今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・鶏鳴山、笹目倉山

2013年12月26日 | 山登りの記録 2013
平成25年12月23日(月)
鶏鳴山961m、笹目倉山799.9m

 いよいよも今年も押し詰まってきた。連日の冬型で、周囲の山々は低いところでも積雪しているのが分かるようになった。赤城山は下の方まで真っ白になって、例年の1月頃の感じに見える。そんな訳なので、登れる山も大分限られてきた。こうなると、のんびり歩けるのは冬でもほとんど雪が無い安蘇山塊方面くらいしかない。冬枯れの展望台から雪の積もった山々を眺めてこよう。安蘇山塊で未登の山はほぼ栃木の山なので、栃木の山のガイドブックをめくって眺めの良さそうなトコロを探し、鶏鳴山を選んだ。鶏鳴山だけでは昼でおしまいだから、鶏鳴山から笹目倉山まで、道は無いながら踏み跡があるらしいので笹目倉山まで行ってみよう。

 日曜の夜に家を出て、日光経由で鶏鳴山の登山口である旧今市のパークレイゴルフ場に向かう。途中、足尾から日足トンネル、日光市街付近までは積雪があるが、今市まで降りてくると雪も見えなかった。ゴルフ場の奥に林道が延び、その中居林道の途中から登山道が始まるらしい。林道の入口100m手前、ゴルフ場高架橋付近の駐車スペースに車を停めた。林道は一般車両進入禁止とのこと、林道入口にも2台ほどの駐車スペースがあった。星がまたたき、-3℃まで気温が下がり冷え込んでいる。夜の11時、明朝6時半に起きて7時過ぎの出発とし、直ぐにシュラフに潜った。

 6時半に起きるがまだ薄暗い。日の出はまだ遅くなっているところで、7時過ぎなくては日も出てこない。寒いので、直ぐにシュラフから出ずにゆっくりと起きて支度を始める。車は霜で真っ白になっていた。ゴルフ場の職員と思われる人の車が川の向こうにある職員駐車場?に何台か入っていった。パンを食べて7時20分に出発する。林道入口には『鶏鳴山』を示すようなものも無いが、林道への進入禁止を促す看板に「登山者は…」と記載がある。中居林道は未舗装ながら路面はフラットで良く整備されている。これは周辺が杉や檜の植林山で、枝打ちされた美林が広がって良く管理されているので、林道として現役ということなのだろう。途中の橋も架け替えの工事中で、工事の人が車でやってきてこれから工事を始める様子だった。入口には無かった鶏鳴の文字も、林道に入ると『鶏鳴山登山道』を示すプレートが点々と出てくる。志路手林道・鳴山林道の分岐を過ぎ、しばらく歩くと中居林道から鶏鳴山を示す標識に従って左に折れる。別荘みたいなログハウスを過ぎてしばらく行くと、林道入口から1.5kmくらいで林道と離れた。ここには鶏鳴山登山口の標識があり、尾根状になった杉の植林地をどんどん登っていく。併走する林道はしばらく上まで直ぐ下に続いていた。

 急な木の根混じりの登りを終えると、日光方面の山並みが木々越しに見えてくる。その上で再び荒れた林道と交差するが、ここはもう鶏鳴山の肩といっても良い地点で、『山頂まで12分』の小さなプレートが付いた階段状の登りになっていた。振り返ると月山が正面に見え、遠く宇都宮方面の市街地も見えていた。下からずっと杉や檜の植林ばかりで、この山は頂上付近の稜線を除いては、ほぼ全山植林の山だった。『12分…』のプレートからは木の根が出た一直線の急登になるが、この付近から積雪が出てくる。あまりに登りが急なので、道脇にはずっとロープが渡してある。雪が無ければ下りの時くらいしかロープの用は無いのだろうが、10cm程積もっている雪は硬く凍りつき、積雪後に歩いた登山者の靴跡がてかてかに凍っていて滑るので、ロープをたぐりながら慎重に登っていく。宇都宮の町が見下ろせる付近に山神の石碑がぽつんと立っている。

 木の根と岩混じりの急登で登り付いた所はもう頂上の一角、岩の上に南を向いて石祠や石碑が幾つも並んでいる。祠の中には山神らしい石像が鎮座するものもあった。石祠の前は幾つかの杉の木が邪魔だが、宇都宮市街や古賀志山方面の眺めが良く、遠くには筑波山がもやの向こうに浮かんでいた。石祠の裏に回ると、北西面は足尾から日光の山々がずらりと並んで大展望だった。視界に入るのは一番左が古峰ヶ原辺りで手前の山並みの向こうに袈裟丸のぎざぎざが見えている、そこから夕日岳や薬師岳、中善寺湖周辺の山があり、奥白根の右に大きく男体山、大真名子、女峰山が真っ白な山並みを見せている。しばらく写真を撮って眺めを楽しみ、雪の稜線を先に進むと、次の樹林に包まれたコブが鶏鳴山の山頂だった。9時41分に鶏鳴山山頂に着いた。三等三角点があり、周囲の木々には栃木100名山のものを始めとして幾つものプレートが競うよう付けられていた。雪の上で腰も下ろせなかったが、眺めの無いここで少し休んで、朝食べ残したアップルパイを食べながら紅茶を飲んだ。今日は風も無く、昨日の様に寒い日ではない。陽が当たる所にいれば、それなりに陽だまりの山が楽しめそうだが、ここは陽が指さないので寒かった。登りにかいた汗が背中で冷えてきて余計に寒い。

