生前、評価を得なかった孤高の画家フィンセントと、その兄を献身的に支えながら画商として働くテオドロス。
そんなゴッホ兄弟の話。
弟なしでは今ゴッホの作品はここまで残らなかったかもしれない。
テオがいてのゴッホ。
兄弟愛が強いというだけでなく二人とも感受性が強いが故に、言いたい言葉を飲み込んで自分に押し込めるようなところはとても苦しかったろうと思う。
でも最後、ゴッホは以下書き残す。
「僕らは、ただ、絵を通すことによってのみ、何かを語ることができると。そうだとしても、テオ。(ー中略ー)僕を通して、君もまた、絵の一部を描いているんだよ。だからこそ、どんなに苦しいときでも、僕の絵はしっかり定まっているんだ。」
どんな関係であれ(フィクションとは言え)、最終的に信頼出来る人とこんな間柄になれるなんて憧れでしかない。
それにしてもモネ、ドガ、ルノワール…。
印象派と呼ばれる画家たちがこんなにも日本の浮世絵に影響を受けていたとは知らなかった。
またひとつ勉強になった。
確かにモネのラ・ジャポネーズは本当、美しいまでに日本だ。
ゴッホも大いに浮世絵に刺激を受けたひとり。
音楽でもこの時期、印象主義と呼ばれる作曲家、ドビュッシーも北斎に影響を受け曲を書いている。
交響曲「海」のスコアの表紙は北斎の絵を使用しているとのこと。
この時代のフランスの芸術ってある意味改革の時期だったんだなぁ…
本のタイトル、たゆたえども沈まずというのはパリ市の標語なんだそう。
彷徨うことがあっても、確固たるもの・ゆるぎないものがあるのを感じられる。
素敵だ。