雑記 ーTechnic(歯車(gear)について)ー

2019-06-22 10:20:00 | 雑記
部員のHachiです.

以前Technicのギアについての記事を書くと言っていたので、代表的なものについて書いてみます.

なお、この記事は以前の雑記ーTechnic(パーツ紹介)の続きなので、未読であればそちらを先に参照していただけると幸いです.

はじめに
まず、そもそもLEGOにおいてギアはなんのために存在しているのか(どんな使い道があるのか)について.
自分が思いつくのは、以下のようなものです.
1.動力を伝えるため(別の軸に伝える、別のギアに伝える、等)
2.回転の向き(右回り・左回り、回転軸の向き)を変えるため
3.動力の性質(速度、トルク)を変更するため.
4.独特の形状(LEGOパーツとしての造形)を活かすため(装飾として使用する、等)
今回は1~3を指標に紹介します.

平歯車
LEGOのほとんどのギアは回転軸を平行に組み合わせて使用するような形状です.このような歯車を平歯車と言います.

LEGOの平歯車の厚み(軸方向の長さ)はいずれも1ポッチです.

LEGOの場合、パーツ(フレーム)の歪みが全体の効率をかなり左右するのですが、平歯車を組み合わせると比較的容易に堅牢な作りにすることができるので、なるべくこのタイプのギアを使うようにするとスムーズな動きを実現できると思います(もちろん作る物によって最適な方法は異なるので気持ちとして、程度ですが).

ギアの歯数は基本的に4の倍数となっています.そのため、同種のギアを2つ組み合わせたとき、
ギア同士の位相(回転している角度)差を(360/4=)90°の倍数にすることはできません.

これが結構厄介で、例えば左右対称にピッタリ開閉するハッチを作りたいときにはギアの位相差を吸収する形状にするか、
ギアを使わないリンク機構を考えるなどの工夫が必要になります.

また、ギアの半径は「歯数/16ポッチ」として組み合わせることができます.
つまり、歯数8のギアの半径は0.5ポッチ、歯数12のギアの半径は0.75ポッチ...となります.

この考え方を使えば1つの真っ直ぐなリフトアーム上でどんなギアが噛み合うのか計算できる他、
三平方の定理と組み合わせればナナメの配置で噛み合うギアがわかります.
Technicに慣れてくるとどんな組み合わせが適切かだいたい覚えてしまうのでわざわざ計算する意義は薄くなりますが...

代表なギアについて以下にまとめておきます.

8枚歯ギアと24枚歯ギア、12枚歯ギアと20枚歯ギア、16枚歯ギアと16枚歯ギアを組み合わせたときの軸間の距離は2ポッチとなることがわかります.そこそこのスペースで様々な変速比を得られるので、使いやすい組み合わせです.

今年28枚歯のギアが新しく出るらしいので期待しています!

かさ歯車(ベベルギア)
回転軸が垂直に交わるように組み合わさるギアです.12枚歯、20枚歯、36枚歯の平歯車はベベルギアとしても使えます.
専用のベベルギアは厚みは0.5ポッチで、現行では12枚歯のものと20枚歯のものがあります.


厚みや半径が異なるギアを使用することで様々な配置や変速比の組み合わせを作ることができます.


ワームギア
「回転軸を変える(ねじれの位置になる)」、「回転数を大きく下げる」、「動力の伝達を一方向に制限する
(ワームギアが平歯車を動かすことはできるが、平歯車がワームギアを動かすことはできない)」効果があります.
比較的入手しやすいもの(LightBluishGray)は8枚歯ギアか24枚歯ギアと組み合わせて使うことが多いです.
Cityシリーズのクレーン車のアームを動かす機構などに使われていることがあります.


便利なパーツではありますが、負荷が大きいと両端のパーツ同士(画像でいう黄色のハーフブッシュと赤のパーツ)が擦れて損失が大きくなるのでむやみに使うのはおすすめしません.ずっと動かしているとパーツが削れます.


ターンテーブル
ショベルカーの胴体部などによく使われるパーツ.
軸から軸に動力を伝えるのではなく、軸からの動力を直接リフトアームなどに伝達します.


ピンや十字シャフトなどでは強度に不安がある回転軸に使われます.


ラックギア

歯が平面に刻まれているパーツ.よくクレーンのアームの伸縮や車のステアリングに使用されます.


バナナギア
円弧状に曲がったラックギア.4つ組み合わせることで外形が半径10.5ポッチの円形となります.一つのパーツで35枚の歯があるので、4つ組み合わせると合計140枚歯、半径8.75ポッチのギアとなります.つまり、中心から8ポッチのところに半径0.75ポッチの12枚歯ギアをおけばちょうど噛み合うことになります.

詳細な寸法がわからなかったので簡易的な図面を描いて作図してみました(基準にする寸法は主観で選んだので、正しさを保証することはできませんが).作図しやすいように、距離の単位は0.1ポッチとなっています(つまり、図中の100=10ポッチ).また、角度・距離は小数点以下第二位を四捨五入しています.

画像クリックで.pdf版に飛びます


※以下、気づいた点.
・シャフトと両側のピン穴4つで1セットのものが45°間隔に配置されています.シャフトと外側のピン穴の間の間隔が15°ずつなので、
4つ合わせて60°を作ることができます.つまり、1辺が10ポッチの正三角形を15°ずつずらしつつ作ることができます.

