ぼけの花

のらりくらり日々感じたこと。
自分のための記録。

思い出話

2019-06-14 22:42:46 | にっき
いわゆる里帰り出産というやつで、二度の出産時は実家で世話になった。
娘(大)の時はちょうど実家がリフォーム真っ只中で当時母はまだ仕事していたし、仮住まいから病院は徒歩で行ける距離だったので運動がてら臨月の大きな腹突き出してテクテク歩いて通っていた。
その道中、何曜日だったか忘れたが朝市らしきものが催される通りがあって、鮮度の悪い野菜を並べていた婆さんがわたしに向かって「大分大きいね。いつだい?(出産)」と声を掛けてきた。
いや〜もうすぐなんですよ〜と答えると「ウチの娘の時は…」と始まった時には既に遅し。その後延々と話を聞かされた。

「よくテレビなんかで我が子と初めての対面の時、やっと会えたね。生まれてきてくれてありがとう。なんて我が子に言ってるのあるだろ?あれお礼を言う相手を間違ってるんだよ。我が子よりもまず、先生に感謝の気持ちを伝えるべきじゃないか?先生、無事にこの子をお腹から出してくれてありがとうって。…だからね、ウチの娘には、まず最初は先生にお礼を言いなよって言ったんだよ。云々」

…はぁ。そうですか。(ヤレヤレ) と言いつつも確かに一理あるなと思いながらその場を去った。

数日後。さぁ来た本番。
初めての経験で何が何だかわからず予想以上の陣痛の痛さに12時間以上耐え過呼吸になりながら生んだ我が子との初対面、震える手で(なんせ過呼吸だから)娘の手を触りながらのわたしの第一声。

「先生…どうもありがとうございました…



なんと、あの萎びた人参を並べていた見ず知らずの婆さんの顔を思い浮かべ忠実に言いつけを守った自分がいた。

おそらく一生のうちで上位に入る感動的な場面だったあの時…
わたしって結構マジメな人間(単にバカ)だよなと、あれから丸10年経った今も自分に情けなくも笑える。

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