冨田敬士の翻訳ノート

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英語の正書法 -The Elements of Style

2009-06-08 23:23:24 | 書籍
 英語にあって日本語にないもの、その一つは正書法ではないだろうか。日本語には正書法がないと言えば言いすぎになるかもしれないが、実際のところ文章の書き方のルールといったものを学校で習った記憶はない。日本語はみんながそれぞれ自分のルールで,つまり,自分の好きなように書いているというのが現実ではないかと思う。
 "The Elements of Style"(4th edition)は米国の文章指南書の一つで、書評によると何十年も前から多くの人に読み継がれ、英語の正書法の参考書として,英文を書く必要のある人たちや文章に関心のある人たちの間で広く知られてきたという。筆者が昨年,テンプル大学東京麻布校のリーガル・コースでしばらぐ勉強したおり,講師のEdwards先生が最初に推薦したのもこの本であった。100ページにも満たない小冊子ではあるが、効果的なコミュニケーションに役立つ英文の書き方が具体的にまとめられている。名詞を所有格にするときのアポストロフィの打ち方(例:Charles’s friend)や名詞が3つ以上並んだときのコンマの打ち方(例:red, white, and blue)、コロンとセミコロンの使い分けなどの基本的な約束事から、文章を書くときの基本的原則や注意点、誤りの多い単語や表現の使い方など、簡潔で明快な英文の書き方を教示している。100ページにも満たないハンディな構成は、要点を体系的に把握するのにも適している。
 この種の本は最近,日本語でもかなり出回っており,英作文の指南書に事欠くことはほとんどないが,それとは別に,ネイティブの練達の書き手が文章を書くときの姿勢や注目点などに直接触れることは,また格別な意味があるように思う。
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