監督 マーティン・スコセッシ
エイサ・バターフィールド (Hugo Cabret)
クロエ・グレース・モレッツ (Isabelle)
サシャ・バロン・コーエン (Station Inspector)
ベン・キングズレー (Georges Melies)
ジュード・ロウ (Hugo's Father)
レイ・ウィンストン (Uncle Claude)
クリストファー・リー (Monsieur Labisse)
ヘレン・マクロリー (Mama Jeanne)
リチャード・グリフィス (Monsieur Frick)
フランシス・デ・ラ・トゥーア (Madame Emilie)
エミリー・モーティマー (Lisette)
マイケル・スタールバーグ (Rene Tabard)
スコセッシ監督が1930年代のパリを舞台に、初めて3Dに挑戦。鍵となるのは“機械人形”と“映画”だ。父がヒューゴに遺した機械人形の修理が完了した時、機械人形は動き出し、「ジョルジュ・メリエス」という署名の入った月の絵を描く。その名はイザベルの養父の名前であり、映画界からこつ然と姿を消した、世界初の職業映画監督の名前でもある。子どもたちの冒険が老人の頑な心を溶かし、忘れていた映画への夢を蘇らせるという、映画への愛にあふれた一作。劇中にはメリエスの『月世界旅行』やリュミエール兄弟の『ラ・ジオタ駅への列車到着』など、初期の映画作品がいくつか登場。スコセッシ監督が映画創世記の監督たちに抱いているリスペクトが感じられるはずだ。
ひとりぼっちの少年ヒューゴは、時計のネジを巻きながらモンパルナス駅に隠れ住んでいた。彼は駅の中の玩具店で玩具を盗もうとし、店主のジョルジュに見つかってしまう。ジョルジュは、ヒューゴのポケットの中にあった手帳を見つけ取り上げた。父の遺品であるその手帳には、父が見つけてきた不思議な機械人形の修理法についての研究結果が書かれていた!手帳を取り返すため、ヒューゴはジョルジュの養女・イザベルに協力を頼む。
★★★★☆
邦題がいけない!
こんな邦題をつけたら、お子様向きの空想冒険ファンタジーじゃんかよ!
客さえ来ればもうけものみたいな発想はいかんよ~。
これじゃまるで、『ニューシネマパラダイス』を日本で公開するときに、
『映画少年サルバトーレとキスシーンの乱れ撃ち』なんて邦題にするくらい、残念だ。
この映画はファンタジー的ではあるけれど、逃避的な空想ファンタジーとは別物だ。
実にきっちり作られたヒューマンドラマである。
これを敢えて、マーティン・スコセッシが監督したことに驚きを感じる。
職人に徹したらこれだけの映画ができるってことだろうか。
だって、ニューヨークを舞台に、あの街の歴史・文化・民族の問題をテーマにしてきた、あの監督なのに、フランス人が英語喋ってる!
このこと自体が、スコセッシ監督の娯楽映画宣言だと受けとった。児童文学の名作が翻訳されるのは当然だし、ディズニーアニメの画面に英語が日本語に書き換えられていても違和感がない、あるいは違和感を感じなくてよいお約束ごとがあるのと同じに・・・。
つまりこれってスコセッシ監督がフランチャイズに徹した娯楽映画なんだ。
児童文学を映像化した映画として観た場合、これは傑作の部類だと思う。
古き良き時代の映画が巷の人々に与えた衝撃を、3Dメガネで再現しようという意図も十分伝わってくる。
だからこそ、敢えて注文をつけたい。
映画の冒頭、会社のロゴを突き破って列車が映画館の観客席に飛びこんでくるくらいのシーンで始めないと!
スターウォーズシリーズの輝かしい伝説はあの冒頭の宇宙戦艦登場シーンのインパクトから始まったのだ。
映像の魔力で酔わせるためには、もうひとつインパクトが欲しかった。
などといいつつ、この映画、忘れられない児童文学の一冊のように、大切に心にもっておきたい逸品であることはまちがいない。
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