 9時56分に鶏鳴山を後に先に進む。鶏鳴山山頂からは雑木の稜線を少し進んで小さなコブを越えると、岩が混じる急降下になる。下ったところからまた急な上りを登り返すと947mピークで、ここまでは岩を縫って行く様な道だった。947mピーク付近からは雪も疎らになり、これを下って樹間から鋭く立ち上がる鶏鳴山を振り返る様になると雪も無くなって岩も見当たらなくなった。枯葉を踏む冬枯れののんびりハイクになる。日光連山が良く見えるポイントは、山頂からここまでで一箇所あったが、登って来た鶏鳴山や、これから向かおうとする笹目倉山がすっきりと見える所は全く無かった。行く手に木々の隙間から見える檜が覆う丸いピークが815mピークで周回するルートの下山道がここから降りている。檜に包まれた薄暗い815mピークに10時48分に着くと、下山道の小さな矢印プレートが木に付けられている。帰りはここから下の林道に降りる予定だ。

 そのまま稜線を南に直進する。所々に赤や黄のテープがあって、概ね稜線を忠実に辿るだけなので笹目倉山まで問題はなさそう。踏み跡も濃くはないが、結構人が歩いている感じにも見える。あるいは、登山者ではなく林業関係者かもしれない。綺麗に間伐され、手入れされた急な杉の植林斜面を下りきると、直ぐ下を走る林道が東側に見えた。杉の木はシカの食害を避けるために緑色の被覆資材が巻いてある。薮状の平地から(ここだけ薄い笹薮があった)踏み跡は西に回りこんでいる。東側の植林されたばかりの斜面は、柵が廻らされネットが張られて入れないようになっていた。この辺りのルートは不明瞭だが、良く見るとテープもあり右手に大回りして更に斜面を下る。再び登り返して小さなピークからまた急激に下っていく。行く手には、幾つかのコブを見せる山が高くシルエットになって近づいてきた。これが笹目倉山の様だ。600mの最低鞍部手前のコブ付近でルートを見失うが、踏み跡が薄いので、引き返して正規のルートに戻った。最低鞍部の先には947mピーク下にあったのと同じ様な小さな石祠があった。祠の先から今度は急な登りに変わり、相変わらずの杉林をどんどん登っていくと上に社殿が見えた。登り着いたところは山の上としては結構立派な社殿が建ち10m四方くらいの平坦地になっている。ここが笹目倉山の山頂らしい。11時42分に笹目倉山着。社殿の前に三等三角点標石がぽつんとあり、周囲を見回すが山頂名のプレートらしきものは一つも無い。社殿から西に進んで標石がある所よりも一段高いところまで行ったが、そこにも何も無い、更に一旦下ってその先の小ピークまでも行ってみたが、木々に囲まれて景色も見えないし、プレート類も見当たらなかった。

 社殿前の三角点の平地まで戻り、そこでリンゴを齧り、カレーパンを食べて一休みする。ステンレスで覆われた社殿には大きな銅の鈴まで付いているので、綱を振ってがらがらと鳴らしてみる。誰も人が居ないので、却ってこの静かな場所を一層静かな雰囲気にした。笹目倉山の山頂は、村外れの神社の境内みたいだった。

 家に帰ってからネットで笹目倉山を検索したら、つい1ヶ月前に登った人の記録には、社殿の前の杉の木に幾つもの山名プレートが付いている画像があった。先日のマムシ岳といい、先月登った山梨の雨ヶ岳といい、山頂のプレートを撤去する人がここにも居たようだ。モチロン同じ人ではないが、同じ様な考えの人が沢山いるのか、栃木県の山は他に比べると競うように幾つものプレートがある山頂が多いし、鶏鳴山にも4つくらい付いていた。それをこころよく思わない人が実行手段に出たのだろうか。
かつて、ある雑誌に山名板は見つけ次第撤去する由の記事を書いていた人が居た。個人が勝手にそんなモノを付ける権利は無いだろうという論旨だった。テープ類も同じ様な理由で外して歩いている人も居るみたいだ。確かに千社札じゃあるまいし、幾つも幾つも競ってプレートを付けているのは見苦しいし、どうかとも思う。RFの必要な山で、うるさいくらいテープのベタ打ちというのも余り気分の良いものではない。直ぐに外せるプレートやテープ類は構造物ではないし、権利云々という程のものではないと思うが、これは全てゴミだと主張するならば撤去の論理も成り立つのだろうか。ぼく個人的には全ては程度問題だと思うが、その山の正当な管理者が意図あって取り外したものなら、これは致し方ないことだろう。こんな感じでは、直ぐ近くの鶏鳴山のものもそのうち撤去されてしまうかもしれない。

