で刈り払いをして、登山道を整備しているらしく、薮こぎをしなくても登れるということだった。ぼくが登ったのは、このレポートから3年も経っていたのに、その年は薮払いを途中までしかしなかったのだろうか?あの時、1,179mピークまでは確かに刈られていたが、その先は薮に埋まっていた。その後はなかなか機会もなく、尾白山は登れないままになっていた。次に登る機会があれば、ぜひその先の25,000図に標記がある丸山まで行ってみたいと思っていた。
去年、しぼれさんが尾白山に登ってレポを書いている。それによれば、薮もなく登れたと言うことだった。懐かしい?古町を見下ろす写真が載っていた。さて、最近『きままなノラの山歩き』のノラさんが何度か尾白山に登って、丸山を目指したというレポを読み、敗退したままの尾白山へ行く決心をした。ノラさん程の薮もぐりの達人でも、丸山は敗退したというから、そうそう簡単には登れないようだ。地図・GPS・赤テープと、薮漕ぎ用の革手、銃砲店で買ったハンター用帆布製の丈夫なスパッツ(ゲイター)と念入りな準備をし、3連休の中日(2日)に決行することにした。1日は例のごとく…部活の送迎運転手だったので。
1日の夜に家を出た。3連休中とは言え、混雑する日光を通過するのも夜だから、全く問題ない。3時間走って、古町(旧伊南村・現南会津町)から橋を渡り、小塩集落の辻にある例の『尾白山登山口』から滝倉沢川沿いの林道を奥に入る。舗装路が終わり、大きな水たまりだらけのダートを1㎞程で、車が数台停められるスペースがある『尾白山登山口』に着いた。3年ぶりだが、様子はあの時と変わらない。登山口と書かれた標柱がやや古びたぐらいか?満天の星空で、さすがに会津の空は明かりが少なくて星がきれいだ。今夜は冷え込んでいるらしい、既に外気温は氷点下になっている。アラームを6時にセットして冬用のシュラフに潜った。
寒くてアラームが鳴る前に目が覚めていた。薄明るくなってきて支度を始めていると、軽ワゴンが一台やって来た。降りてきて何か聞きたいらしい?窓を開けると、大博多山へ行く道はこれで良いのか?と尋ねられた。大博多山へは山一つ向こうの林道を奥に入るのだと教えた。大博多山は最近人気なので、人が多いでしょうね。と言ったら、その方は「それは良かった」と言って去っていった。人が多い方がいい人もいるんですね。なるほど…。
パンを食べて支度を済ませ、6時20分に登山口から杉林の中に入る。道はきれいに刈り払われて歩きやすい。右手に折れ、しばらくどこかの古刹の庭のような杉林を歩き、滑りやすい水が出た急な登りになる。このまま3回程、もの凄い急斜面を登ってやや平坦な道から斜面のトラヴァースというのを繰り返し、1,179標高点まではかなりの急登が続く。周囲はブナやカエデの落葉樹林になり、黄や赤に染まって秋色の盛りだ。さわやかな快晴の秋山を気分良く登っていく。この急な登りは良く覚えている、3年前は駆け足?で登っていった道だ。その時は周囲の笹を刈り払ったばかりといった様子で、道の上に笹の葉が敷き詰められていた。1,179標高点から先はその刈り払いも無くなり、薮をかき分けてになった。
宮沢登山口分岐点を7時08分に通過。前回は無かった立派な木製の標柱が立っていた。宮沢登山口の方がメインなのだろうか?ちょっと覗いたら、そっちの道の方が人が歩いているらしい形跡があった。尾根に上がり、この先は樹林越しに南方の山々や行く手の1179標高点やその先の1278ピークが見えてくる。前回はここからそれを見て遠さに唖然とした記憶がある。1278ピークのもっと先にピークが見え、更にその先の丸山を山頂と勘違いして敗退したのだった。
林野庁の境界見出標が木にくくりつけられた1179標高点まで登ると、登りは一段落し、尾根は南西に屈曲する。木々の切れ間から向かいの大博多山が大きく望まれる。きっと、あそこは人が沢山だろうなあ。ブナの巨木が目に付くようになると、緩い登りがしばらく続き右手に丸山が意外に近く見えてくる。あそこまで行けるだろうか…。
