#10251 レンガの銀行(Brick Bank) 紹介記事

2019-01-26 08:45:00 | 製品紹介
こんにちは、もつぴです。


初買いということでLego Creator Expert “レンガの銀行”(Brick Bank #10251) を購入しました!
“Brick”にはレゴの「ブロック」という意味と「レンガ」という意味があります、ダブルミーニングですね。
今回はこちらを紹介したいと思います。(3年前の製品だけど…)

こちらは俗に言う”モジュラービルディングシリーズ”の9作目となっています。
モジュラービルディングというのは、32×32ポッチのベースプレート上に統一スケールで組まれた建物のこと。
毎年始に発売されており、今年で12年目を迎えます。

先日「既製品は作らない」という紹介をされましたが、
それは「既製品を作って展示することはない」という意味ですので、
もちろん部員個人では商品も買ったり、インターネットで設計図を見たりしています。
そうして学んだ組み方などを、オリジナルの作品に活かすというわけですね~。

自分で組むためにセットを買ったのは実に4年ぶりだったので少し緊張しました。
しかしその買ったセットが3年前のモデルという…(笑)
(なぜ3年前のモデルかというと、作ったとしても今住んでいる下宿には置くスペースがないから。
年末年始の帰省のタイミングに合わせてようやく入手できました)

ちなみに最後に買ったセットは同じモジュラービルディングの”探偵事務所”(Detective’s Office #10246)です。
個人的にこのシリーズが大好きなので近いうちに特集記事でも書けたらなあ、と考えています。






と前置きはここまでにして、このBrick Bankについて紹介していきたいと思います。
けっこう細かい部分まで書いていくので、ネタバレにご注意ください。

~1階 見どころその1~


ここにドアのパネルがあります。


これをヘッドライトの裏側の穴に接続し、1×2カーブスロープで固定すると…


この通り、銀行の窓口になりました。
この写真では分かりにくいですが、お金の受け渡し口に1×2ポチスロ(黒いやつ)が使われているのがいいですね。
まあお札タイルはギリギリ通らないんですが…(笑)
手前のタイルも良い感じの色合いですね~。

~見どころその2~


こちらは金庫の扉です。(スパイダーマンごっこがしたくなりますね)


このハンドルは実際に回すことができ…


ウラから見たようす。今はロックされていますが


このように留め具が回転して…


扉を開けることができました。

~見どころその3~

コインランドリーのギミック。

右上の洗濯機(青でなく赤いランプがついている)にお札を投入すると…


後ろの穴を通り、下のスロープをすべり落ちて、反対側から取り出すことができます。
これぞ本当のマネーロンダリング。


このセクションを金庫とコインランドリースペースの間に置いて…


これで1階はほぼ完成になります。


ちなみにこの洗濯機の上にこのようなセクションを設けることで、
のちに作ることになる、煙突から金庫に進入する遊びができます。


こんないかにもチャラチャラしたやつに店を任せるから強盗が入るのでは…
いや、人(ミニフィグ)を見た目で判断してはいけませんね。

以下、そのほかに気になったパーツや組み方を紹介していきます。


#99021のパーツ。クリップと十字シャフトに対して相性が良く、金庫の扉に用いられています。
ロボットとかメカ系を作る人にはおなじみかもしれませんね、僕は初めて見ましたが。


こちらは螺旋階段。1×1ラウンドブロックや望遠鏡パーツを使っているのが個人的に面白かったです。


コインランドリーのショーウィンドウ。ネオン風のサインが良い味を出していますね~。
ひさしの右から1, 3番目の薄い黄色は、Cool Yellowと呼ばれる色。
ケーキのスポンジっぽい色が このやろーくんのお気に入りだったりします。(笑)


完成したコインランドリーがこちら。
奥手のオレンジのやつは洗剤でしょうか。
床のタイル模様もシンプルながら、今までありそうでなかったデザイン(たぶん)でけっこう好きです。


外壁に大量に使用されているのが金塊パーツ(#99563)です。
色は金ではなくLight Bluish Grayですが、デザイナーさんの遊び心が感じられますね~。

ちなみに左のミニフィグが手にしている証書、”FIVE HUNDRED STUDS”(=500ポッチ)と書かれているので、
おそらくレゴの世界のお金の単位はポッチということになります。(笑)


