Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

記憶に残る山なみ

2008-12-28 23:27:47 | ひとから学ぶ


 山は日常眺めているから、その姿や形、そして遠近感などけっこう気にしている。我が家から陽の登る方角を望めば、そこには塩見岳がある。その形は尖っているから印象的なのであるが、前山として伊那山脈が横たわっているため、周辺まで含めてその山容を眺めることはできない。その南アルプスの山々は、荒川岳から赤石岳と続くが、やはり前山が裾野を覆う。いずれにしても覆われてはいるものの、その山々の雪を頂いた姿は印象深い。飯田下伊那地域から見ることのできる塩見岳も、市町村合併の結果、伊那市の最も高いところとなった。この塩見岳については以前にも触れたが、我が家からはそこそこ大きく目立っている。その山が伊那市でもっとも標高の高いところというのも不思議なのだが、その山は伊那市からはよく見えない。見えないということもないが、天竜川の端からはやはり前山が壁となって見えにくい。西天竜の水田地帯に立つと見えるが、それもけして威圧感があるほどの印象を与えない。なぜかといえば、もっと近くに見えている仙丈ケ岳が見事な姿を現しているからだ。

 写真は南箕輪村の伊那市境で撮影したものである。天竜川の向こう側に六道原が横たわり、その向こうには裾の方まで広がる雄大な仙丈ケ岳が見える。この左には甲斐駒ケ岳や鋸岳なども見えるが、なんといっても仙丈ケ岳の大きさは目に焼きつく。そして逆に南に目を向けていこう。伊那富士と言われて親しまれている戸倉山の脇に塩見岳が見える。遥か彼方ではあるが、伊那市はそこまで広がっている。ここから南へ移動していくと、戸倉山に一度隠れた塩見岳は、市営病院のあたりまで行くと姿をしっかりと見せる。しかしいずれにしても我が家から見る塩見岳同様に尖ってはいるものの、その雰囲気は「遠い」と印象付けることは言うまでもない。伊那市内から塩見岳が眺められるところは、それほど多くはない。そして山容も仙丈ケ岳とは比べ物にならないほど小さい印象である。きっと市内で「塩見岳はどれですか」と聞いても答えられる人はそう多くないかもしれない。

 さて、ここからさらに南に目を移すと、伊那山脈の高烏谷山や陣場形山がやはり大きくその奥を覆う。そしてその奥に南アルプスの白い頂と言うわけではなく、前山が織り成す。その中にわたしの記憶に残る頂が姿をかろうじて見せる。その頂を意識する人はほとんどいないだろうが、その山については、我が家から望む頂を紹介したときにとっておこう。
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