「再生エネ研」郡山市に開所 太陽光など普及技術を開発

2014-04-20 17:35:05 | 自然エネルギー

「再生エネ研」郡山市に開所 太陽光など普及技術を開発

独立行政法人産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)は19日、福島県郡山市に設けた福島再生可能エネルギー研究所の開所式を行った。次世代太陽光発電など最先端の研究開発と実証に取り組み、国内外に技術を発信する。新たな関連産業の集積も図り、被災地復興を支援する。
 同市待池台の郡山西部第2工業団地に立地し、敷地面積は5.5ヘクタール。4階建ての研究本館などのほか、屋外に実証フィールドを設けて太陽電池や蓄電池の性能評価実験を進める。整備費は101億円。約100人の職員・研究員が勤務する。
 研究テーマは風力や地熱など6分野で、再生可能エネルギーの大量普及技術を確立する。太陽光発電技術では、低コストで高効率の薄型結晶シリコン太陽電池パネルの量産化技術の開発を進める。電力の安定供給実現に向け、太陽光や風力発電で得た電力を水素に変換し、大量貯蔵するシステムを開発する。
 国内外の機関と共同研究を進めるほか、福島大や東北大から学生を受け入れ、人材育成と交流を図る。被災地での産業創出を目的に地元企業への技術支援もする。
 開所式では、中鉢良治産総研理事長や佐藤雄平福島県知事ら約200人が出席した。
 あいさつで中鉢氏は「福島から世界的課題の解決に取り組む。新しい福島と再興日本の柱として貢献できることを願う」と語った。佐藤知事は「原子力に依存しない社会を掲げる本県では、再生可能エネルギー導入が極めて重大。復興の追い風となる」と述べた。

■福島復興へ決意新たに 再生エネ研の安川さん「期待に必ず応える」
 19日に開所式を行った郡山市の産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所には、今月1日の開所以降、研究者が続々と着任し「研究を通じて復興に貢献する」との決意を新たにしている。研究施設を見学した式の出席者は、研究成果や人材育成、産業集積に期待を寄せた。

 「自分たちが開発した技術を求めて世界中から企業関係者や研究者が集まる場所にしたい」
 総括研究主幹を務める安川香澄さん(50)は福島再生可能エネルギー研究所の数少ない女性研究者の1人だ。開所式に臨み、決意を新たにした。
 地熱発電に使う地中の熱水の動きを地上から把握する研究に力を注ぐ。熱水は地中の岩盤に無数にある亀裂の隙間に存在する。熱水が流れる際に発生する振動や電流などを分析し、地中奥深くの熱水の在りかを探り当てるのが目標だ。技術が確立すれば、効率的に井戸が掘れ、地熱開発が促進される。温泉など周辺環境に影響を与える心配のない開発にもつながる。
 東京都出身。東京大工学部を卒業後、茨城県つくば市の地質調査所(平成13年に産総研に改組)に就職し、地熱の研究を始めた。その後、米カリフォルニア大バークレー校の大学院で修士課程を修了、九州大大学院で博士号を取得した。
 震災と原発事故発生後、被災した福島県民の助けになりたいと考えていた。しかし、原発事故で地熱が再評価され、仕事が忙しくなって何もできなかった。そんな時、郡山市に再生可能エネルギーの研究所を造る構想が浮上した。「自分が行きたい」。上司に直談判した。自分の研究を復興に生かせるチャンスだと思った。
 3月、産総研のあるつくば市から郡山市に転居し、研究生活に入った。大学時代、フィギュアスケート部に所属し、郡山市内で何度も合宿を行うなどして県内に愛着がある。自分のように県外から来て新たな取り組みを始めることで少しでも県民を元気づけ、県外の風評を打破したいと考えている。「県民の大きな期待を感じる。必ず応える」