1階はこのくらいにして、2階の紹介に移りましょう。



2階はこまごまとしたものが多いので大きなみどころはありません。
強いて言えば吹き抜けのシャンデリアでしょうか。


基礎には、このいかにもシャンデリアっぽいパーツを使います。


まずは右のほう(#2566)にライトセーバーの柄(#64567)とダイヤ(#30153)を取り付けます。


ドロイドの腕(#30377)と、中心にアンテナ(#3957)を取り付けます。


シャンデリアっぽいパーツの片割れ(#98284)に、またまたライトセーバーの柄を取り付け、
先ほどのパートと組み合わせると…


このようにキレイなシャンデリアが完成しました。

他にも個人的に気になったところを紹介していきます。


事務所の椅子。背もたれにタイヤの軸(#4600)を利用して、肘置きとして#98313を接続しているのが面白いです。


その椅子が置かれた事務室のようす。


エスプレッソマシーン。レゴの建物シリーズにはコーヒーメーカーがありがちですが、
いつも少しずつパターンが違うのが好きです。


Dark Bluish Grayのキーボード。白色のものしか見たことがなかったのですが、
DBGも2011年版のミレニアムファルコンなど、30近いセットに含まれているそうで驚きました。
時代背景を考えるとこれはタイプライターのようですね。


こちらは天窓です。ヒンジプレート(#73983)で角度をつけています。
Sand Greenっていい色だな~と思うのですが、「錆びた銅(緑青)」と言われるとげんなりしますね(笑)
自由の女神や鎌倉大仏も元々はどんな色だったのか気になるところです。


ハンドルパーツ(#30229)
もともとはミニフィグに持たせ、丸い部分に糸を通してぶら下げたりするのに使われていましたが、
最近はもっぱら装飾に使われることが多いようで、Brick Bankも同様です。


このように上向きクリップを並べて、ハンドルをつけると…


このように軒先の装飾(エンタブラチュア)になりました。
以前、何度か登場したコーニスもその一部です。


屋根が完成したので、あとは外のこまごましたものだけです。


こちらのゾウの鼻っぽいパーツ(#43892)
一見、使いどころあるのかと思いますが…


良い感じのベンチになりました。

と、まあいろいろありまして…

完成しました〜


コインランドリーの側の壁面。
ごちゃごちゃした感じがたまりません、色合いもいいですね。


このモジュラービルディングシリーズ、このように階層ごとに簡単にフロアを外せるので
作った後も簡単に遊べるのが大きな魅力となっています。
写真のように階段が可動式なのも、遊びやすくするための工夫と言えるでしょう。




紹介は以上です。

組んでみた感想として、やはりプロのデザイナーさんはすごいなあと思いました。
自分で何か作ろうとすると、どうしても実物に寄せていってしまうのですが
それだと個性がないし、そもそもレゴである必要があんまりないんですよね。
もちろんそのような再現ビルドも大好きなのですが、
それだけでなく「レゴらしさ」をいかに残すのかということを今後の課題にしていきたいところです。


というわけで今回はここまでです。
Hachiさんがテクニックシリーズやバイオニクルについて
記事を書いてくれるそうなので、そちらもお楽しみに。
それでは。

レゴ設計ソフト(レゴデジタルデザイナー/LDD)の操作方法など

2019-01-20 13:00:00 | 雑記


こんにちは、もつぴです。

先日「嵐にしやがれ」をご覧になった方々、ありがとうございました。
東大生をイジる番組が多い中で、東大レゴ部の作品や活動を中心に紹介して頂いただけでなく、
来てくださった櫻井翔さんもとてもあたたかく丁寧な方で、我々もとても楽しかったです。
本当に、ありがとうございました。
(年末にお知らせがあるかも、と言っていたうちの1つがこれでした。笑)

番組を見て、「レゴに興味をもった!」とか「東大レゴ部/東大を目指したい!」と
思っていただけたら幸いです。




さて、今回は番組内でも紹介された
LEGO Digital Designer (レゴ デジタル デザイナー、以下LDD )
についてご紹介します。

このLDDは3Dでレゴ作品の設計ができるソフトで、レゴ社が無料で頒布しています。
サムネイルのナニカシラノサウルスはソフト上で設計したものを、
サードパーティのプログラムを使ってCG画像として出力したものです。


このように「lego digital designer」と検索すればトップにヒットします。(https://www.lego.com/ja-jp/ldd)
クリックして…


