Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

長居をしての雑談

2009-03-18 20:01:23 | 自然から学ぶ
 伊那市内のある土地改良区の方を訪ねた。この方を訪ねるときは少し余裕なときと思っている。そう考えているから忙しかったこともあってこのところ訪ねることができなかった。気持ちに余裕がないと尋ねられないということはよくある。とくにゆっくり話を聞きたいと思うときや、話好きな方に会うときは、忙しくお暇するのは失礼だと思う。だから余裕があるときにと思っているうちに時が過ぎてしまうのである。今回も忙しかったものの時間を作っての訪問である。

 この方はハッチョウトンボの保護につとめられている方で、最近とくに多くなったお役所の地元発信型事業の事務的なことにも関わっている。ハッチョウトンボで知られるようになったその地域、実は地元の人たちにはこのトンボの存在は知られていなかったという。ところがその存在を知ってからは、この地域のあちこちにハッチョウトンボが発生している場所があることが解ったという。知らなかったわたしはこの方に「お幾つのころ初めて見たのですか」などという頓珍漢な質問をしてしまった。お幾つなどというものではなく、近年になってその存在を知ったというのである。保護を始めて5年ほどになるというからそのころからこの地域にハッチョウトンボがいることが解ったということなのだ。

 以前にこのトンボのことについて触れたが、飛ぶ高さが地上から30センチ程度までで、人の視界からは見難い。それを知らない人はトンボが飛んでいるといっても解らずに、「飛んでいなかったよ」という具合になるという。地上30センチともなると、かがんでも見えない世界である。このように最近になって存在を知ったというたけに、もともとハッチョウトンボがこの地域に生息していたのかどうかはきっきりしないという。ではなぜここでは飛んでいるのかということになるのだろうが、餌になるものがあるということもあるのだろうが、耕作不利地に湧水があって常に水が流動している環境があるということも理由ではないかという。ここではそれほど深くない洞がいく筋も河川から枝状に出ていて、山間地特有の地形である。だから耕作不利地は真っ先に転作田にされた。山間の場合は、転作するといえば耕作のしづらい場所、日当たりの悪い場所、用水の条件が悪い場所ということになる。最近はさらに獣がやって来るような場所もそういう所に加わっている。

 獣といえばここではイノシシの害が少ないという。山を越えた向こう側の集落ではイノシシの害が大きいというが、こちら側にはあまりやって来ないという。それがなぜかは解らないが問題になるのはニホンジカばかりという。そのニホンジカも、今冬はあまり姿が見えなかったし、害も少なかったという。この冬は雪が少なかったことにより、ニホンジカにとって苦手な雪の中で餌を探すという必要がなかったのだろうか。そして雪が少なければ山で餌が調達できたということになるだろう。

 獣とは関係ないが、伊那谷でも高速道路沿いではよそからやってきた人が、収穫物をねこそぎ盗んでいくということが多い。人通りの多いところでは獣の害がなくて良いかと思えば、人害に会う。ここではおまわりさんがやってくると驚くと言う。どこの家も鍵をかっていないからという。盗むような人はやってこないですかと聞くと、何年か前にそういうことはあったが、最近はないという。とても昔ながらの土地である。
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