・シャフトと内側のピン穴の間の間隔は中途半端な角度ですが、中心軸からの水平方向の距離が6or8ポッチとなるようになっています.

・中心軸からの水平方向の距離が5ポッチのピン穴がありますが、
垂直方向の距離は8.66(≒5*3^(0.5))ポッチと中途半端なので鉛直・水平方向に使うのは難しそうです.
角度を見ると鋭角が30°、60°の直角三角形となっているので、おそらく角度合わせで設計されているのでしょう.


溝付きギア
外形は16枚歯のギアと同じですが、中心の穴は円形で、表面に溝があります.
この溝は他のパーツと噛み合うようにできていて、うまくギアと軸を配置することで変速機を作ることができます.



かつては溝が片側にしかありませんでしたが(DarkBluishGray)、最近は両側に溝があるもの(Red)が使用されています.また、16枚歯の他に20枚歯のものも最近出ました.
通常の12枚歯のギアと組み合わせて変速しつつギアチェンジする、みたいなことも理論上は可能になりました.
が、今の所レアパーツなうえ、LegoDigitalDesignerにはデータが存在しません...

このギアは例えば以下のようなギアボックス(変速機)に使うことができます.


赤いシャフトがモータにつながっていて、反時計回りに回転し続けているとします.その隣のLightBluishGrayYellowのシャフトを出力と考えます.


レバーを手前に倒すと、赤いシャフトにつながっているDarkbluishGrayのパーツが奥に押され、ギアの溝にはまります.このDarkBluishGrayのパーツ(Bricklinkに倣い、以降ドライビング・リング)は特殊な形状になっていて、赤いシャフトと同期して回転します.一方、赤いギアには十字ではなく円の穴が空いているので、普段は赤いシャフトとは独立に回転します.ギアの溝にドライビング・リングがはまると、ドライビング・リングにつられて赤いギアも回転します.

赤いギアとかみ合っているギアにより、モータの動力が出力に伝わります.ここでのポイントは、手前の赤いギアは一周回ってきた動力により自身がはまっている軸と逆(時計回り)に回転する、ということです.また、出力についてはLightBluishGrayのシャフトが反時計回りYelowのシャフトが時計回りです.


レバーを奥に倒すと、ドライビング・リングは手前に押されます.すると、今度は手前の赤いギアが軸の動力を直接受け、反時計回りに回ります.これにより、出力はLightBluishGrayのシャフトが時計回りYelowのシャフトが反時計回りとなります.

要するに、このギアボックスにより、一定方向に回転し続けるモータの動力の向きをレバーの方向により反転させることができるようになります.拙作のジェット機ではこの機構により着陸脚の展開・収納を行なっています.


デフギア
大きい車で動力を左右輪に分配するところでベベルギアの位置で使われたりします.左右の回転数の差を吸収することができます.


外側のDarkBluishGrayのギアを基準にすると両側の黄色の軸の回転角度の和は常に0になる、と考えると動きがわかりやすいかもしれません.つまり、片側の軸を固定してある回転数でもう片方の軸を回すと、その半分の回転数でDarkBluishGrayのギアは回転します.

かつては24枚歯と16枚歯がくっついた形のものもありましたが近年は使われていません.画像の新型は中に入れるベベルギアの固定がしやすくなっています.


クラッチギア
中心軸と歯の間に一定以上の力がかかった時に中心軸が空転するギア.


PowerFunctionsなどを使う場合にはこのギアの配置が重要になります.クラッチギアの使用例として、一定以上の負荷がかかるとモータを空転させて保護するギアボックスを作ってみました.


ちなみにギリギリの設計をしていて、奥側のTECHNICフレームの表裏が逆になるとギアと微妙に干渉します.

モータの動力はまず同じ軸でつながっている12枚歯ギアに伝えられ、それがかみ合っている20枚歯ギアに伝わります.この20枚歯ギアは別の12枚歯ギアとシャフトでつながっています.その12枚歯ギアが斜め上のクラッチギアとかみ合っています.
クラッチギアのシャフト穴には茶のシャフトがつながっており、そのシャフトには12枚歯ギアもはまっています.最後に12枚歯ギアと噛み合う20枚歯ギアに動力が伝わり、それがはまっているシャフトが最終的な出力となります.


以上のように、それぞれの組み合わせにおいて基本的に小さいギアから大きいギアに動力が伝わるので、出力側ほど回転速度が落ち、回転させる力(トルク)は上昇します.ただ、クラッチギアを使う場合にはそれだけでなく、どの段階でクラッチギアを使うか、が重要になります.

「モータ(入力)からクラッチギアまで」と、「クラッチギアから出力まで」に分けて考えてみましょう.

「モータ(入力)からクラッチギアまで」:


ここでは可能な限りクラッチギアの回転数を下げる設計をするのが典型的です.
クラッチギアを空転させるのに必要なトルクが一定であるとすると、空転させるのに必要になる時間当たりのエネルギー(仕事率[W])はクラッチギアの回転数が小さいほど小さくなります.このエネルギーはモータから出力されるものなので、クラッチギアまでに回転数を落とした方がモータへの負担が減り、モータに優しい(長時間動かせる)設計となります.

