冨田敬士の翻訳ノート

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ノートPCの選び方

2013-02-01 22:08:04 | 日記
 昨年暮れ,ノートパソコンを買い換えた。3年前から使ってきたWindows Vista,32ビット版から64ビット版Windows 7へのバージョンアップ。買換えモデルの選定にあたっては店頭でいろいろな機種を試し,結局,外国製のノートPCに落ち着いた。その後1か月ほど使ってみたところ,考えが及ばなかった点もいくつか目につくようになったので,買い換え時の要点と思うところを書き留めておくことにした。

ディスプレイの大きさ
 ディスプレイは14インチと15.6インチを検討したが,大きい方が見やすいと考え15.6インチを選んだ。最近のディスプレイはどれもワイドタイプで,以前のモデルに比べると縦の寸法が短い。文章を書くには縦に余裕のあるほうが使いやすいのだが,縦長のタイプを店頭で入手することは困難になった。ワイドタイプを使ってみて気になったのは,意外に横幅を取ること。机上が手狭になる。環境によっては15.6インチより14インチタイプの方が使いやすいかもしれない。店頭で見る限り,どちらも大した違いは感じられない。

ディスプレイの光沢と非光沢
 ディスプレイの液晶には光沢(グレア)と非光沢(ノングレア)の二種類がある。光沢は画面が反射するタイプで,色彩が鮮やかに見えると言われている。だが,背景が映り込むため画面がちらつき,文字はかなり見にくい。文章作成には非光沢画面の方が使いやすい。ところが,直販のオフィス向けと違って市販のモデルはほとんどが光沢タイプ。市販モデルはエンターテインメント重視なので光沢タイプだという。筆者が買い換えたモデルも実は光沢タイプなので,反射防止フィルターを使ってグレアを押さえようかと思うが,鮮明度が多少落ちるという意見もある。

パームレスト
 入力時は手の甲をパームレストに載せた状態でキーを叩くので,窮屈さを感じないようパームレストの広いモデルを選択した。パームレストの中央にあるタッチパッドも大きい方が,ポインターを動かしやすい。15.6インチのモデルならパームレストの問題はまずないが,14インチのモデルのなかにはパームレストやタッチパッドが意外にこじんまりした造りのものがあるようだ。

USB
 USBの挿入スロットは本体の左右に付いているほうが使いやすい。スロットを片側だけに並べただけでは,周辺装置をいくつか同時に接続するときに不便を感じる。USBは伝送容量の大きさも大切だ。翻訳では大量のデータを扱うので,買換え時のデータ移行などの際に従来のUSB2.0では時間がかかり過ぎる。最近ではUSB3.0が標準装備になっていると聞いているが,今度の買換えではそこまで気が回らなかった。

キーの打ちやすさ
 買換えの際に筆者がいちばん気をつかったのはキーボードの操作性だった。ノートPCの使い勝手はキーの打ちやすさに左右される。最近のPCは携帯性に配慮して軽く薄い造りになっている。持ち運びには確かに便利かもしれないが,打ちやすさの点ではむしろ後退した印象を受ける。
 キーの打ちやすさはキーピッチ(キーとキーの間隔)とキーストローク(打鍵時のキーの深さ)がポイントになる。キーピーチは,14インチ以上のモデルならまず問題はなさそうだ。
 キーストロークはどうか。これが浅いとキータッチがよくないだけでなく,指に負担がかかり,腱鞘炎などの原因にもなりかねない。キーストロークは深すぎてもいけないが,3mmは欲しい。ところが最近のモデルは本体が薄くなったぶん,2mmを切っているものが圧倒的に多い。筆者はなるべくキーストロークの深いものを選んだつもりだったが,それでも2mmしかない。2~3年前のモデルに比べ,キータッチが悪くなったというのが実感である。

キーボードの選択
 今のJISキーボードは評判が芳しくない。特に英文を打つには最悪といってもよい。一つはスペースキーが短いこと。英語の入力ではスペースキーを瞬時に繰り返し打鍵するが,JISキーボードではこのキーが40mmぐらいしかないので親指がうまく乗らず,余計な緊張を強いられる。そのほか,右シフトキー,改行キー,バックスペースキーなどの重要キーが小指から離れすぎていることも,操作性を悪くする原因になっている。
 買換えにあたっては英文入力がしやすいようにと,なるべくスペースキーの長いものを探し,結局,外国製のPCに落ち着いた。キーの配列はJISキーボード仕様だが,スペースキーは80mmもある。ネット販売で英語キーボード仕様のカスタムメイドを選ぶという手もあった。

