「ハイ、こちらテレフォン相談室。早速お悩みをうかがいましょう」
「あの、しばらく家を空けていたんです。そしたら子どもたちが家の中を好き勝手にしてしまって」
「ほほう。それはアナタのお宅?」
「ええ。キレイにして出かけたんですけど、もうそこら中グッチャグチャ」
「そんなに?」
「片付けないくせに、あっちもこっちも汚しちゃって。ああ、もうどこから手をつけたらいいものやら」
「片付けられない病気って最近多いんですよ」
「それだけじゃないんです。子どもどうし、ケンカばっかり。ケンカしてないことがないくらい」
「片付けられないのも、ケンカが収まらないのも、お子さんがまだ幼いからですよ。自分しか見えないから」
「おまけに、お金のことばっかり考えて」
「あのね、いいですか。厳しいようだけど、ちゃんと聞いてくださいね。お子さんがこうなったのはアナタの責任ですよ」
「え?ワタシ?」
「家を空けたっておっしゃっていたけど、まだ分別のつかない子どもを放任したのがマズかったんです」
「ワタシの子どもですもん、きっと大丈夫だろうと思って」
「親はみんなそう言う。でもソレ、『子どもを信じる』って言い訳して教育を放棄していますよ。ちゃんとしつけなきゃ」
「そう、そうですよね。ワタシのせいですね。シクシク」
「起きてしまったことを嘆いていても仕方ありません。これからできることを一緒に考えましょう」
「ありがとうございます」
「ちゃんと向き合って話してみたらどうですか?」
「殊勝なことを声高に言うんです。キレイにしよう!仲よくしよう!ってね。でも、口ばっかりで、行動を伴わない」
「そりゃダメ息子だなぁ。甘やかしちゃダメです。心をオニにして。家から追い出してやるくらい」
「でも、追い出したらきっと生きていけないと思うんです」
「だめだなぁ。それだからツケアガルんですよ。死んだってかまわない。そんなゴミ野郎は追い出しなさい」
「ハイ、わかりました」
「すぐなさいヨ。気が変わってしまわないうちに。善は急げです」
ドドーン、ミシミシミシ・・・
「テレフォン相談室の放送中ですが、ここで臨時ニュースを申しあげます。東京上空に謎の飛行物体が出現、巨大掃除機で人間をどんどん吸い込んでいます」