また、クラッチギアまでに速度を落とせないと、モータからクラッチギアに伝わるトルクがクラッチギアを空転させるのに必要なトルクを下回ってしまい、クラッチギアが空転せず普通の24枚歯ギアのように振る舞います.この場合、モータに電圧をかけているのに機械出力がなくなることになるので、モータが発熱し、故障に繋がります


「クラッチギアから出力まで」:

ここでは必要になるトルクに応じてギア比を選びます.
クラッチギアを空転させるのに必要なトルクが一定であるとすると、クラッチギアに一定のトルクがかかるまでは出力が回り続ける、ということになります.つまり、その一定のトルクよりも大きなトルクを出力から取り出したい場合には、回転速度を下げる必要があります.逆に、安全上の理由などからちょっと引っかかっただけでも出力が止まるようにしたい、という場合には回転数をあげれば良い、ということです.

スペースが限られていて極端なギア比の設計ができない場合にはクラッチギアを並列で使用します.こうすると出力の回転数が等しい場合、クラッチギアから並列数倍のトルクを取り出すことができます.逆に、クラッチギアが等しいトルクで空転するように設計する場合、出力の回転数が並列数倍になります.つまり、モータの負荷を考えなければ時間あたりに取り出せるエネルギー([W])は並列数倍になります.


モータの負荷を考えてみましょう.
この場合、「モータ(入力)からクラッチギアまで」を考えるともともとクラッチギアを空転させるのに必要なギリギリのモータとギア比であった場合、回転数をさらに下げてからクラッチギアに伝達する必要があります.その場合には結局取り出せる時間あたりのエネルギー([W])は変わりません.「時間あたりにより多くのエネルギーを取り出す」という面で有効活用できるのは、もともとモータのトルクに余裕を持った設計をしており、回転数を下げる必要がない場合です(回転数を下げなくてもトルクに余裕がある、ということはもともとモータのトルクが高いということなので、大抵は強力(大容量)なXLモータなどを使用している場合です).

結局モータが出力できる以上のエネルギーは取り出せないわけですね.

以上でのポイントはクラッチギアを使用するギアボックスにおいて(うまく設計できていれば)、ギアボックスに繋がるモータの負荷は「モータ(入力)からクラッチギアまで」の設計のみで決まり、ギアボックスから取り出せるトルクは「クラッチギアから出力まで」の設計のみで決まる、ということです.


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いかがでしたか?
今回はTECHNICの主なギアを紹介しました!
参考になっていたら幸いです.

歌舞伎レポ

2019-06-15 18:55:53 | 雑記
こんにちは、せきしょーです。

五月祭で歌舞伎をテーマにした大型作品を展示したこともあり、ありがたいことに東大LEGO部のファンの方から、歌舞伎座に招待していただきました。部員のせきしょーとしろまるで六月大歌舞伎の昼の部を鑑賞してきました。


今年の大型作品


去年の駒場祭で展示したTOKYOの歌舞伎座

作品制作の資料集めのために一度足を運んだことはあるのですが、二人ともきちんと歌舞伎を見るのは初めてでした。やはり、実際に観るとその迫力や面白さに心を打たれたので、この気持ちを皆さんに少しでもお伝えできればと思い、鑑賞してきた二人の感想を記事にしてみました。




私自身歌舞伎を生で観るのは今回が2回目で、しかも前回は一幕しか見なかったということもあり今回の体験は貴重なものでした。今年の大型作品を設計する際に写真をたくさん見たので、あの場所の再現はだいたいあっていたな、とか、ここは違う色を使えば良かったな、など作品を作ったがが故に色々感じることもありました。
今回鑑賞した演目の中でも私が一番面白いと感じたのは三つ目の演目の「梶原平三誉石切」です。今回は事前に話の内容を調べなかったのですが、そのせいもあってか、二転三転していくこの演目により一層引き込まれていきました。途中緊迫した場面もありましたが、最後の結末にはあっと驚かされました。
せきしょー


五月祭に来てくださった東大LEGO部ファンの方が、歌舞伎座に招待してくださり、観劇させていただきました!用意してくださった席があまりにも良い席で、場違いのような気もしましたが(笑)。私にとって、歌舞伎鑑賞は中学の芸術鑑賞会以来で、きちんと観るのは初めてだったので、かなり緊張しました!
ですが、1幕の三番叟の舞で、その迫力に圧倒され、すぐに歌舞伎の世界に引き込まれました。席が1階だったのもあり、演者が力強く足踏みをする度に振動が伝わってきました。3幕、4幕は物語で、テンポよくハラハラドキドキしながら、また所々でちょっと笑ってしまうところもあり、すっかり魅力されました。
言葉で正確に表現するのが難しいのですが、伝統芸能はやっぱりすごいんだなと感動しました。また、他の演目も拝見させていただきたいです。
しろまる

最後に、今回このような機会をくださったファンの方に、改めて感謝申し上げます。



今回はここまでです。
それでは。

2019年度五月祭 作品紹介「MANAG3R」

2019-05-28 10:30:00 | 雑記
こんにちは。HFです。

頼りになる後輩が入ってくれてうれしい限りの今日この頃です。
また今年は(ついに!)五月祭の人気企画投票で第1位をいただきました。
普段から応援してくださっているみなさまに感謝申し上げます。

さて、今回は今年の五月祭で展示した「MANAG3R(読み:マネージャー)」について、
作品紹介での記事には収まりきらなかったので別記事として細かく紹介していきたいと思います。


