気になる写真!

このブログはその時々の好奇心で、気になった被写体を切り取り、・・・チョットだけ考えてみようと

ラ・マンチャ

2017-03-26 | 旅行記

早春の朝、この地は日の出が遅い。朝8時ホテル前、やっと明るくなりそうです。

ホテルから南に約140km・・・(昨日のトレドから更に南南東約60km先に向かいましょう)

バスはマドリード市街から抜けると、高速道路は単調な風景が連続します。

太陽の光に照らされて、このような風景が・・・しかし、なぜかまだ薄暗い。

やがて、昨日見慣れた赤茶色の・・・

・・・9時半過ぎ、トラクターで畝を作りブドウ苗木を植えているのか、・・・緑の樹木はオレンジかあるいはオリーブの木でしょうか。

オリーブ栽培の北限は、ここスペインではトレドといわれています。

・・・見渡す限り赤茶色、標高約600mの高原(北部マドリッドは平均標高500m、この先の向かう南部は平均標高700m)。

グーグルの航空写真を見てみましょう。

ここはイベリア半島中央部、ラ・マンチャと呼ばれる乾燥地帯・・・夜間-15℃に達することもある冬季と、

一方長く暑い夏季には日中45℃に達することもあるといわれる・・・

所々に尾根のような小山が見えてきます。

麓の植栽が・・・低木の木々はあるのでしょうか。降水量が少ないようですから地下水や水源は期待できないでしょう。

やがて出発から2時間になろうとする頃、目的地かな・・・と思われる表示が見えてきました。

 CONSUEGRA、この街外れには風車があります。(ラ・マンチャ一帯には、たくさん現存しています)

ここで一般道に出ると思う・・・ゲートが無いのでカーブで減速すると、いつの間にか一般道です。

市街地の外側を走るっていると予想外のビニールハウスが見えてきました。

トマトの栽培でしょうか・・・乾燥地帯です・・・、温暖の差の影響を受けないように・・・。

・・・10分ほど走ると、・・・朝の10時過ぎ、人通りのない街外れにさしかかりました。

振り返るとこの様な街並み、白壁、長屋構造です。右奥から来ましたが、この十字路を右側に曲がります。

すると前方の小高い山に、車窓からこんな風景が見えてきました。

風車です。

左の崖上の建物は・・・大昔からある要塞のようです。

間もなく手前の風車で一時停止、案内所とあります。案内所で入場の許可?駐車の許可?聞くのを忘れました。

グーグルの航空写真を拝借しましょう。上側は南方向になります。

中央下部①の風車が案内所です。風車が5基、手前の小山にあります。

 右側の丘の上にある風車を横目に・・・進むと、大型クレーンが要塞を修復しているようです。

振り返って要塞を見てみましょう。

 これはいつの時代の建造物でしょう。相当古い感じです、ローマ時代の末期でしょうか

ナポレオン軍との攻防で要塞は破壊され、近年修復をされているようですので、近いうちに観光資源に追加されるでしょう。

・・・奥の駐車スペースに到着。

奥の⑥の位置から要塞方向に5基、風車が並ぶ光景は・・・複雑ですね。

16世紀、ロバでこの山頂まで穀物を荷揚げし、製粉作業を終えると出来上がった袋を乗せて山道を下る

・・・昼飯持参で大勢で賑やかにやってきたのでしょうか、

あるいは専用で従事する人々が、周辺に仮設の山小屋でも建てて作業にあたっていたのでしょうか。

水辺の風車とは違い、・・・下界と標高差100mくらいの山頂です、労働環境が厳しいでしょう・・・そんな風車のある風景です。

斜めの長く太い棒は、風車を風向きに合わせて回転さてたのでしょうか、回転式風車はあるようですので・・・

風車からの眺望です。これは西側になります。

日が当たっている東側の眺望が

内部が公開されている⑤の風車に入ってみましょう。

入り口、この様な青銅製の騎士がこの地方ではよく見かけます。

1階は売店もありました。

ラセン階段を上ると2階でビデオが放映中、英語、日本語、中国語です。

風車翼が(多分木軸骨組みに、布を張っていたと思いますが)

