東京リサーチ日記

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「高齢者講習」

2019-05-24 00:00:00 | 情報・日記
 2019年5月24日、卒業・入学シーズンを控えての一大イベント。「とりあえずクルマの免許でも取らなきゃ・・・・・・」という“国民皆免許”の時代は、2013年現在とうに終わったのだ。ライフスタイルの変化により、とりわけ都会で暮らす若者の消費意欲は、高額な車を買うよりもケータイやパソコンなど情報機器へと向かう。ケータイ1台持てば、買い物もネットで済み、自宅に商品が届けられる。移動手段として車を持つ必要性がなくなれば、「免許離れ」が加速するのも当然であろう。警視庁発表の「運転免許統計」によると、都道府県の公安委員会が認定した指定自動車教習所の卒業者数は約156万人(2011年)で、2002年と比べると約40万人も減っている。それに伴い、教習所はこの10年で100校以上が廃業に追い込まれた現状にある。生き残りをかけた教習所は、あの手この手のサービス合戦を繰り広げている。ある自動車評論家は言う。「いまの教習所は接客業の意識が高く、昔のように頭ごなしに怒る鬼教官もいません。優しい指導をモットーに、教習の合間に利用してもらうレクリエーション設備を充実させるところもあれば、AT限定で20万円以下と低価格を売りにするところもある。ただでさえ少子化で免許取得人口が減る中、こうでもしないと生徒が集まらないのです。」近年、中高年向きのプランを揃える教習所が増えたのにはワケがある。70歳以上の高齢運転者が免許の更新を受ける場合、指定教習所で3時間5800円の「高齢者講習」を受けることが義務付けられたのである。「若者が減った分、高齢者をたくさん囲い込む戦略です。中には停止線で止まれなかったり、脱輪を繰り返したりと、とても免許更新に危なっかしい高齢者が多いと聞きますが、いくら運転が下手でも教習所は免許を取り上げることはできません。ただ受けてもらえば儲かる“濡れ手に粟”の高齢者講習とはいえ、ここで手を抜かれたら、事故件数の減少にはつながりません」と評論家は言う。教習所は民間運営のため、利益のために過度なサービス、生徒の争奪戦が「安全」に影響を及ぼす可能性が懸念されるところであろう・・・(井森隆)