ここからダウンロードできます。
ダウンロード方法を紹介しているサイトもあるので、詳しくはそちらを参照してください。

東大レゴ部でも近年、多くの作品の設計にLDDを使用しています。
色と形を自由に選択できるので、実際にパーツを持っていなくてもレゴを組み立てる体験ができるのが強みです。

ダウンロードできたらさっそく開いてみましょう。


今回は黒色の「Extended」のモードを選択。
右下の「Free build」をクリックします。


開けましたね。
左側からパーツを選択して、フィールドに置くのが基本操作です。
たとえばこのプレートっぽいのをクリックすると…


このように「プレート」に分類されるパーツが表示されます。


ちょっと下にスクロールして2×3プレートを選択。
ポインタ(矢印)をフィールドにもってきてもう一度クリックすれば…


このように設置できました。
次はパーツの色を変えてみましょう。
左下の「Filter bricks by color」をクリックします。


このように色を選択できるようになります、けっこう種類がありますね。
黄色(Bright Yellow)にしてみましょう。


左側のパーツの色が黄色に変わりました。
こんどは左上のブロックっぽいやつをクリックします。


2×2ブロックを選択して、先ほど置いた赤の2×3プレートに近づけけます。


黄緑色のワクは、そこにパーツを置ける(接続できる)というサインです。
ちなみに十字キーのマークが表示されているときは、十字キーでパーツの向きを上下左右に変えられます。
ここでクリックしてみると…


このようにくっつけることができました。


ちなみに右クリックでドラッグすると、このように視点を動かすことができます。
また、パーツを右クリックすればそこが視点の中心になります。


他にも面白いツールがたくさんあります。
たとえばこちらは「Clone tool (コピーツール)」
選択したパーツ(ここでは黄色2×2ブロック)と同じパーツをフィールドに置けます。


おとなりのこちらは「Hinge tool (ヒンジツール)」
特殊なパーツを使用して、角度をつけることができます。
左側からこのクリップっぽいやつを選択して…


こんな感じのパーツを出します。


十字キーで向きを180度変えて、向かい合わせにしてパーツ同士を近づけると…


このようにくっつけることができました。


ここで先ほどのヒンジツールを使います。
手前のパーツを選択すると、このように丸い矢印が表示されます。
この矢印に沿ってドラッグすると…


このように角度をつけることができます。


こういった作業を繰り返していくと………


はい、なんやかんやあって警視庁ができました〜。(パチパチ)
次はミニフィグが片目を押さえているやつ(Hide tool)を使ってみましょう。


こんな感じで警視庁の左半分を選択してから、Hide toolを使うと…


なんと、選択した部分が消えてしましました。
消えたと言っても一時的に隠れただけなので、右上の両目を押さえたミニフィグをクリックしてあげれば元に戻ります。


このツールを使うことで、このように内部構造をカンタンに見ることができます。
実際に組むときには到底できない操作なので、LDDの強みと言えます。




以上がLDDの紹介でした。
自分で操作に慣れていくのが楽しいので、あえて説明しなかったツールや機能もあります。
ぜひ色々と試してみてください〜。

使いこなせれば…


某サウルスも作れるかも!?
ぜひご家庭に一台、某サウルスを。(笑)


今回はここまでです、
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは。

「レゴ ムービー2」公開記念! フルCGアニメの先駆、ジャック・ストーンとは?

2019-01-11 21:40:00 | 雑記
「レゴムービー2」の公開を盛り上げるべく、何かと理屈をつけて好きなものを色々と書き連ねてしまおうという特集第2弾です。
日本での公開は3月下旬のようですね!
「スパイダーマン:スパイダーバース」も上旬に公開されるということで、3月はフィル・ロード&クリス・ミラー祭りって感じになるのですかね。

この記事をお読みの皆さんは、「ジャック・ストーンシリーズ」をご存知でしょうか。
作りの大きい部品構成や背の高いミニフィギュアを特徴とするこのシリーズは、俗にレゴ暗黒期と言われる時代、2001年にリリースされました。



ジャックストーンシリーズでは、彼のヒロイックな活躍を押し出したビデオが制作され、レゴのオフィシャルサイトでもストリーミング再生することができました。

ドイツのTV局Vox社が配信した「LEGOムービー」の制作背景に関する動画においては、このジャックストーンのビデオは「レゴブロックをCGでリアルに描いた最初の映像作品」として紹介されています。

(このビデオではLEGOムービーのネタバレがあります。まだの方は先に映画を観ることを強くお勧めします!)