「MANAG3R」は今回の大型作品「歌舞伎」で活躍した、
マインドストームEV3を使った「会場付近にいる部員を教えてくれる装置」です。
ある種の「勤怠管理システム」ですね。(”E”が”3”になっているのは公式のEV3命名規則?に則っているためで仕様です。)

まずは全体像から。


写真中央の黄色い丸い台はターンテーブルになっていて、その上に今回MANAG3Rの実験に
参加してくれた各部員の小作品が載っています。この作品が各部員一人一人を表しています。
写真手前にあるのはこの装置の心臓部、インテリジェントブロックEV3です。
これ1台に4つのサーボモーターと4つのセンサーを同時に接続でき、
これらセンサーの入力を受け取ったりモーターを制御したりといったことが可能です。
今回はモーター2個とカラーセンサー1個を使っています。
EV3から伸びたケーブルの先、写真右側にセンサー、左側にモーターが見えますね。もう一つのモーターはターンテーブル下に隠れています。

では、MANAG3Rの仕組みを見ていきましょう。なお具体的なやり方については割愛させていただきます。
ほとんどネットの先人たちの模倣ですので(汗

EV3にはマイクロSDカードスロットがついています。
「EV3DEV」というEV3専用のLinux OSをインストールしたマイクロSDを挿入すれば
EV3をLinuxコンピューターとして使用できるようになります。(デュアルブートなのでSDカードを抜けば元通りのEV3に戻ります。)
そのあともいろいろと下準備が要ります。
また今回はBluetooth通信を行うためUSBポートに電器屋さんなどで売っているBluetoothアダプタを挿しておきました。
下準備がすんだら、まずは部員のスマートフォンをリスト(テキストファイル)にしてEV3に登録します。



次にプログラムを書きます。(概要を紹介します)
0. ターンテーブルの回転位置を初期位置に戻す
1. リストにあるスマホからBluetoothの電波を受信できたか調べる
 A.うまく受信したらその項目に「今いる」フラグを立てる
 B.逆に受信できなかった場合「今はいない」フラグを立てる
2. 「今いる」各項目について、
 A.前回も「今いる」フラグだった場合、何もしない
 B.前回「今はいない」フラグだった場合、「入室」リストに登録
3. 「今はいない」各項目について
 A.前回「今いる」フラグだった場合、「退室」リストに登録
 B.前回も「今はいない」フラグだった場合、何もしない
4. 「入室」リストの各項目に対応する作品を外側に向かせる
5. 「退室」リストの各項目に対応する作品を内側に向かせる
(1.~5.を繰り返す)


1.~3.はEV3が頑張って処理してくれている部分なので、具体的な動きとして外から見えることはありません。
モーターが活躍するのは最初の0.と4.、5.です。

カラーセンサーは0.の部分でターンテーブルの位置を合わせるのに使っています。
これをしないと例えば「モーターを270°回転しろ」という命令を送った時に、
どこから数えて270°なのかEV3が理解できずうまく動作しません。
またモーターの回転角度の誤差による悪影響を最小限に抑える役割もあります。

実は4.と5.の前にはそれぞれ「0.  ターンテーブルの回転位置を初期位置に戻す」が隠れています。
理由は同じく「どこからターンテーブルの角度を数えればいいのかをEV3に教えるため」です。

さて実際の動作を上記4.の部分を例に見てみましょう。


作者のスマホが近くにいるので対応する作品が次々と外を向いていますね。

ではこちらはどうでしょうか。


Hachi君を表している赤いジェット機が順番を飛ばされました。これは当時Hachi君が実際に別の場所に行っており
Bluetoothの電波を受信できなかった、なので「今はいない」と判断されたわけです。

ちなみに今回MANAG3Rは「Bluetoothの電波を受信したか」で判断するようプログラミングしているので、
Bluetoothを切ったり電波強度が弱くて受信できなかったりするとEV3が「今はいないな」と間違った判断してしまうことがたまにありました。
この点についてはMANAG3Rを置く場所をうまく調整する、プログラム(フラグの辺り)をうまく書き換えるなどすれば解決すると考えています。
デモ機なので大目に見てあげてください(滝汗

最後に今回MANAG3Rの実験に参加した部員たちの小作品を見てみましょう。
(上段)せきしょー、しろまる、もつぴ、Yamatai、マスドライバー、Hachi
(下段)HF、V.14、Rodney、このやろー、しゃなぎ



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MANAG3Rの紹介記事はここまでとなります。
以上最後までありがとうございました。

それでは。


雑記ーTechnic(パーツ紹介)

2019-02-06 00:01:24 | 雑記
はじめまして、部員のHachiです.

雑記ー「好きなものを色々と書き連ねてしまおう」企画の一つとして、LEGO Technicをご紹介したいと思います.

みなさまはTechnicをご存知でしょうか?

自分はあんまりです...

というのも、今回の記事の内容を考えているうちに、「そもそも何を書いたらTechnicを紹介したことになるんだろう?」という哲学的な問題に直面してしまったのです.

Technicシリーズの商品は下のような感じです(42055、2016年発売).



直方体を中心とするいわゆる「普通の」レゴ(システム系、などと呼びます.CreatorやCityはシステム系パーツ中心)から見た目の印象が掛け離れていますね.

LEGOのシリーズとしてTechnic(TECHNIC)は40年以上前から(!)存在します.建設機械や車のギミックを再現するキットが多く、組み立てが複雑な傾向にあるせいか「上級者向け」のように紹介されがちです. さらに日本では販売されていないパーツがあるなど、ややとっつきにくいという印象もあるかもしれません.