ずっと歩きこなれた登山道が続いている。尾白山もこうして歩きやすい登山道が出来ると、そのうち大博多山と同じように人が来る様になるのだろう。この辺りになると、木々はほとんど葉を落とし、わずかにモミジだけが赤い葉を残していた。次第に急になり尾根は細くなる。大分周囲が良く見えるようになってきた。特に東側は古町を見下ろす懐かしい?眺め。その伊南川沿いの街並みの上には、砲弾の様な形の唐倉山やぽこぽことした会津らしい丸い山々、北にはどこまでも平らなテーブルマウンテンがある。このテーブルマウンテンは駒止湿原だ。南の方には遠くは日光の女峰山や太郎山、その手前の田代山や枯木山・荒海山等の県境の山があり、手前に大嵐山や佐倉山などが見えていた。
前回リタイアした1,278mピークを通過すると、その先に雪崩で磨かれた岩肌を見せる小ピークとロボット雨量計があるピークの先に尾白山が姿を現した。ここから見上げてため息をついた所だ。その更に先に丸山が頭を出している。この辺りから、東や南の斜面には高い木が無くなり、尾根が痩せて素晴らしい展望が続く。岩混じりの鋭峰を8時36分に通過。少し下って上り返した先がブロック造りのロボット雨量計小屋があるピーク。もう山頂は目と鼻の先。南に広く眺めがあり、西の遠くには雪を頂いた三岩岳が見えてくる。大博多山は、もうここより低く見える。
南の宮沢入川に下る斜面は、雪に磨かれた襞も細かく、紅葉した木々で赤く彩られて美しい。北の金山沢に下る岩場が点在する派生尾根が高まった所が尾白山本峰で、その手前が山頂標識がある尾白山だ。9時10分に尾白山頂着。2時間50分掛かった。写真を撮りながらゆっくり登ってきたから、一生懸命登れば2時間半で登れるだろう。この『尾白山山頂』の木製標柱があるピークの先に地図の1,398m峰があり、真の尾白山山頂はこちららしい。しかし、麓の古町からはこの1,398mピーク(本峰)は見えないから、地元で言う尾白山とは標柱が立つこのピークのことだろう。
さて、狭い尾白山山頂で周囲の展望を楽しみ、いよいよ丸山に向かって9時43分に薮をかき分けて出発する。一旦少し下り、薮をかき分けて登り返したピークが1,398m峰で、こちらが尾白山本峰。周囲は木々に囲まれて展望はない。ここまでは薮を刈った跡があったが、この先は刈り払いのないルートになる。
丸山薮往復の記録はこちら
その1
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811040000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811040001/
15時30分に尾白山頂着。古町の街並みが、やや薄暗くなった伊南川沿いの山間に見えた。スパッツはずり落ち、靴ひももほどけているから、ここで直す。しかし、どうにか明るい内に登山道のあるところまで戻ってこれたので一安心だ。15時43分に尾白山頂を下る。薮のない登山道はなんて歩きやすいのだろう。で、もうルンルン気分。
坦々と降りていくが、1,179m標高点から最後の尾根を下っていくと、段々足元も薄暗くなってきた。古町に明かりが灯りだした。最後の急な下りはすっかり暗くなり、足元も良く見えなくなった。ヘッドランプを出すのも面倒なので、そのまま暗い道を足探りで下って17時19分に登山口に戻ってきた。どうにか無事に帰れたが、この時期に丸山往復は時間的には厳しいと感じた。
帰りは、木賊温泉の共同浴場『広瀬の湯』に浸かって疲れを癒した。両足脛と右腿は打撲で腫れ、膝や腿、腕には多数のひっかき傷ができていた。でも、温泉のお湯に浸かっていると、なんとも充足して気分が良かった。入浴後は山王峠手前のコンビニで粗末な夕食を済ませ、連休中とは言え、時間的には空いた道を帰路についた。家には9時過ぎに着いた。
=コースタイム=
小塩登山口6:20→1,179標高点7:47→1,278mピーク8:29→9:10尾白山頂9:43→尾白山本峰9:50→1,375m峰10:25→10:40五葉松ピーク(1,370m峰)10:52→丸山直下11:40→12:09丸山山頂(三角点)12:16→12:22雨量観測小屋12:40→丸山三角点12:47→14:23五葉松ピーク(1,370m峰)14:39→尾白山本峰15:23→15:30尾白山頂15:43→宮沢口登山道分岐16:52→17:19小塩登山口
(今回の感想)