日本語の入力方式
 筆者は前から日本語入力にはJapanistという入力ソフトを使っている。ノートPCで日本語を入力するときはFKB7628という小型の親指シフトキーボードを本体キーボード上に載せた状態で使う。親指シフト入力の利点についてはこのブログでもすでに取り上げたので,特に付け加えることはないが,こうした優れた入力方式のノートPCが一つも市販されていないのは残念でならない。



追記
 光沢液晶のディスプレイを非光沢にするためElecomの反射防止フィルムを張ったところ,光沢がだいぶ和らいだ。非光沢液晶のような完全な非光沢画面にはならないものの,画面のちらつきは十分押さえられる。文字を見る分には光沢画面よりはるかに見やすい。表面が心持ち白っぽくなった感じもするが,違和感はない。

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パソコンの選び方/Word 2010の使い勝手

2011-11-27 15:55:09 | 日記
パソコンの選び方

 10年前から使ってきたCompaq(Windows XP)にちょっとしたトラブルがあったので,用心のために買い換えた。コンパックは性能こそ大したことはなかったが,一度も故障したことはなく,安心して仕事に使うことができた。パソコンは無理な使い方さえしなければ滅多に壊れることはなさそうだ。
 経験から言えば,パソコンは用途に応じて選ぶべきで,文章を書くのに高性能のマシンは必要ない。今,店頭で品質を疑うようなパソコンにお目にかかることはまずないので,その点ではどれを買っても大差ないといえる。今度買い換えたマシンはWindows 7の安物だが(値段が安いという意味で,内蔵のCeleronは立派なCPUです),動作は速く,ファンの音は聞こえないくらいに静か。メモリーの容量にも不満はない。普通のソフトやインターネットを使う分には高性能のマシンと比べて体感的な違いは大して感じられない。パソコンを選ぶときは本体よりむしろ,キーボードやディスプレイに配慮する方が賢明ではないだろうか。翻訳では大量に文章を書く必要から,どうしてもデスクトップ型のパソコンが中心になる。ノートパソコンは移動しやすく場所もとらないので便利ではあるが,大量の文章作成には適しているとは言えない。理由はいろいろある。例えば,画面とキーボードが分離できないため無理な姿勢で打って目が疲れたり,キー・ストロークが浅いために長時間の打鍵で指を痛めたりしやすい。
 ディスプレイの形状も重要な選択要素になる。ディスプレイは2,3年前までは縦長が主流であったが,現在,店頭で販売されているパソコンのほとんどは横長のティスプレイが本体とセットになっている。横長は映画のスクリーンと同じように映像や画像を見るには適しているが,文章を書くには向いていない。文章を書くときは文面を上下に参照する必要があるため,横長タイプではいちいち画面をスクロールしなければならず,そのキー操作だけでも思考が乱されやすい。その上,横長は左右にスペースをとるので卓上が手狭になる。文章を書いたり図表を作成したりするには縦長のほうが適している。
今度買い換えたパソコンは18.3インチの横長ディスプレイがセットで販売されていたので選択の余地はなかったが,ディスプレイを余分に購入するのももったいない話なので,これからパソコンを購入する人は本体とディスプレイを分けて購入するとよいだろう。縦長ディスプレイも大型が主流になりつつあるが,文章を書くには17インチぐらいが適当といわれている。

Word 2010について

 Compaqに付いていたWord 2002は使いやすかったが,聞くところによると,ソーホーやその他多くの事業所でまだWord 2002や2003が広く使用されているという。これらの版は,Windows XPに付属しているからというだけでなく,シンプルで使いやすいことも長寿命の大きな理由になっている。Windows 7に付属しているWord 2010は確かに高性能にはなったかもしれないが,機能の数が大幅に増えたり画面のレイアウトがまるで違ったりで,操作に慣れるまでに時間がかかる。できることなら2003を簡易バージョンとして残してしてほしかったと個人的には考える。
ただ,文章を書く程度なら使用する機能の数も限られので,Word 2010が複雑になったといっても操作にはじきに慣れる。ショートカット・キーの使いやすさは気がかりだったが,いろいろ試しているうちに2010でも大抵の機能にショートカット・キーが使えることがわかった。リボンの機能はキーボードで選択できる仕組みになっている。Altキーを押すと各カテゴリーにアルファベットの文字が表示されるので,該当するキーを押していけば必要な機能にたどり着く。そのほか,2002や2003にはなかった検索機能も追加されているので,うまく使えばかえって作業効率の向上につながるかもしれない。
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大震災--アメリカからの伝言