こんな風潮はありますが、例えば部内で「Technicパーツ」と呼ばれるようなものはTechnicシリーズ以外のLEGO製品や、弊部のシステム系作品(大型作品の補強など)にも使用されています.

逆に、Technicシリーズの商品として始まったBionicleなどは「LEGOっぽくないLEGO」としての独自の進化を遂げ、結果的にTechnicからも独立したカテゴリとなりました(Bionicleは現在もビルダブル・フィギュアシリーズにその遺伝子を残しています).

Technicシリーズはシステム系とはどこか違う、でもシステム系のビルドでもTechnicパーツを使う.かと言ってTechnicシリーズの一部として始まったBionicleがTechnicから独立することもある...では、結局システム系と区別されるTechnicパーツの定義とは何なんでしょう?

…わからん!

というわけで、今回の記事ではとにかくTechnicのパーツや組み方をご紹介し、何となくの空気感を伝える、というこを目指そうと思います.そして、Technicに魅力を感じたなら、実際のパーツやセットを手にとっていただければと思います.

ごちゃごちゃした導入でしたが、まずは「部内で『Technicパーツ』と呼ばれるもの」の大まかな種類について説明します.以降の記事で機械工学などにおける呼称、用法と違う部分もあるかと思いますが、基本的にレゴのパーツとしての説明となります.ご了承ください.


ペグ(Pin):


普通のブロックでいうポッチと似た働きをします(ちなみにポッチと同じ太さ).リフトアーム(後述)などの穴(ペグ穴、などと呼びます)にはめて、パーツ同士を接続します.

黒と青のものを普段は使いますが、アームの回転軸など摩擦を減らしたい部分には緩い接続になるLight Bluish Gray(新灰)やTanのものを使います(ただし使いすぎると強度が落ちやすいので気をつけましょう).

一部のTechnicパーツは近年は形状によって色分けされているのですが、長さ3ポッチ(=7.5プレート)のピンはその煽りを色濃く受けました…(2007年ごろから黒→青に)


シャフト(Axle):


ギアなどの十字の穴にはまる棒です.十字穴のあるパーツ同士はシャフトで繋げば相対的な角度を固定することができます.丸い穴にはゆるくはまるのでギアの動力を伝える軸としても使えます.単なる棒状のものだけでなく、端部にストッパーがついているものなども新造されています.

こちらも色の変更が行われています(例:奇数ポッチの長さのものが薄灰色に).また、長さ2ポッチのものは1997年ごろから形状も変わり、扱いやすくなりました.

ペグとシャフトが前後でくっついたような形のものもあります.


ブッシュ(Bush):


シャフトにはめるスペーサのようなものです.厚さ1ポッチのものと0.5ポッチのもの(ハーフブッシュ)を組み合わせ、パーツ同士の間隔やギアの位置を調整・固定します.

1ポッチのものは前後で形状が違っているのですが、ボコボコしている方は画像のようにプレートなどのポッチの間にはめることができます.


テクニックブロック、ビーム(Technic Brick, Beam):


ペグがはまる穴のあいたブロックです.Technicが始まった当初よく使われていて、最近のTechnicシリーズでは見かけない…と思いきや、Technicパーツとシステムパーツを接続するのに便利なパーツです.

ペグの穴は基本的にポッチの間にありますが、1x1と1x2ブロックについてはポッチの直下に穴が空いたものもあります.

また、ビームのポッチには通常のブロックにある「LEGO」の刻印がなく、ライトセイバーなど(Bar、バー)が刺さる穴が開いています.そのため、刻印による干渉を気にせずに厳密な設計をすることができます(刻印があるとコンマmmの厚みが生じるので、なるべくポッチを他のブロックに密着させないように設計します).


リフトアーム(Liftarm):


(ついに!)Technic Brickより0.5プレート薄く(つまり断面が2.5×2.5プレートの正方形)、端部が半円状になっています.表面にポッチがなく、なめらかになっています.リフトアームにペグを差して色々なパーツを接続していく、というのが(近年の)Technicシリーズの基本です.

曲がっているリフトアームの角度は直角のものと、辺の比が3:4:5の直角三角形の鋭角の角度になっているものがあります.ピタゴラス数を利用した直角三角形を導入することで、強度向上を期待できます.

まっすぐなものの長さ(穴の数)は最大15までの奇数です(長さ2のものを除く).

ギア(Gear):


歯車です.動力を伝えたり、向きを変えたり、速度を変えたりします.

こちらも色々な種類があり、それぞれに使い所があるのですが、それについてはいずれ別の記事で…



長くなりましたが、今回は以上です!

本当は他にもたくさん紹介したい面白いパーツがあるのですが、キリがなくなってしまうので今回は「多くのTechnicセットに入っている」、「システム系セットにも使われることが多い」以上のパーツの紹介で一区切りとさせていただきます.

