湯は雑音を除去する。

基本的に私は1年中シャワー派。

なんかバスタブに浸かるなんてまどろっこしくていけねえや。

湯なんざちゃちゃっと浴びてちゃちゃっと出る。カラスの行水ってなもんだ。

大の男が風呂でぐたぐたしてるなんて粋じゃないねえ。

ですが、最近は弱ってきたのか、寒中のシャワーは堪えるようになりまして。

バスタブにたっぷり湯をはり、深く身を沈めます。耳が被るぐらい沈めます。

そうすると無音の世界になります。

こぽこぽと水音は聞こえてきますが、世の中の雑な音は聞こえません。

今の音だけではなく、もっと前の音も遮っている気にもなれます。

浮力に身を任せるのと相まって、リラックスできるひと時です。

いくら勧められても、半身浴をやる気にはなれません。

こっちの方が汗をかいて、新陳代謝がよくなるから、言い張られたりします。

そうはいうけど、おまいさんねえ、物事には道理ってもんがあるんだよ。

なんでもかんでも算盤尽くじゃ風情がないねえ。

風呂ぐらい頭ん中すっからかんにして入りゃいいじゃねえか。

じゃ、おあいそね。