出版帝国の戦争: 不逞なものたちの文化史
高榮蘭 (著)
帝国日本の出版市場は合法/非合法を問わず、植民地の人々を積極的に読者として包摂しようとした。朝鮮人にとって日本語は抑圧する言語であり、抵抗の思想を学ぶための言語であり、娯楽のための言語でもあった。『戦旗』や『キング』、マルクスやレーニン、金子文子や火野葦平、林芙美子らの思考や文学が、発禁本とともに帝国の支配圏でいかなる思想や文化を醸成したのか、多彩な作品から読み解く。
著者について
高榮蘭(コウ ヨンラン)
韓国光州広域市生まれ。2003 年日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在,日本大学文理学部教授。近現代日本語文学,翻訳,ポストコロニアル文学研究。
主な著書に『戦後というイデオロギー 歴史/記憶/文化』(藤原書店,2010 年;韓国語版は김미정訳,현실문화,2013 年),共編著に『検閲の帝国 文化の統制と再生産』(新曜社,2014 年;韓国語版は푸른역사,2016 年),論文に「文学の路上を生きる―在留資格から考える「日本語文学」という落とし穴」(『日本近代文学』第105 集,2021 年),「レイプの位相と男性セクシュアリティ―大島渚『絞死刑』と大城立裕『カクテル・パーティー』のあいだから」(坪井秀人編『戦後日本の傷跡』臨川書店,2022 年)など。
韓国光州広域市生まれ。2003 年日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在,日本大学文理学部教授。近現代日本語文学,翻訳,ポストコロニアル文学研究。
主な著書に『戦後というイデオロギー 歴史/記憶/文化』(藤原書店,2010 年;韓国語版は김미정訳,현실문화,2013 年),共編著に『検閲の帝国 文化の統制と再生産』(新曜社,2014 年;韓国語版は푸른역사,2016 年),論文に「文学の路上を生きる―在留資格から考える「日本語文学」という落とし穴」(『日本近代文学』第105 集,2021 年),「レイプの位相と男性セクシュアリティ―大島渚『絞死刑』と大城立裕『カクテル・パーティー』のあいだから」(坪井秀人編『戦後日本の傷跡』臨川書店,2022 年)など。
朝鮮語の識字率すら低い社会で、人々は何をどう読み、どう思考したのか。
図版も豊富に使って論じている。
1928年、京城(現ソウル)の新聞「東亜日報」に日本語版「マルクス・エンゲルス全集」の広告が朝鮮語で大きく載った。
プロレタリア文芸誌「戦旗」では、朝鮮人の知識人が社会主義理論を日本語で論議し、朝鮮人労働者の日本語投降も載っt。
中央公論社や改造社も左翼書籍を刊行しながら、朝鮮などの読者獲得に努めた。
日本は支配国であり、植民地朝鮮。
大枠での加害と被害の構図は明白だ。
だが、それだけで割り切れない無数の属性と主体性が帝国の下で交錯し、日本語と朝鮮語は入り乱れていた。
著者は独裁政権の勧告で育った女性の韓国人文学研究者で来日30年。
その立場だからこそ開けた視野を感じる、刺激に満ちた一冊(生)毎日新聞から引用。
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