Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

電車内のパズル

2008-12-01 12:45:02 | ひとから学ぶ


 電車内の人の動きは見ていると一定の予測ができる。もちろんできない行動も多くあり、一概にそうなるとはいえないが、「きっとあそこに座る」と思った人は予定通りそこに落ち着く。同一パターンの行動は人間の習性ともいえる。毎日そうした同一の行動をとっていても、その日のたった一人のいつにない行動でポジションに変化が現れる。だからまったく同じ人が連日乗車していたとしても、必ずしも同じところに座るわけでもなく、同じところに立つわけでもない。だから1人違う顔が存在するだけでパズルは大きく変化を遂げるのである。

 図はある日の駒ヶ根駅に到着した下り電車の乗客の移動パターンである。前述したようにこれはある1日であって、同一の流れが毎日同じように繰り返されるわけではないが、動きの一つの傾向を示すものである。記号を振ったA~Gは到着後に座席に座る人であって、とくにAとGに注目したい。ピンクは女性、ブルーは男性とする。下り電車の場合前方に向かって左側がドアオープンとなる。そしてこの場合は3両目の車内を示しているため、降車した客は前方へ向かって改札口に向かう。駒ヶ根で降車する高校生はいないため、ここで降車する客はすべて大人である。左側前方はボックス形式、後方も座席を反転させてボックス席となっている。右側は前方のみボックスとなっている。駅に着くまでは11人座っていて、発車時は12人座っている。満席で座れば20人座れるのだが、現実的には以前から述べているように、飯田線の場合混雑していても空いている空席がなくなるということはほとんどないと言ってよい。それは高校生が乗客の大半を占めるため、知らない高校生の隣に座る高校生などまず100%近い確率でありえない。大人の比率が上がる例えば中央線のような場合は、高校生がボックス席に3人、あるいは2人座っていても大人がその空席を埋めるように座ることになる。このあたりが飯田線特有の光景となる。

 図はその特有性が顕著に現れる行動パターンなのである。Aが立っているのは座席横であり、空席が出ればそこに座りたい、という意志がしっかりとある。混雑していると「中へ詰めてください」という放送もされるが、その放送を意識して中に詰めていく高校生は少ない。だいたい空席ができたら優先的に座ろうとして中へ入るのである。その意識の少ない高校生は、乗車してもドア付近に固まる。Aの立つ位置からすると左前方のボックスとその裏の席が空くのはもちろん右側前方もそして後方席も空くにも限らず、降車客が立ってもしばらく動かずに様子見をする。1人だけなら左側中央の空席に着席するのだろうが、実は駒ヶ根駅で乗車してくるBは友人である。とはいえBが加わっても2人であるから左側中央に座っても良いのだが、より空間を自由に利用できるボックス席を狙って待っているのである。左側ボックスには高校生2人連れの男子が座ろうと行動を起こすことから、結局左側前方のボックス席に座ることになる。Aが左側中央席に入らなかったのを確認して、Gはその席へ向かって行動し始めるのである。

 2人連れでもあえてボックスではなく2人がけシートに座るEやFのような行動もあれば明らかに最初からボックスを狙うAのような行動もある。高校生は当然のように座れば空いた席へ荷物を置く。「座席は荷物を置くスペースではありませんので…」という指示があっても彼女や彼らには聞こえないのは言うまでもない。実際は立っている人がもっといるのだが記入していない。混雑しているようでも座席が満杯ならかなり混雑感は現象するのだろうが、これがほぼ通常の飯田線の光景である。
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