京大、電気を通す透明な紙の開発に成功

2014-04-13 18:04:52 | 技術

京大、電気を通す透明な紙の開発に成功

京都大学(京大)と日本製紙は、製紙用パルプがセルロースナノファイバの束であることに着目し、化学修飾を行うことで紙を透明化することに成功したと発表した。

同成果は、同大生存圏研究所の矢野浩之 教授らによるもの。詳細は2014年3月25日に開催されたNanocelluloseSymposium2014/第250回生存圏シンポジウム「セルロースナノファイバー ~日本には資源も知恵もある~」で発表された。

従来、フレキシブルエレクトロニクスとしては軽量かつ割れにくい高透明高分子フィルム基板の適用が検討されてきたが、ガスや水蒸気を透過しやすく、線熱膨張係数が大きいという欠点があった。

こうした欠点の克服に向け、幅20~50nmの高弾性・低熱膨張セルロースナノファイバーを透明なプラスチックと複合化させることで、透明性を保ちつつプラスチックに低線熱膨張性を付与することも検討されてきたが、セルロースナノファイバーは、数%程度の低濃度でしか取り扱うことが難しく、機械的解繊による製造ではさまざまな要因によりコスト高になること、また性能としては、吸湿性の問題や、疎水性である樹脂との相溶性などの課題があった。

研究グループは今回、セルロースナノファイバーの束である製紙用パルプに化学修飾を行うことでパルプを構成しているセルロースナノファイバー間の結束構造をほぐし、その間に樹脂を浸透させることで、パルプの内部深くまで樹脂を浸透させると、透明なパルプ繊維複合樹脂材料が得られることを発見した。

実際に製紙用パルプを化学変性後にシート化し樹脂と複合化したシートを用いて実験を行ったところ、セルロースナノファイバーを複合化した透明シートとほぼ同等の透明性と、低線熱膨張率が得られることを確認したとのことで、これを活用することで、将来的に透明低熱膨張材料の生産性が高まると期待されると研究グループではコメントしているほか、化学修飾によって、吸湿性や樹脂との相溶性の改善にもつながると考えられるとしている。


中華料理人、周富徳さんが死去

2014-04-13 16:20:31 | 芸能

中華料理人、周富徳さんが死去

テレビの料理番組などで人気を集めた中華の料理人、周富徳(しゅう・とみとく)さんが8日午後11時37分、誤嚥性肺炎のため横浜市中区の病院で死去した。71歳。横浜市出身。葬儀は近親者で行った。喪主は長男志鴻(しこう)さん。

 両親は中国広東省出身。横浜の中華街で料理人の父親の仕事を見て育った。高校卒業後、東京都内の中華料理店やホテルで修業。自ら経営に乗り出した店が評判を呼んだ。

 軽妙な話術と、手際のいい調理法が人気で、NHK「きょうの料理」などテレビ番組の講師も担当。バラエティー番組「料理の鉄人」などで独創的な中華料理を披露し、タレント活動も幅広くこなした。


うつを血液検査で見抜く

2014-04-13 10:47:25 | 医療

社員の「うつ」、血液で見抜く 早期発見へ

 全国で約100万人の患者がいて、職場でも大きな課題となっているうつ病。これまで客観的な診断基準が確立されておらず、再発率も高かった。数値などのデータによる新たな検査法や新薬開発が進む。ビジネスパーソンを守るための最新の取り組みを追った。

 今春、東京都港区にある精神科診療所、川村総合診療院を20代半ばの男性会社員が訪れた。仕事で突然ミスが続き、上司から精神科の受診を勧められたという。

 

休日は週に1日。仕事が忙しく、日々の食事も満足に取れていなかった。発症までの経緯と症状から判断すると明らかにうつ病。だが診断はうつ病ではなく、男性の能率低下の理由は、不規則な生活による脱水症状だった。最終的には男性は食事や水分摂取などの生活指導だけで、通常通りの業務が可能になった。


VBと新技術を共同開発


 川村総合診療院の川村則行院長がこの男性を「うつ病ではない」と判断したのは、血液中の「エタノールアミンリン酸(EAP)」の数値が正常だったため。EAPは、川村氏がヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)と共同で開発を進めるバイオマーカーだ。HMTは東証マザーズ上場の慶応大発ベンチャーで、細胞の代謝物の分析を請け負う。

 うつ病は診断の難しい疾患だ。一般的に医師は、「DSM―4」と呼ばれる国際的な診断基準に照らして問診を行い、診断する。だが、患者が常に正確な状態を医師に伝えるとは限らず、客観的なデータがない。医師の診断能力に依存し、時に臓器に異常が認められる器質的な疾患は見逃されがちだ。「男性会社員は、通常の精神科医ならば間違いなくうつ病と診断して薬を投薬するケース」と川村氏は話す。

 このバイオマーカーは、川村氏が国立精神・神経センター(当時)に勤務していた2002年ごろに研究を開始。「精神疾患を発症すると免疫力が落ちる。血液内になんらかの問題が出ているはず」と考えてHMTに研究を委託して開発した。

 だがHMTが通常、代謝物の解析に利用する「キャピラリー電気泳動」という方法ではコストが1例40万円程度かかるほか大量に測定するのは難しかった。そこでHMTはEAPを「クロマトグラフィー法」と呼ばれる解析方法や酵素を用いて測定できるようにした。

 1万円から2万円程度での計測が可能となり、実用化も視野に入った。HMTによるとうつ病を拾い上げる「感度」は80%以上、うつ病でない場合にうつ病と診断されない「特異度」は95%を超える。既に川村氏は試験的に約1200人、2500例で計測を実施、実用性に自信を示す。

■川村則行1961年、京都市生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部医学研究科大学院博士課程細菌学教室修了。医学博士。