画像引用元
ブリックリンク:https://www.bricklink.com/v2/main.page 

レゴ設計ソフト(レゴデジタルデザイナー/LDD)の操作方法など

2019-01-20 13:00:00 | 雑記


こんにちは、もつぴです。

先日「嵐にしやがれ」をご覧になった方々、ありがとうございました。
東大生をイジる番組が多い中で、東大レゴ部の作品や活動を中心に紹介して頂いただけでなく、
来てくださった櫻井翔さんもとてもあたたかく丁寧な方で、我々もとても楽しかったです。
本当に、ありがとうございました。
(年末にお知らせがあるかも、と言っていたうちの1つがこれでした。笑)

番組を見て、「レゴに興味をもった!」とか「東大レゴ部/東大を目指したい!」と
思っていただけたら幸いです。




さて、今回は番組内でも紹介された
LEGO Digital Designer (レゴ デジタル デザイナー、以下LDD )
についてご紹介します。

このLDDは3Dでレゴ作品の設計ができるソフトで、レゴ社が無料で頒布しています。
サムネイルのナニカシラノサウルスはソフト上で設計したものを、
サードパーティのプログラムを使ってCG画像として出力したものです。


このように「lego digital designer」と検索すればトップにヒットします。(https://www.lego.com/ja-jp/ldd)
クリックして…


ここからダウンロードできます。
ダウンロード方法を紹介しているサイトもあるので、詳しくはそちらを参照してください。

東大レゴ部でも近年、多くの作品の設計にLDDを使用しています。
色と形を自由に選択できるので、実際にパーツを持っていなくてもレゴを組み立てる体験ができるのが強みです。

ダウンロードできたらさっそく開いてみましょう。


今回は黒色の「Extended」のモードを選択。
右下の「Free build」をクリックします。


開けましたね。
左側からパーツを選択して、フィールドに置くのが基本操作です。
たとえばこのプレートっぽいのをクリックすると…


このように「プレート」に分類されるパーツが表示されます。


ちょっと下にスクロールして2×3プレートを選択。
ポインタ(矢印)をフィールドにもってきてもう一度クリックすれば…


このように設置できました。
次はパーツの色を変えてみましょう。
左下の「Filter bricks by color」をクリックします。


このように色を選択できるようになります、けっこう種類がありますね。
黄色(Bright Yellow)にしてみましょう。


左側のパーツの色が黄色に変わりました。
こんどは左上のブロックっぽいやつをクリックします。


2×2ブロックを選択して、先ほど置いた赤の2×3プレートに近づけけます。


黄緑色のワクは、そこにパーツを置ける(接続できる)というサインです。
ちなみに十字キーのマークが表示されているときは、十字キーでパーツの向きを上下左右に変えられます。
ここでクリックしてみると…


このようにくっつけることができました。


ちなみに右クリックでドラッグすると、このように視点を動かすことができます。
また、パーツを右クリックすればそこが視点の中心になります。


他にも面白いツールがたくさんあります。
たとえばこちらは「Clone tool (コピーツール)」
選択したパーツ(ここでは黄色2×2ブロック)と同じパーツをフィールドに置けます。


おとなりのこちらは「Hinge tool (ヒンジツール)」
特殊なパーツを使用して、角度をつけることができます。
左側からこのクリップっぽいやつを選択して…


こんな感じのパーツを出します。


十字キーで向きを180度変えて、向かい合わせにしてパーツ同士を近づけると…


このようにくっつけることができました。


ここで先ほどのヒンジツールを使います。
手前のパーツを選択すると、このように丸い矢印が表示されます。
この矢印に沿ってドラッグすると…


このように角度をつけることができます。


こういった作業を繰り返していくと………


はい、なんやかんやあって警視庁ができました〜。(パチパチ)
次はミニフィグが片目を押さえているやつ(Hide tool)を使ってみましょう。


こんな感じで警視庁の左半分を選択してから、Hide toolを使うと…


なんと、選択した部分が消えてしましました。
消えたと言っても一時的に隠れただけなので、右上の両目を押さえたミニフィグをクリックしてあげれば元に戻ります。


このツールを使うことで、このように内部構造をカンタンに見ることができます。
実際に組むときには到底できない操作なので、LDDの強みと言えます。




以上がLDDの紹介でした。
自分で操作に慣れていくのが楽しいので、あえて説明しなかったツールや機能もあります。
ぜひ色々と試してみてください〜。

使いこなせれば…


某サウルスも作れるかも!?
ぜひご家庭に一台、某サウルスを。(笑)


今回はここまでです、
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは。

「レゴ ムービー2」公開記念! フルCGアニメの先駆、ジャック・ストーンとは?

2019-01-11 21:40:00 | 雑記
「レゴムービー2」の公開を盛り上げるべく、何かと理屈をつけて好きなものを色々と書き連ねてしまおうという特集第2弾です。
日本での公開は3月下旬のようですね!
「スパイダーマン:スパイダーバース」も上旬に公開されるということで、3月はフィル・ロード&クリス・ミラー祭りって感じになるのですかね。

この記事をお読みの皆さんは、「ジャック・ストーンシリーズ」をご存知でしょうか。
作りの大きい部品構成や背の高いミニフィギュアを特徴とするこのシリーズは、俗にレゴ暗黒期と言われる時代、2001年にリリースされました。



ジャックストーンシリーズでは、彼のヒロイックな活躍を押し出したビデオが制作され、レゴのオフィシャルサイトでもストリーミング再生することができました。

ドイツのTV局Vox社が配信した「LEGOムービー」の制作背景に関する動画においては、このジャックストーンのビデオは「レゴブロックをCGでリアルに描いた最初の映像作品」として紹介されています。

(このビデオではLEGOムービーのネタバレがあります。まだの方は先に映画を観ることを強くお勧めします!)



