全く同じ結果は有り得ないはずであったが、元水は繰り返していまった。
身から出たサビである。
原因はいくつもあったが、結果としてそれを選択したのだ。
利根川の緑地公園には、意外と人影が見られた。
早朝といっても、高校生たちが登校する時間帯であった。
県立松風高校のグレーの制服は元水の次男が通っている一高の制服と似ていた。
学生たちは自転車通学で、川下の方角へ向かっていた。
対岸の小掘の丘陵の緑の木立が夏の色合いを含んでいた。
新緑を好む元水は生まれた夏を段々、嫌う心情になっていた。
利根川の光景を野球場のベンチに横たわり眺めていた。
柳の簾のような枝葉が朝陽を遮っていた。
風に枝が揺れ、木漏れ日が顔に注がれた。
それを避けようと顔を傾けた時、目の異常が明らかとなった。
蜘蛛の巣のような黒い影と細かい染みのような黒い斑点が浮かび上がったのだ。
眼球を動かすとその黒い影も移動した。
眼底が出血したのか?
それが失明の予兆なのであろうか?
「この利根川の光景も見おさめになるのだろうか」と不安に襲われた。
青空には、ひばりが何かを告げるように高く鳴き続け、カラスが仲間と集めるように飛び交い、西空にサギが二羽舞うように鳴きながら飛んでいく。
となりの緑地にも野球場があって、ベンチに座る夫婦連れと想われる高齢の人影が、犬にゴムボールを投げ取らせていた。
42歳にもなる元水は会社に不本意にも不倫が知られて、気まずい思いから休暇を取っていた。
身から出たサビである。
原因はいくつもあったが、結果としてそれを選択したのだ。
利根川の緑地公園には、意外と人影が見られた。
早朝といっても、高校生たちが登校する時間帯であった。
県立松風高校のグレーの制服は元水の次男が通っている一高の制服と似ていた。
学生たちは自転車通学で、川下の方角へ向かっていた。
対岸の小掘の丘陵の緑の木立が夏の色合いを含んでいた。
新緑を好む元水は生まれた夏を段々、嫌う心情になっていた。
利根川の光景を野球場のベンチに横たわり眺めていた。
柳の簾のような枝葉が朝陽を遮っていた。
風に枝が揺れ、木漏れ日が顔に注がれた。
それを避けようと顔を傾けた時、目の異常が明らかとなった。
蜘蛛の巣のような黒い影と細かい染みのような黒い斑点が浮かび上がったのだ。
眼球を動かすとその黒い影も移動した。
眼底が出血したのか?
それが失明の予兆なのであろうか?
「この利根川の光景も見おさめになるのだろうか」と不安に襲われた。
青空には、ひばりが何かを告げるように高く鳴き続け、カラスが仲間と集めるように飛び交い、西空にサギが二羽舞うように鳴きながら飛んでいく。
となりの緑地にも野球場があって、ベンチに座る夫婦連れと想われる高齢の人影が、犬にゴムボールを投げ取らせていた。
42歳にもなる元水は会社に不本意にも不倫が知られて、気まずい思いから休暇を取っていた。