ビデオ中ではジャック・ストーンを掴みの部分に持ってくることで、LEGOムービーがいかにCGアニメとして進歩したものであるかが解説されていますね。

今回の記事では少しジャックストーンについて掘り下げることで、両者がレゴブロックの特性といかに向き合っているのかという部分について考えてみたいと思います。

ジャックストーンは、街のピンチにひらりと現れるヒーローです。「できるぜ、やるぞ、やったぜ!(CAN DO, WILL DO, DONE!)」を合言葉に、近くにあるパーツを組み替えて難題を解決していきます。



2002年のカタログより。「我らがジャック・ストーン」といった小難しい言い回しにも表れてますが、当時のオフィシャルのカタログの言葉遣いって、幼児に対して結構容赦ない気がします笑

セットに付属するインストラクションには、ジャックがパトカーのパーツを利用してボートを組み立て、水上に逃走した犯人を追跡する警察官を助ける、といった内容のコミックが掲載されていました。



4600のインストに掲載されたコミック。



ジャックストーンのフィギュア。レゴと聞いてまず想像するような牧歌的な空気は消え去り、アメトイっぽい雰囲気を漂わせています。
かなり抽象化が進んだ造形になっている通常のミニフィギュアに対して、鼻や耳といった顔のパーツに加え、胸や肩の筋肉の盛り上がりなど、立体的なディティールが細かであるのが特徴です。



とりわけ足元は完全に靴にしか見えない造形となっていて、靴ひものプリントまであったりします。通常のミニフィギュアの場合は裸足なのか靴を履いているのかはそれを見るものの解釈に委ねられますが、ジャックストーン規格の場合こうした自由度は奪われてしまっているとも言えるかもしれません。


ジャック・ストーンのビデオは、インターネットムービーデーターベースにも登録されているようです。
https://www.imdb.com/title/tt3309946/
(ちなみに、音楽担当にはDCEU「ワンダーウーマン」「アクアマン」などの劇伴を手がけたルパート・グレグソン=ウィリアムズがクレジットされており、大出世という感じでしょうか。これら二作品の主役もレゴムービー2に登場して、オリジナルキャストが声をあてるとなんて情報も目にしますね〜)



レゴブロックのパトカーが街中を疾走する映像に、当時幼稚園児だった僕は結構夢中になったのを覚えています。今となっては随分チープに映ってしまいますが、2001年時点ではこの映像も(幼稚園児にとっては)わりかしリアルなレゴブロックに見えていたように思います。

ジャック・ストーンのビデオの見せ場では、各セットに付属するコミックと同様に、人々のピンチに直面したジャックがレゴブロックを組み替えることによって問題を解決していきます。例えば彼は、ヘリコプターのプロペラをボートに取り付けて「ヘリボート」を組み立てたりと、あっと驚く方法で人々を助けます。
しかし彼の組み替えには、ペグ穴にバーを指すことで固定したり、ボールジョイントにヒンジを組みわせて運動させるなど、物理的にありえない方法でパーツを接続するものが多く含まれました。(もちろん本商品に付属するコミックにはそういったことはありませんでしたが)
プロモーション映像という特性上、「組み替えにはジャック・ストーンシリーズに使用されているパーツしか使ってはならない」という制約でもあったのかもしれません。しかしながら、実際には接続できないパーツ同士を組み合わせてこれでよしとする描写は、レゴブロックのシステムに対して不誠実と言っても過言ではないという気がします。

実はレゴ社はジャック・ストーンシリーズにおいて、子供にヒーローの物語を提示し、そのキャラクターで遊ぶ楽しさを提供することを狙っていました。組み立ての平易化や、フィギュアのディティールアップはそのための手段です。要は、ビデオゲームの台頭で今時の子供は複雑な組み立てなんか面倒でやってられないだろうから、ちゃちゃっと作れるものでキャラクターごっこをしてもらう、といった遊び方を提供しようとしていたということです。しかし、そのためにレゴブロックを組み立てる楽しさは捨象されました。(この辺りの事情は、やはり「レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」2014年日本経済出版社 に詳しいです、おすすめ)


