Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

みつばちが消える

2009-03-01 22:21:14 | 自然から学ぶ
 地球上の植物の80%は昆虫を媒介にして受粉しているという。そのまた80%は蜂によってのものといわれる。果樹類もそうした蜂によるところが大きいが、人工授粉しているものもある。農業にとっても当然蜂による媒介が大きく、蜂なくしては農業も成り立たないということになる。その蜂みつばちが姿を消しているらしい。『生活と自治』(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会)2月号の「現場の深窓」では「みちばちは警告する」と題して特集している。以前よりみつばちが危ないという話は耳にしていた。昨秋にはそのみつばちが不足の事態に陥った。みつばちもいわゆる農産物と同じで輸入に頼る。蜂そのものはそこらを飛んでいるのだろうが、女王蜂年間約1万匹も輸入されていたという。逆に言えば生態系に問題あり、なんていう人がいるかどうかは知らないが、いずれにしても女王蜂がいなくては蜂は増えない。

 ところが多くを輸入していたオーストラリアやアメリカで病気が発生してここしばらく輸入ストップ。何かと同じような状態であるが、さまざまな事情でほかにも問題が発生しているという。そんななかで急激にみつばち不足に陥ったというのだ。以外にも消費者には知られていないことなのだろうが、「イチゴやメロン、スイカ、ナスなどの施設園芸や果樹などが、飛躍的に収量や収入を増やしたのは、みつばちによる花粉交配によるところが大きい」という。「今後の全国の農業の先行きに、大きく影を落とすことが危惧それている」というのだから、けっこう深刻なようだ。

 だからといってすぐにはみつばちを増やすこともできない。そもそも蜜の源に限りがある。そしてその蜜の源とされるのがナタネ、レンゲ、ニセアカシアとなる。ナタネやレンゲが姿を消すいっぽうで、繁殖力の強いニセアカシアが源としてバランスを保っていたのかもしれない。ところが最近話題になっているのが特定外来生物としてやり玉にあげられているニセアカシアである。長野市の河川敷でニセアカシアがすっかり伐られて整理されたことを数年前に書いたことがあるが、河川敷などを中心にニセアカシアが除去されつつある。アレチウリほどの駆除作戦は取られていないものの、今後ニセアカシアに対する対策は進むのだろう。そうしたなか、養蜂家の間で危惧されているのが、ニセアカシアがなくなることである。真っ先にそうした動きに対して反対の声明をあげたという報道も以前耳にしたが、実はハチミツという具体的な生産物とは別に農業とのかかわりが強いということはあまり問題視されていないし、認識も低い。
コメント


**************************** お読みいただきありがとうございました。 *****