ビデオ中ではジャック・ストーンを掴みの部分に持ってくることで、LEGOムービーがいかにCGアニメとして進歩したものであるかが解説されていますね。

今回の記事では少しジャックストーンについて掘り下げることで、両者がレゴブロックの特性といかに向き合っているのかという部分について考えてみたいと思います。

ジャックストーンは、街のピンチにひらりと現れるヒーローです。「できるぜ、やるぞ、やったぜ!(CAN DO, WILL DO, DONE!)」を合言葉に、近くにあるパーツを組み替えて難題を解決していきます。



2002年のカタログより。「我らがジャック・ストーン」といった小難しい言い回しにも表れてますが、当時のオフィシャルのカタログの言葉遣いって、幼児に対して結構容赦ない気がします笑

セットに付属するインストラクションには、ジャックがパトカーのパーツを利用してボートを組み立て、水上に逃走した犯人を追跡する警察官を助ける、といった内容のコミックが掲載されていました。



4600のインストに掲載されたコミック。



ジャックストーンのフィギュア。レゴと聞いてまず想像するような牧歌的な空気は消え去り、アメトイっぽい雰囲気を漂わせています。
かなり抽象化が進んだ造形になっている通常のミニフィギュアに対して、鼻や耳といった顔のパーツに加え、胸や肩の筋肉の盛り上がりなど、立体的なディティールが細かであるのが特徴です。



とりわけ足元は完全に靴にしか見えない造形となっていて、靴ひものプリントまであったりします。通常のミニフィギュアの場合は裸足なのか靴を履いているのかはそれを見るものの解釈に委ねられますが、ジャックストーン規格の場合こうした自由度は奪われてしまっているとも言えるかもしれません。


ジャック・ストーンのビデオは、インターネットムービーデーターベースにも登録されているようです。
https://www.imdb.com/title/tt3309946/
(ちなみに、音楽担当にはDCEU「ワンダーウーマン」「アクアマン」などの劇伴を手がけたルパート・グレグソン=ウィリアムズがクレジットされており、大出世という感じでしょうか。これら二作品の主役もレゴムービー2に登場して、オリジナルキャストが声をあてるとなんて情報も目にしますね〜)



レゴブロックのパトカーが街中を疾走する映像に、当時幼稚園児だった僕は結構夢中になったのを覚えています。今となっては随分チープに映ってしまいますが、2001年時点ではこの映像も(幼稚園児にとっては)わりかしリアルなレゴブロックに見えていたように思います。

ジャック・ストーンのビデオの見せ場では、各セットに付属するコミックと同様に、人々のピンチに直面したジャックがレゴブロックを組み替えることによって問題を解決していきます。例えば彼は、ヘリコプターのプロペラをボートに取り付けて「ヘリボート」を組み立てたりと、あっと驚く方法で人々を助けます。
しかし彼の組み替えには、ペグ穴にバーを指すことで固定したり、ボールジョイントにヒンジを組みわせて運動させるなど、物理的にありえない方法でパーツを接続するものが多く含まれました。(もちろん本商品に付属するコミックにはそういったことはありませんでしたが)
プロモーション映像という特性上、「組み替えにはジャック・ストーンシリーズに使用されているパーツしか使ってはならない」という制約でもあったのかもしれません。しかしながら、実際には接続できないパーツ同士を組み合わせてこれでよしとする描写は、レゴブロックのシステムに対して不誠実と言っても過言ではないという気がします。

実はレゴ社はジャック・ストーンシリーズにおいて、子供にヒーローの物語を提示し、そのキャラクターで遊ぶ楽しさを提供することを狙っていました。組み立ての平易化や、フィギュアのディティールアップはそのための手段です。要は、ビデオゲームの台頭で今時の子供は複雑な組み立てなんか面倒でやってられないだろうから、ちゃちゃっと作れるものでキャラクターごっこをしてもらう、といった遊び方を提供しようとしていたということです。しかし、そのためにレゴブロックを組み立てる楽しさは捨象されました。(この辺りの事情は、やはり「レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」2014年日本経済出版社 に詳しいです、おすすめ)


4605のインスト、なんとこれっぽっち。大ぶりな部品から構成されるため、組み立ても非常に簡単ですね。

ジャック・ストーンのビデオの、「パーツを組み替えてピンチを救うヒーロー」を謳いつつも実際のビルドの場面はややいい加減な描写というつくりには、当時のレゴ社がこのシリーズにおいて何を優先し、何を軽視していたかが端的に表れているように感じられます。

そもそもメディアが異なるので、並べて語ることに本来あまり意味はないのかもしれませんが、2014年の「LEGOムービー」はジャック・ストーンのビデオとは違って、「壊して組み立てることが可能」というレゴブロックの魅力をきちんと踏まえたものになっていたように思われます。LEGOムービーにおいても、主人公たちがレゴブロックを組み替えてピンチを乗り切る場面が劇中多く登場しますが、この映画に登場するオブジェクトは、原則として実際に組み立てられるものとなるよう、まずLEGO Digital Designer(レゴ社が配布している無料設計ソフト)を用いてデザインされています。
もちろん、とある組み替えの場面ではミニフィギュアの首はそんなにスムーズに回らねえよ!的なツッコミもできなくはないですが、ジャック・ストーンのビデオと比べると段違いに説得力が増した描写になっていますよね。その背景には、CGIの発達のみならず、レゴブロックというシステムにストイックに向き合う姿勢があったのは疑いようのないところでしょう。