4605のインスト、なんとこれっぽっち。大ぶりな部品から構成されるため、組み立ても非常に簡単ですね。

ジャック・ストーンのビデオの、「パーツを組み替えてピンチを救うヒーロー」を謳いつつも実際のビルドの場面はややいい加減な描写というつくりには、当時のレゴ社がこのシリーズにおいて何を優先し、何を軽視していたかが端的に表れているように感じられます。

そもそもメディアが異なるので、並べて語ることに本来あまり意味はないのかもしれませんが、2014年の「LEGOムービー」はジャック・ストーンのビデオとは違って、「壊して組み立てることが可能」というレゴブロックの魅力をきちんと踏まえたものになっていたように思われます。LEGOムービーにおいても、主人公たちがレゴブロックを組み替えてピンチを乗り切る場面が劇中多く登場しますが、この映画に登場するオブジェクトは、原則として実際に組み立てられるものとなるよう、まずLEGO Digital Designer(レゴ社が配布している無料設計ソフト)を用いてデザインされています。
もちろん、とある組み替えの場面ではミニフィギュアの首はそんなにスムーズに回らねえよ!的なツッコミもできなくはないですが、ジャック・ストーンのビデオと比べると段違いに説得力が増した描写になっていますよね。その背景には、CGIの発達のみならず、レゴブロックというシステムにストイックに向き合う姿勢があったのは疑いようのないところでしょう。

ところで、続編のレゴムービー2にはフレンズシリーズなどの規格であるミニドールも登場するようですが、ジャック・ストーンにも出番はないのでしょうかね?
前作ではマニア受けする小ネタが色々と盛り込まれていましたが、そういった形でも幼少期のヒーローと再会できると嬉しいなあと思ったり笑

旧開智学校制作記 その5

2019-01-10 20:00:00 | 作成日記
こんにちは、もつぴです。

完成を迎えた旧開智学校ですが、制作(後)記はもうしばらく続きます。
制作した側として、ぜひ見て欲しいこだわりがたくさんあるのでどうかお付き合いください。(笑)




さて、今回はチャームポイントの八角塔についてです。


このように上下で半径の異なる八角形2つで塔が構成されています。
まずは下部から。


ここで工夫したのは、このように長辺(グレーの1×4)と短辺(白の1×2)を交互に並べることで、
八角柱の8つの面それぞれの間に生じるスキマを可能な限り小さくしているところです。
このようなスキマ埋めは、もっと大きなスケールならば容易ですが、
スケールが小さくなるほど難しくなってきます。(今回はまだ大きな方でしたが)
ここに大きなスキマがあるとリアルさがなくなりダサくなってしまうので、大事な作業と言えます。

窓の部分は半プレートの厚さのブラケットを横向きに接続し、
さらにその側面に1×1スロープ(ポチスロ #50746)をつけることで解決。



八角形を上から見たようす。
八角形のフレームはヒンジプレート(#73983)を使用しています。
向かい合った辺どうしの距離が約12プレートだったので、
左右から<0.5プレート(ブラケット)+3プレート+1ポッチ(=2.5プレート)=6プレート>
ずつパーツを伸ばして補強のために接続しています。


妥協せざるをえなかったのが、またまた登場コーニスとその上の柵の部分…。
柵を取り付ける必要があるので、上部にポッチの無いウェッジプレート(三角形のプレート)は使えない、
コーニスがはみ出しすぎると見た目のバランスが悪くなってしまうので大胆なことができない、
などの理由から、最終的には単純に2×4プレートを取り付けるに至りました。

柵もスペースが限られているため、思い通りにはいきませんでした。
本当ならスペースを言い訳にするべきではありませんが。
プレート等(ここではグリルタイル)をクリップで留めるのにはかなり抵抗があるのですが、やむを得ず。

最後に塔の色について。
写真によってはSand Greenっぽい色なのですが、そうすると唐破風の色と被ってしまうため
ここではLight Bluish GrayとSand Blueを使用しています。
Dark Bluish Grayを除いて明るくすることで、1階下部のレンガ調の部分との差異をつけています。



次は八角柱の上部を見ていきましょう。
縦に長い扉と短い窓が交互に並んでいます。


こちらが上から見たようす。ブラケット祭!
というのも、プレートでは厚さがあり過ぎて限られたスペースに収まりきらないからで、
ブラケットに特有の半プレートの厚みを利用しています。


