舎長が納豆を作った。
このところ舎長は発酵食品作りに燃えている。
大豆の二大発酵食品、味噌、納豆と立て続けだ。
納豆というのは藁苞(わらつと)に納めた豆のことだそうだ(小泉武夫『納豆の快楽』より、以下、納豆に関するうんちくのほとんどは同著よりの引用です)。
世界発酵食品競技会というものがあれば、間違いなく日本代表だろう。
2年前には韓国のテレビクルーが取材に来たほどだ(こちら)
手始めに、藁(わら)で苞(つと)を作る。その際に出る袴(はかま=稲藁の外側を覆うモラモラした葉っぱ)は後で使うので取っておく。
その藁苞を熱湯で煮沸。

納豆菌は1ミリの1000分の2ほどの大きさで、空気中にも多数浮遊している。その納豆菌が最も好んで住みついているのが稲藁。細かな溝がたくさんあり多孔質の稲藁は温かさと湿度を好む納豆菌にとっては最高のねぐらなんだそうだ。その稲藁を熱湯消毒したら納豆菌も死んでしまうのでは?
ところがどっこい、納豆菌は煮えたぎったお湯に20分浸けても死なない。が、他の雑菌はあらかた死滅する。そして軟らかく煮た豆は納豆菌の大好物。すなわち稲藁の中は納豆菌の天国と化す。
藁苞を割って中に茹でた大豆を入れる。
おまじないに2~3センチに切った藁を1本、豆の中心部に入れておく。
どうか、うまく発酵しますように…

藁苞を閉じ稲藁で結ぶ。この中で納豆菌は細胞分裂を繰り返し爆発的に増殖する。
1個が2個に、2個が4個に、4個が8個に、8個が16個に、16個が32個に、32個が64個に、64個が128個に…
圧倒的な繁殖力で、例えば病原性大腸菌が紛れ込んできても、難なく駆逐してしまうそうだ。

煮豆を詰めた藁苞を米袋の中に入れる。藁苞と藁苞の間には先ほどの袴を詰める。保温・保湿しつつ納豆菌の援軍も送り込むという、必勝の布陣が敷かれたわけだ。

これをコタツの中に入れて3日間寝かす。
この間に、1粒の豆に着く納豆菌の数は10億個に達するのだそうだ。
1食分の納豆に何粒の豆が入っているのか数えたことがないのでわからないが、まあ100個てなことはないだろう。仮に300個とすると、3000億個の納豆菌をわれわれは常食していることになるのだ。
さて、2月も終わりかけの日に、藁苞を開く。

おおーっ

おおーっ

ちなみに納豆のかき混ぜ方だが、食聖・北大路魯山人によると、
<納豆を器に出して、何も加えず箸で練り混ぜる。そうすると納豆の糸が増えてきて、かたくて練りにくくなってくる。この糸を出せば出すほど美味しくなるから、無精をせず極力練り返す。かたく練り上げたら、醤油を数滴落としてまた練る。ほんの少しずつ醤油をかけては練ることを繰り返し、糸の姿がなくなってどろどろになったら、辛子を入れて攪拌し、好みによって薬味を少量混和する>(『魯山人味道』、前著より省略して再引用)だそうだ。
さあ、じゅうぶん攪拌したし薬味も投入した。
あとはこれを混和して食べるだけ。
では、いただきます(合掌)。
このところ舎長は発酵食品作りに燃えている。
大豆の二大発酵食品、味噌、納豆と立て続けだ。
納豆というのは藁苞(わらつと)に納めた豆のことだそうだ(小泉武夫『納豆の快楽』より、以下、納豆に関するうんちくのほとんどは同著よりの引用です)。
世界発酵食品競技会というものがあれば、間違いなく日本代表だろう。
2年前には韓国のテレビクルーが取材に来たほどだ(こちら)
手始めに、藁(わら)で苞(つと)を作る。その際に出る袴(はかま=稲藁の外側を覆うモラモラした葉っぱ)は後で使うので取っておく。
その藁苞を熱湯で煮沸。

納豆菌は1ミリの1000分の2ほどの大きさで、空気中にも多数浮遊している。その納豆菌が最も好んで住みついているのが稲藁。細かな溝がたくさんあり多孔質の稲藁は温かさと湿度を好む納豆菌にとっては最高のねぐらなんだそうだ。その稲藁を熱湯消毒したら納豆菌も死んでしまうのでは?
ところがどっこい、納豆菌は煮えたぎったお湯に20分浸けても死なない。が、他の雑菌はあらかた死滅する。そして軟らかく煮た豆は納豆菌の大好物。すなわち稲藁の中は納豆菌の天国と化す。
藁苞を割って中に茹でた大豆を入れる。
おまじないに2~3センチに切った藁を1本、豆の中心部に入れておく。
どうか、うまく発酵しますように…

藁苞を閉じ稲藁で結ぶ。この中で納豆菌は細胞分裂を繰り返し爆発的に増殖する。
1個が2個に、2個が4個に、4個が8個に、8個が16個に、16個が32個に、32個が64個に、64個が128個に…
圧倒的な繁殖力で、例えば病原性大腸菌が紛れ込んできても、難なく駆逐してしまうそうだ。

煮豆を詰めた藁苞を米袋の中に入れる。藁苞と藁苞の間には先ほどの袴を詰める。保温・保湿しつつ納豆菌の援軍も送り込むという、必勝の布陣が敷かれたわけだ。

これをコタツの中に入れて3日間寝かす。
この間に、1粒の豆に着く納豆菌の数は10億個に達するのだそうだ。
1食分の納豆に何粒の豆が入っているのか数えたことがないのでわからないが、まあ100個てなことはないだろう。仮に300個とすると、3000億個の納豆菌をわれわれは常食していることになるのだ。
さて、2月も終わりかけの日に、藁苞を開く。

おおーっ

おおーっ

ちなみに納豆のかき混ぜ方だが、食聖・北大路魯山人によると、
<納豆を器に出して、何も加えず箸で練り混ぜる。そうすると納豆の糸が増えてきて、かたくて練りにくくなってくる。この糸を出せば出すほど美味しくなるから、無精をせず極力練り返す。かたく練り上げたら、醤油を数滴落としてまた練る。ほんの少しずつ醤油をかけては練ることを繰り返し、糸の姿がなくなってどろどろになったら、辛子を入れて攪拌し、好みによって薬味を少量混和する>(『魯山人味道』、前著より省略して再引用)だそうだ。
さあ、じゅうぶん攪拌したし薬味も投入した。
あとはこれを混和して食べるだけ。
では、いただきます(合掌)。

手作りの藁苞納豆娘(こ)の土産
ひと足早い春を味わいました。
わが舎の梅は、まだ蕾です。