カキぴー

春が来た

米は余らない?

2010年07月19日 | 食・レシピ

先週末、農作業の中で最も過酷だと言われる 「田の草取り」を手伝ってきた。 説明するまでもなく、今の米作で草取りの作業は必要なくなっている。 種籾の段階から除草剤を使用することで、雑草との戦いに人類は勝利したと言っていい。 さらに田植え機やコンバインの導入で、米作りは飛躍的に省力化が進み、皮肉にも米余りに拍車をかける結果となった。

除草剤や化学肥料を一切使わずに、米作りをしているのは、僕の住む郡山から南西に車で40分ほどの集落で農業を営む「K」さん。 夫を亡くした後もその意思を継ぎ、1人で自然米を作ってきた。 収穫した米はすべて直売、顧客はがん患者やアレルギー体質の人達で、僕も癌を患って以来の付き合い。

Kさんが弱音を吐いたのは3年前、60歳半ばになり体力的にも辛くなってきたので、少しだけ除草剤を使いたいと言い出したのだ。 たった1回の使用でも劇的な効果があり、草取りの苦労は半減する、 しかし元の田圃に戻すには数年を要する。 僕は断固反対し、1枚の田圃(3反歩・900坪)だけは毎年草取りを手伝う約束で、いままで通り続けてもらうことにした。

草取りの当日、田圃を見るまで不安だった。 昨年は6月半ばに終わってた作業が今年は遅れていて、連絡してもなかなか日程が決まらなかったからだ。 「もしかしたら除草剤を使ったのではないか?」、いやな予感がしたのだ。 だが草ぼうぼうで、稲が見えないほどの田圃を見てホッとした。 ご子息の結婚式や、母親の介護などで作業が遅れていたのだった。

午前3時間、午後4時間、Kさんと2台の「エンジン付き田車」を押して、汗と泥まみれになっての作業は終わった。 2リッターのスポーツ飲料が空になり、細身の長靴が脱げなくて手こずった。 これで秋には8俵ぐらいの収穫ができるだろうし、息子の家族にも安全な米が食べさせられる。 

やっと稲が顔を出した田圃を見てKさんがつぶやいた。 「こうして作れば、米は余らないんだよね。」 

  

   

 


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