ところで、続編のレゴムービー2にはフレンズシリーズなどの規格であるミニドールも登場するようですが、ジャック・ストーンにも出番はないのでしょうかね?
前作ではマニア受けする小ネタが色々と盛り込まれていましたが、そういった形でも幼少期のヒーローと再会できると嬉しいなあと思ったり笑

「レゴ ムービー2」公開記念!レゴと映像の世界特集 セット編

2018-12-12 20:55:21 | 雑記


2019年2月にいよいよ「レゴ ムービー2」が公開されますね!(追記:日本では3月のようですね)


2014年に公開された前作「LEGO ムービー」は、全米で2.57億ドルの興収を叩き出すなど興行面で大成功を収め、さらには有名映画批評サイトRotten Tomatoesでも批評家支持率96%を獲得するなど、作品としての質の高さも保証されています。

平たく言えば、レゴのファンであるか否かに関わらず、大人が観てもめちゃくちゃ面白い映画です。いや、むしろ大人が観た方が楽しめるかもしれません。
「ただの子供騙しじゃないの…?」などと思っている方は、一度観れば「ナ、ナーメテーター…」と認識を新たにすることでしょう。



(画像は「LEGO ムービー」の登場キャラ、ロボネーター)

そんな続編の公開を盛り上げるべく、勝手に色々と書き連ねてしまおうというのがこの特集です。
全く体系的な内容ではないことにはご注意ください!

今回は映画に関連したレゴオフィシャルのセットをいくつか紹介します。(廃番品が主となります)

まずは、「レゴ スタジオシリーズ」(2000~2002)から。
デジタル玩具の登場に直面し、新たな商品展開を模索した2000年代初頭のレゴ社は、「レゴブロックを使って映画を作れるシリーズ」を展開します。それが「レゴ スタジオシリーズ」です。
まずは2000年に大箱「1349 スティーヴン・スピルバーグ ムービーメーカーセット」のみがリリースされ、このセットには背景用の街並みがプリントされた紙や、PCに接続可能なカメラ、編集用ソフトのCD-ROMが付属しました。




2001年に発売された「1352 炸裂スタジオセット」は、強盗の襲撃シーンの撮影に使えるようなセットで、スイッチを押すと銀行が吹っ飛ぶという仕掛けが付いています。





レゴブロックでできた建物が壊れるというこのセットのギミックは、2017年度の駒場祭で大型作品に取り入れたビルの崩壊演出の着想段階にも参照しました。
(下の動画はレゴ系のエッジさんにアップロードしていただいたものです。いつもありがとうございます!)



参照しただけで、参考にしたことはあまりないですが(笑)


レゴスタジオシリーズには、多くのセットにスピルバーグ氏を模した「監督」のミニフィギュアが付属しました。





このミニフィギュアのヘッドは、スタジオシリーズ終了後もCITYシリーズなどで2009年までリリースされます。この辺り、手塚漫画のスターシステムのような面白さを感じます。





さらに、「レゴ インディ・ジョーンズシリーズ」のプロモーション動画では、このミニフィギュアが再びスピルバーグとして活躍する姿をエンドクレジットで見ることができます。(肌はLight Freshに変更されているように見えます)





レゴスタジオシリーズは、最初の大箱セットこそアメリカでニッチなニーズを埋めるおもちゃとしてそこそこのヒットを記録したものの、シリーズ全体としては世界的に見て期待外れの売り上げに終わってしまいました。このあたりの経緯は、「レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」(2014年、日本経済出版社)に詳しく書かれていて、とても面白いです。

とはいえ、レゴファンの間で"Brickfilm"と呼ばれるレゴブロックを用いたストップモーション・アニメを制作しインターネット上で発表するという遊びが盛んとなったのは、このシリーズによるところも大きいのではないかと思われます。
Brickfilmのアイデアが「LEGO ムービー」にも影響を与えているという点も踏まえると、レゴ スタジオシリーズの功績は結構大きいかもしれませんね。




レゴ スタジオシリーズの終了から15年、レゴ社は2017年に久々にストップモーション・アニメを制作するためのセットを販売しました。「LEGO ムービー」の成功を受けて公開された映画「レゴバットマン ザ・ムービー」「レゴニンジャゴー ザ・ムービー」のライセンス商品である、853650と853702という2種のセットです。




これらのセットは、撮影用カメラとしては手持ちのスマートフォンを用いることが想定され、そのスタンドを作るためのパーツが入っています。加えてそれぞれの映画の主役(級)のミニフィギュアやちょっとした小物が入っていて、背景用紙が付属しました。レゴ スタジオの背景用紙は投影図法だったのに対し、これらの新しいセットでは一点透視図法となっていることが注目に値するかもしれません。




この2つのセットの生産は止まってしまったようですが、来年には「レゴ ムービー2」に併せたムービーメーカーセットが販売されることもアナウンスされていますよ。




ちなみにこのセットには、主人公エメットと共にクリス・プラットが一人二役で演じる「レックス・デンジャーベスト」のミニフィギュアも含まれているようです。
予告を観る限り、このキャラクターはクリス・プラットのキャリアをメタ的に捉えるような人物像となっているようですね。

演者ネタといえば、この作品を思い出してしまいましたが…





画像引用元
https://www.bricklink.com/v2/main.page
https://brickset.com