フランス南西部のラスコー洞窟
フランス世界遺産ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群
フランスを代表する世界遺産の1つ、ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群。フランス南西部モンティニャックを中心とする広大なエリアに点在する、2万年ほどの歴史をもつ遺跡群は、他の世界遺産にはない美しさや荘厳さを放っています。
中でも1940年にモンティニャックの子どもたちに偶然発見されたラスコー洞窟は、フランスだけに留まらず世界中の注目を集めるほど大人気です。
今回は、何万年経っても人々を惹きつけて止まない鮮やかな壁画の残るヴェゼール渓谷モンティニャックの世界遺産、ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群の魅力。
1979年に世界遺産に登録された「ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群」は、フランス南西部モンティニャックに位置するヴェゼール渓谷を中心に広がる遺跡群の総称です。
その地域は40キロにも及び、1万5000年から2万年ほど前に描かれたとされる壁画の残る洞窟が25ヶ所、集落跡が147ヶ所、それぞれが世界遺産に指定された地域のあちこちに点在しています。
ヴェゼールに広がる遺跡の中でも、鮮やかな壁画が美しいラスコー洞窟や、初めてクロマニョン人の骨が発見されたアブリ・ドゥ・クロ=マニョン、ムスティリアン文化が繁栄したアブリ・デュ・ムスティエなどは特に貴重な文化的証拠として価値が認められ、世界遺産に選ばれています。
1940年9月12日、ヴェゼール渓谷にある小さな村で遊んでいた子どもたちが偶然見つけたのが、のちにフランスを代表する世界遺産となるラスコー洞窟。
元々ヴェゼール付近には岩山や洞窟が多かったこともあり、1940年まで誰にも発見されることはありませんでした。
洞窟は地下へと深く続き、いくつかに枝分かれした後、かの有名な壁画が見つかった大空間と呼ばれる部屋へ。世界遺産のメインとなったのが、洞窟の内部に見つかった無数の壁画です。
山羊や羊、鹿、数百頭にもおよぶ馬などの動物をはじめ、人間そのものを描いた壁画やその手形、幾何学模様など500点以上が確認されました。
最近の研究によって、これらは後期旧石器時代、ヴェゼール渓谷に暮らしたクロマニョン人によって描かれたことが分かっています。
子どもたちの発見は、世紀の大発見と呼ばれるほど話題となり、その歴史的価値から世界遺産に登録されることとなりました。