今回、登り損ねていた尾白山と丸山(古町丸山)に登ったが、尾白山は登山道もでき、すっかりハイキングコースだった。しかし、途中の尾根からの展望といい、山頂の佇まいといい、会津でも一級の名山だと思う。前回古町から見上げたこの山は、下から見ても大変立派で姿形も良いし、25,000図に無記名ながら、今後は次第に知られて登山者も増えるだろう。隣の大博多山クラスになるのも遠くないだろう。少し寂しい気もするが…。(ヒトケのない山が少なくなるから)
丸山(古町丸山)は、残雪期以外は全く人が入らない山のようだ。残置テープ等のマーキングを一切見なかったから、残雪期でも人は余り入らないようだ。そう言った意味で言えば、ヒトケも少ない秘峰といえるが…。薮は尋常ではない。こんな薮は初めてだった。やはり、残雪期に登る山という認識が妥当だろう。楽しみにしていた山頂は、『山上の楽園』ではなかった。そこもまた、猛烈な薮の原だった。とは言え、こんな山だからこそ、登ろうとする人もいるだろう。
ぼく的には、今後これ以上の薮山はなかなかお目にかかれないだろうという気持です。
=参考=
丸山までの概念図を載せました。物好きな方はどうぞ…
http://plaza.rakuten.co.jp/sirabiso/diary/200811050000/
あさぎまだらさん こんばんは。藪地獄の記録を読ませていただきました。いや凄いな!の一言。記録読んでても藪に蒸せます。
普通降りは株立ちブナでも相当登りよりは楽なのですが。袴腰山がそうでした。あそこはブナの間に根曲がりがないので少し見通せます。おそらく県境尾根への藪はもっと楽です。株たちブナは何とかもぐって通れます。それより帰りのここで帰れなかったら遭難だ!は一度降りのルートを間違ってありました。よーくわかります。修正したいけどどんどん下ってしまうってあるんです。しかしこの藪は戻るときに景色見えなかったらGPSないと難しいですね。この記録読んでこのあと行く人いるのかな?
山頂の小屋って放棄されたものなんですね。あの小屋たてた時はヘリで行ったのでしょうか?疑問は尽きないですが。ありがとうございました。
概念図も付けましたので参考にして頂ければ幸いです。
ところで、雨量観測小屋ですが、写真を見て頂ければ判ると思いますが相当に年数が経っています。おそらく建設した当時は、林道が通じる金山沢方面から作業道でも有ったのではないかと思います。尾白山経由の道はあり得ませんね。中に残っていた観測機器類?は以外に新しそうでした。まだ使えそうなものも有りそうです。ですから、最初に小屋を別の目的で作って、後から雨量観測小屋として使用したのかもしれません。あくまで推測ですが…。
この小屋以外には行きも帰りも、尾白山から丸山まで人工物は一切見ませんでした。
株立ちブナとネマガリの混合薮は初体験でしたが、
正直言って、こんなひどい薮は経験ありません。
その上、旨く薮を漕いだと思ったとたん、ザックや頭に絡んだツルや蔦に引きずり倒されるのには閉口でした。そうして、薮の中に倒れされると、今度は起きあがるのも困難なトラップの様なブナの細枝に掴まります。
でも、これを読んで益々闘志が湧いて無雪期の丸山を目指す人はきっと居ると思います。
ぼくも、ノラさんの記録を読まなければ、今回ここに向かわなかったと思います。
ただ、頂上に着いて、そこがジャングルのような猛烈な薮の原だったのを目にした時は、さすがにへたり込みそうになりました。もっとも、へたり込む所もなかったのですが。
GPSは復路の1370峰で電池切れになって使えなくなりました。準備が甘かったですね。
まさに脇道ですね。藪地獄・トラップ藪ということばを初めて聞きました。やはり時間の長い時に心してプラスGPS必携、途中撤退を躊躇せずに「こわいもの見たさ」にでしょうか。
レス遅れて済みません。
確かに尾白山から直ぐそこに見える丸山は、
いかにも簡単に行けそうです。でも、道がないこの付近の薮山は尋常じゃないですね。
①多雪であること
②標高が低いこと
③地形がなだらかなこと
この3つが、見た目と違って辿りがたい薮山にしているのだと思います。
正当に考えれば、残雪期の山ですよ。
雪のない時に登ろうと思うのは矢張り『物好き』なのでしょう。
正におっしゃるとおり、コワイモノ見たさでした。