ちなみにこちらのパーツがブラケット。
ポッチが横に飛び出している面が薄くなっています。

先ほど大事な作業と言ったスキマ埋めですが、
ここでは白の1×2ポチスロ("ポッチ"スロープとは)を利用しています。手前の方が見やすくなっています。


以上、八角塔についての紹介でした。
今回はここまでです。
それでは。

旧開智学校制作記 その4 (完成編)

2019-01-09 23:50:00 | 作成日記
こんにちは、もつぴです。

今日は、完成した旧開智学校の設営を行なってきました。


立派なケースに入れられると、作品の完成度も上がったように感じますね。(笑)

1月12日(土)より、パナソニック リビング ショウルーム 東京にて展示されます。
球体ワークショップ(Webサイトにて要予約)も開催するのでぜひお越しください。




さて、これまでは作品のディテールについて紹介してきましたが、
今回は完成編ということで全体像を掲載していこうと思います。


まずは前面から。
お気付きの方もいるかもしれませんが実はこの旧開智学校、左右で窓の数が異なっています。
左には6個、右には5個の窓があり、それにともなって入口や八角塔も中心よりやや右に位置しています。


こちらは西側の壁。
コーナーストーンが壁より半プレート突出しているのが特徴的です。
このコーナーストーン、かなり試行錯誤した(末に妥協した)ので、次回以降の記事にするかもしれません。

左手の建物から飛び出した部分には小さな窓もついています。
軒先にあるおなじみコーニス。
写真では見えづらいかもしれませんが、壁とコーニスがぶつかる部分に生じた隙間を
白のレールプレートのレール部分によって申し訳程度に埋めています。


裏側の壁。表とは一転してシンプルで落ち着いた印象だったので、
思い切って水色(Medium Azure)を大きく取り入れてみました。
実際に水色なのは窓枠だけなのですが、こうすることでメリハリがついたと思います。
裏向きにした2×4プレートに透明(trans clear)な1×1プレートを貼り付けています。

下層のレンガ調の部分にはLight Bluish Gray, Dark Gray, Sand Blueを使用。
もちろん実物はこんなにハッキリとは色が分かれていませんが、こうしたほうがレゴっぽいなと思いました。


真上から見たようす。
ぜひ実物の作品を見ていただきたいのですが、前庭の石畳の歩道が良い味をだしています。
写真を撮った時点ではまだ作っていませんでしたが、左下の方には自動販売機コーナーもあります。

正面部分の比較。

うわ〜そっくりですね〜(白々しい)
捨象した部分も多いですが、おおむね満足です。
1階入口と唐破風の角度付けに特にこだわりました。


開智学校の全体像については以上です。
次回以降もディテールについて紹介していくつもりなのでお楽しみに。


<おまけ>
最後に、ショウルームに展示されている個人作品の様子をお届けします。


展示室に入って1番最初に目にするであろうスペース。
アンディ・ウォーホルのバナナやカッターナイフ、ターンクリップが展示されています。


寝室にちょこんと置かれた シンセサイザー。


スタジアム、シューズといったサッカーグッズをまとめて展示。
となりにキューブの習作も。


キッチンカウンターに置かれた食べ物たち。


ダイニング収納の上に置かれた花瓶と盆栽。
実際のインテリアとしても使用しうる見た目、クオリティですね。


食卓に置かれたショートケーキとシュトーレン。
シュトーレンはシーズンを過ぎてしまいましたがケーキはオールシーズンいけます。


このように生活場面に合わせて展示をさせてもらっています。
普段の学園祭での展示とは一風変わっていて、ちがった楽しみ方ができます。
上記の他にも何点か作品を出展しているのでぜひ足を運んでみてくださいね。

それでは。

旧開智学校制作記 その3

2019-01-08 23:00:00 | 作成日記
こんにちは、もつぴです。

制作記も第3回を迎えたところで旧開智学校の完成も近づいてきました。
近日中に全体像を掲載する予定です。

それまでは、また細かいポイントについて紹介していくのでどうかお付き合いください〜




さて今回は、前回の記事に名前だけ登場したコーニスについてです。

コーニスとは、もともとは古代ギリシャ・ローマ建築において、
柱で支えられた梁(エンタブラチュア)の最上部に位置する、でっぱった部材のことを指します。
このでっぱりが建物を雨などから保護するだけでなく、軒先のラインを明確にしています。