 12時14分に笹目倉山から引き返し、1時12分に下山道の標識がある815mピークまで戻ってきて、ここで湯を沸かしてカップラーメンを食べる。午後を回ると直ぐに夕方になるこの時期、木々の隙間からの陽だまりでまったりとしていたら、鶏鳴山から下ってきた女性4人組がやってきて下っていった。今日山で会ったのはこの人達だけだった。ラーメンを食べ終わり、1時38分に下山道を降りる。急な木の根が出た相変わらずの杉林をどんどん下って、先行していたおばちゃん達を抜いて鳴山林道に降りる。そこから少し歩くと、朝歩いた中居林道に出て、2時23分に駐車地点に戻ってきた。笹目倉山まで往復しても大して疲れないハイキングだった。4人組のものと思われる熊谷ナンバーの車が隣に停まっていた。

 支度を済ませて車に乗り、今日は小来川温泉に寄って行くつもりで長畑を後にする、途中の畑で後ろを振り返ると、鶏鳴山から笹目倉山までの稜線が良く見えた。ずっと杉林の中ばかり歩いて、山の中ではちっとも見られなかった自分が登った山を、今日始めて全体が見渡せた。これで小来川温泉福寿荘のお風呂で温まれば今日は好い一日で終わったのだが、随分走って辿り着いた福寿荘はなんと『本日休業』の張り紙(以前入ってとても気に入った福寿荘の岩風呂を楽しみにしていたのに…)。落胆してそのまま日光の清滝に峠を越え、何度も入っている『日光やしおの湯』に寄って行く。洗い場の空きを待っている人がいるくらい、相変わらずいつもここは混んでいる。露天風呂はやや塩素臭もしたが、内風呂では気にならなかった。充分温まって気分よく帰れると思いきや、湯から上がり、上がり湯を浴びようとしてここで滑って転んだ。沢山の人の前で恥ずかしいやら痛いやら、右ヒザとスネを思い切り角の立った洗い場の石縁にぶつけた。良くも出血しなかったものだが、代わりにスネは腫れ上がり足の甲からヒザ、尻餅をついた左尻まで打撲した。山で怪我をしなくて、こんなトコロで転んで怪我をしてしまった。痛みをこらえながら帰路に着いた。最後に痛くて残念な山になってしまったのだった。

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4 コメント

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お風呂で転んで大丈夫ですか (ノラ)
2013-12-27 21:42:10
あさぎまだらさん こんばんは。鶏鳴山の山頂直下の滑り易い急坂で転ばないでお風呂で転ぶとは。やはり気が緩んだ時が一番危ないのでしょうね。ヤシオの湯はいつも混んでいるようですね。空いてるヤシオの湯は入ったことないです。笹目倉山の名板も無くなったようですね。複雑な感じです。
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大丈夫です (あさぎまだら)
2013-12-28 01:59:15
ノラさんこんばんは。
もう今年も終わりですね。風呂で転ぶなんて情けないですが、滑るんですよね。もう痛くなくなりました。
笹目倉山の名板はそっくり消えていました。形跡さえありません。実力行使なんでしょうか?一つもないのも寂しいですねえ。どういう考えかは分かりませんが、心持ちが狭小な感じもします。
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こんにちは (てくてくA)
2013-12-28 18:01:28
あさぎまだらさん、こんにちは
お風呂で転倒とは・・・・お気を付けください!
てくてくBも、GWに東北に行ったときお風呂で転んで まるでマンガのように空中に浮かんで湯船にドッバーン!と落ちたと言ってましたよ(笑)

我々も、何年か前の寒い時期に鶏鳴山に行きましたが、笹目倉には行かず 分岐から下りてしまいました。
すごく寒かった記憶があります。
日光方面の写真、良く撮れていますね!
看板の件、何だか複雑ですよね・・・
ホント、程度問題だと思いますよ。
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笑えないですね (あさぎまだら)
2013-12-28 20:12:05
てくてくAさんこんばんは。
目の前でいいおじさんが滑って転んでも笑えないでしょうね。周りにいた人は驚いた様な顔をしてました。恥ずかしいけど痛かったですね。湯船なら良かったんですが…。
各地で名板外しがあるんですね。
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