2011-03-23 11:38:34 | 日記
被災地の土地を買い占めよ

1923年に起きた関東大震災はマグニチュード7.9。今度の東北関東大震災のマグニチュード9に比べると地震の規模こそ小さかったが,折からの火災によって東京は焼け野原になり,10万人以上の犠牲者を出した。何かの本で読んだ記憶では,地震の惨状が発信された後,米国政府とその関係筋から日本政府に対して一つの助言があった。被災した土地をすぐに買い上げよという。東京の市街地を買い占め,都市計画を策定して街を造り直せというものだった。詳細は把握していないが,成り行きに任せると次の震災のときに同じことの繰り返しになると米国政府は言いたかったのだろう。しかし,その助言が採用されることはなく,結果的に東京は今のような地震にもろい街になってしまった。
 東北関東大震災の現場では,報道によると多少とも残った家屋の修復が進められているという。少しでも早く我が家を建て直したいという被災者の気持ちは十分理解できるが,みんなが同じ場所に同じように家を建てたのでは大震災後の東京と同じことになるのではないだろうか。次の地震や津波から生命財産を守るためには行政が災害に強い都市計画を作って,それに従って道路などの居住環境を整備する必要がある。被災地の土地を買い上げるか,土地の所有権を制限するか,何らかの措置が必要だろう。
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上海万博探訪 - 中国経済はなぜ強い?

2010-09-24 22:30:15 | 日記
 9月21日、残暑の厳しい上海に遊び、万博を見学した。会場へはアジアゾーンの入り口から中に入った。会場内の構築物やパビリオンは途方もなく巨大ではあったが、日本のマスコミの報道もあってほぼ予想通り。平日とはいえ来訪者の数は多く、人気のある中国館や日本館、ヨーロッパのほとんどの館は入り口に長蛇の列。1~2時間は並ばないと中に入れない。
 筆者が特に強い印象を受けたのは施設の大きさや人の多さではなく、会場全体のグローバルな様相だった。先進国はもちろん、アフリカや東欧の開発途上と思われるような国と国際機関、総勢246の参加団体が独自にあるいは共同でパビリオンを造営し、個性を競っていた。巨額の費用を負担してまでこれほど多くの国が東洋の一都市に集まったのは何故なのか。会場を散策しながら次第に疑問が膨らんできた。
 2009年の貿易統計をネットで調べると、中国の輸出と輸入に占める外資企業の割合はそれぞれ55.9%と54.2%となっている。つまり、中国経済の半分は外資の現地法人や合弁事業などによって支えられていることになる。上海や北京市内、空港などで見た多くの外国人も中国内で生産や流通にかかわっている人たちだという事実が見えてくる。外資の受入れには難題も少なくないだろうが、巨額の税収をはじめ経済面での利益は大きいと推測される。
 日本でも1970年に大阪万博が開催され、海外からも多数の関係者が訪れ、本格的な高度経済成長に移行する転機になった。そのころの日本は外資にとってぜひとも参入したい市場の一つだったと思われるが、日本は結果的に外資を締め出す形でのいわば純血指向の経済政策をとった。外資に対する審査に時間をかけすぎるなど当時いろいろな噂を聞いたが、結局外資の会社や工場はほとんど立ち上がらずに終わった。一方、長時間労働と勤勉に支えられた純国産の工業製品は洪水のように輸出され、巨額の外貨と生活の豊かさをもたらしたものの、欧米各国の強い反感も買った。松下電器産業の故松下幸之助は「いいものを作って、それで批判されたのではかないませんな」と悔しがった。純血主義がまだ輝いていた時代である。
 中国は多民族国家という環境にもあるせいか外資に対する警戒心は薄いように見える。むしろ外資の誘致には積極的で、資金があるとか特異な技術を持っているといった企業は歓迎されるようだ。最近も日本の新聞によると、ある日本企業が上海で工場を設置したいと申請したところ、技術を開示する用意があるかどうかや、現地採用の従業員が独立して競争相手になる可能性もあるがそれでもよいかなどを聞かれたので、応諾したらその場で許可をくれたという。こうした積極的な受入れ方針が中国経済の躍進に貢献していることは確かだろう。
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