現在では装飾的に用いられることが多いようですが、旧開智学校においてもそうと言えるでしょう。
開智学校においてコーニスは、軒先だけでなく1階と2階の間にも見られます。
その部分をクローズアップしていきしょう。


コーニスを再現するのに、今回はレールプレート(左)と2×2ジャンパープレート(右)を使ってみました。


こんなふうに組み合わせて…


このスキマに差し込みます。


左右にも、同じようにレールプレートとジャンパープレートを組み合わせたものが並んでいます。

このように、壁からジャンパープレートが半ポッチぶん、
そしてレールプレートのレール部分が約1プレートの厚さのぶんだけ飛び出しています。
ジャンパープレートの飛び出しよりもレール部分の方がわずかに短いことで、厚さの印象を和らげています。


さらに詳しいことを書くと、ジャンパープレートのさらに1プレート下の層には白の1×6タイルを並べています。
タイルを並べるということは、上部との接続がなされない=強度が低下することを意味しますが、
それよりも、タイル下部の溝によって、上の写真のようなさらに細かい溝を表現することを優先したからです。
結果的には想像していたよりもラインの印象は薄かったですが…(笑)


バルコニーにもコーニスっぽい装飾がなされていますね。

どれだけ模様がこまかかったとしても、表面に凹凸がなければのっぺりした印象を与えてしまいますが、
以上のような手間をかけることで、そうした印象を抑えています。
窓の正方形が飛び出しているのもそのためで、実物よりも大げさに表現してあります。


今回はここまでです。
みなさんコーニスについての見識が深まったのではないでしょうか。
しゃなぎ先輩がレゴムービー2についての記事の続編を用意しているそうなので、そちらもお楽しみに!(笑)
それでは。

旧開智学校制作記 その2

2019-01-06 22:30:00 | 作成日記
こんにちは、もつぴです。

昨日に引き続き、現在制作中の旧開智学校についてポイントを紹介していこうと思います。
(「組み立てくらい、2日間部室にこもれば1人でも終わるやろ」と思っていましたが、
それは不可能だと気付いたので今日は このやろーくんや せきしょーくんに手伝ってもらいました)




今回は主に特徴的な正面について書いていこうと思います。

こちらが実物。

前回の記事で"和洋折衷の擬洋風建築"と書きましたが、ここですでに
天使の彫刻やバルコニー、コーニス(軒先などについている、でっぱった部分)という西洋的な要素と、
龍の彫刻や唐破風といった和風(アジア風)の要素が混在しています。
八角塔を洋風と捉えるか和風と捉えるかは難しいところですね。


これをレゴで再現していきます。
まずは上部から。

天使と開智学校の看板はこれが限界でした。
実物を見たことがある人にはギリギリ伝わる解像度かと思われます。
バルコニーの手前下方には、比較的新しい3幅ジャンパー(#34103 半ポッチずらし)を使用。

余談ですがこの看板、明治期に刊行された"東京日々新聞"(現在の毎日新聞の前身)
をモチーフにしているそうです。



バルコニーの奥の方はこんな感じになっています。
資料が限られていたので厳密さには欠きますが、ステンドグラスなどをしっかり再現しています。
アーチ状のタイヤのフェンダー(#50745)は以前から窓枠として使ってみたかったのですが、
Light Bluish Grayが存在しないと知って驚きました。

またまた余談ですが、当時ガラス製品は珍しかったため、
色ガラスをふんだんに用いたこの校舎は「ギヤマン学校」などと呼ばれていたとか。



こちらはウラのようす。
唐破風の角度づけに、かなりこだわりましたが、それを感じ取ってもらえると嬉しいです。
1つ上の写真を見てもらうと分かりますが、表からは見えないようにスロープを配しています。



龍の彫刻(っぽい何か)。
スペースが小さすぎました、これで勘弁してくださいm(_ _)m



その下、1階の正面入口がこちら。


実物はこのようになっています。
自分で言うのもなんですが、かなり頑張って再現しました。(笑)
パーツは全て接続してあります。
微妙な色合いを表現するためにDark Tan(濃い黄土色)やSand Blue(灰がかった青)を使用していますが、
これらの色はマイナーなのでパーツの種類が少なく、見かけ以上に苦労しました。
(このやろーくんに言わせればSand BlueもLight Bluish Grayも大差ないそうですが…!)