水平方向のシャフトに

丸太製の歯車(ギア)を取付けた円盤を組み込み、

垂直軸に取付けた円筒型歯車に回転軸を直交させ変換し、垂直軸下側に取付けた石臼を回します。

2~3枚重ねで下側は固定、上側を回転しましょう。

上下の石臼接触面には放射状の溝が加工されて、・・・上側の石臼には中央周辺部に孔をあけてあります。

中央付近から投入された素材は、すり潰され、砕かれた材料が傾斜もあり周辺部に押し出される・・・

多分記憶では、日本のポータブルな石臼にそんな構造があったように思います。

・・・しかし、ロシナンテに乗った、ドン・キホーテ・・・この様な風車に体当たりをする作者の発想は?

遠目から見れば有でしょうか。

・・・危ない!急な崖から転落の危険があります。

とすると、・・・物語で風車の場所は特定をしていません、しかし、登場人物で姫のモデルとなった人物が住んでいた村

El Toboso エル トボソはこの場所から、東北東約60kmに現在もあります。

周囲に風車で有名な街は、・・・トボソの南・・・約20km、Campo de Criptana カンポ デ クリプタナ が本命とされています。

ここ Consuegra コンスエグラ から、東南東に約45km、特徴は街の直ぐ近くの丘・・・写真をグーグルからまた拝借しましょう。

この様に街から標高差が少ない場所に風車があれば、作者は旅の印象に強く残っていることでしょう。

・・・スペインが無敵艦隊時代の1587年、作者セルバンテスは40歳になっています。良い仕事が見つからず

このラ・マンチャやアンダルシアの広大な荒野を歩き回り、嫌われ者の仕事と呼ばれる、税の取り立て役や海軍の食料の取り立て・・・

そんな仕事を55歳頃まで続けて2度も投獄されたと言われます。・・・波乱の人生、旅を続けた人生を送っています。

・・・各地を旅して、宿屋が作中に色々登場します、この街 カンポ デ クリプタナ にも泊まったことでしょう。

ドン・キホーテ(もうすぐ50歳の主人公)騎士道物語に夢中になり過ぎて、仕事も忘れ、自らが騎士道のあるべき姿を実践するべく旅に出て

・・・そして、風車の部分は・・・短い内容です・・・

・・・サンチョ・パンサに・・・あそこに30かそこらのふらちな巨人どもが姿を現した、我は彼らと一戦を交え、

皆殺しにして、分捕ったものでお前と裕福になろう。逃げるでないぞ!・・・向かっていくと、一陣の風が吹き風車の翼が動き出す・・・

ドン・キホーテは「おぬしらが、かの巨人ブリアレーオより多くの腕を動かしたとて、わしが目にもの見せずにおくものか」

盾を構え、槍を小脇に・・・ロシナンテを全速力で駆けさせ、一番手前にあった風車に突撃した。

槍を突き立てた瞬間、激しい風・・・風車が回り・・・槍はへし折れ、馬もろとも反対側に飛ばされて、野原を転がる始末だった。

・・・「やれやれ、なんてこった!」とサンチョが言う。「あれはただの風車で巨人なんかじゃねえと」・・・

こんな調子の旅物語、・・・食事のメニュー、羊肉より牛肉の煮込みが多く、日曜日には小鳩の一皿・・・

そんな会話も登場し、読み手には疑似体験ができたのでしょうか・・・

・・・街の宿屋・・・歩き疲れて・・・一杯飲みながら夕暮れの風車を見ていたら、魔物に見えてきた、

気が大きくなり、槍を持って突進していたセルバンテス。・・・そうだ・・・旅を続ける騎士の物語を書こうと・・・。

この先、これからスペインらしい南部に向かいます。長距離移動となります。

 

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