それは、1年前のことであった。
18歳の由紀子は、父親を憎しみ続けていた。
死んでくれれば良いとさえ思い詰めていた。
そんな彼女が、街中で出会った男がいた。
身長は180㎝ほどで長身、父親よりはるかに大きい。
髪は角刈りであり、厳つい様子であるが、由紀子の心を惹きつける男であった。
「おねいさん。俺とデートしないかい?」厳つい顔の男は微笑むと優しい容貌に変わっていた。
そして、誘われたのが、居酒屋であった。
当時、多くの飲食店が暴力団に金を定期的に支払っていた。
男は、その店を担当していた。
いわゆる、みかじめ料である、である、(見ヶ〆料、みかじめりょう)は、飲食店や小売店などが出店する地域の反社会的勢力に支払う場所代、用心棒代 。
男は、まずビンビルーを注文し、焼き鳥と刺身の盛り合わせを注文する。
由紀子は、父親に言わせると<不良少女>であったが、まだ、酒はそれほど飲んでいなかった。
彼女はタバコは少々、父親のタバコを盗んで、屋外で吸っていた。
「おねいさん、どんどんビール飲んでよ」男は上機嫌である。
当然、男には魂胆があったのだ。
ビールの次は日本酒となる。
<おねいさん>は、足がとられるほど酔っていく。
酒場街には旅館のあり、そこへ由紀子は連れ込まれる。
彼女にとって、相手は初めの男となるのだ。
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