またまたまた余談ですがこの扉、普段は閉じており
一般の見学者は右奥手にある入口を使うのですが、行幸など特別な行事の際には開かれるそう。


今回はここまでです。
今年は(今年こそ)ブログやTwitterを頻繁に更新していきたいと思っておりますので、
ぜひチェックしてくださると嬉しいです。次回もお楽しみに〜。
それでは。

旧開智学校制作記 その1

2019-01-05 23:00:00 | 作成日記
こんにちは、部長のもつぴです。
明けましておめでとうございますですね。
今年も東大レゴ部をよろしくお願いします。

今日は卒論で忙しいにも関わらず、V.14先輩がフレンズのセットを持ってきてくれたので、
年明けから部員4名でワイワイ組んでいました。
これから試験期間なので最後の現実逃避になりそうです…!




さて、今回はタイトルにもある通り、現在制作している旧開智学校についてご紹介です。

↑こちらが実物の学校。11月に現地で撮影しました。

旧開智学校は、明治時代に推し進められた近代化を背景に1876年に完成しました。
地元出身の建築家である立石清重による設計で、
西洋風・日本(アジア)風の様式を織り交ぜた、擬洋風建築の代表例として有名です。
(具体的な部分については今後ご紹介できたらと思っています。笑)
歴史の教科書や百科事典などで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

現在は小学校としての役目を終えて博物館として再利用されているだけでなく、
重要文化財にも指定されています。

こちらの作品ですが、パナソニック リビング ショウルーム 東京さん
からのご依頼で制作しており、1月12日から3月24日にパナソニック汐留ミュージアムで開催される、
「子どものための建築と空間展」とのコラボ展示「ブロックで作る建築と作品展」として、
同ミュージアム地下のショウルームにて、他の個人作品と併せて展示予定です。
球体ワークショップ(ショウルームwebサイトにて要予約)も行う予定ですので、ぜひお越しください!




以下、作品のこだわりポイント等について書いていきます〜。

まずは特徴的な窓です。
グレーの枠の中にさらに赤茶色の枠があり、黄土色の正方形が2列, 3行の計6個並んでいます。


ウラから見るとこんな感じ。

左から伸びてきているパーツで2列のセクションを固定しています。
正方形にはtanのヘッドライトの裏面を使用しており、
下から「1×1プレート、ヘッドライト(横倒し)、1×1プレート…」というように積んでいます。

右から伸びてきているパーツは、中央のreddish brownの2×4タイルを固定するためのもの。
コーン(黄色いやつ)を使用しているのは、細いパーツを使うことによって
ヘッドライトの頭のポッチ(今は横倒しなので手前側の側面に突出している)を回避するため。
蛇口パーツ(#4599)や望遠鏡パーツ(#64644)も細いので、同様の回避ができます。
苦手な人もいそうですが、右のようにポッチの間に挟むことも可能です。


と、ここまで読んでお気づきの方もいるかもしれませんが
僕はここである禁忌を犯してしまっています。
そう、「テクニックブロックの穴にポッチをはめ込んでいる」のです。


左が側面ポッチ付きブロック(以下ヘッドライトもどき)、右がテクニックブロック。
じつはヘッドライトもどきのポッチの高さに比べ、
テクニックブロックの穴の高さはちょっとだけ高くなっているのです。


両者を接続し、上部にプレートを取り付けると一目瞭然(?)
グレーのテクニックブロックとプレートの間にうっすらとスキマがあるのが分かります。

これは小さな差ですが、積み重なると大きなゆがみにつながります。
そこで、テクニックブロックの側面にパーツを取り付ける際にはハーフピン(ポッチ付きピン)を使います。


左の青いのがハーフピン。これをテクニックブロックに差し込みます。


こちらに白の1×1スロープをつけてみました。
ピンが少しゆるいので、さっきよりもピッタリはまっています。
このような接続はクリエイターシリーズのサーファーワゴン(31079)でも利用されています。

ちなみに「テクニックブロックの穴にポッチをはめ込む」こと自体は公式でも認められているようで、
たとえば今年リリースのスピードチャンピョンのセット(#75894-1)でも行われています。
ただし上述のような高さの差が影響しないように使われており、ゆがみが出ないようになっています。
便利な技術ですが気をつけて使いましょう!


今回はここまでです、次回もお楽しみに。
それでは。