くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

晩秋の実り二題

2022-11-19 16:01:00 | 作品
〈渋柿や色葉いろいろ甘柿に〉
〈晩秋や啄み残し絵に残し〉【久世樹】

 ほとんど葉を落とした柿の木に残った渋柿20粒。皮を剥き、軒に吊るして、干し柿にします。その前に、色鮮やかな落ち葉を添えて写生一枚。「甘くなれ、甘くなれ」のお呪い!

 もう一枚。鳥が啄(ついば)んで皮と種が散らばる棚に、「木守り柿」ならぬ「木守り通草」ふたつ。鳥たちの、「来年もよろしく!」のメッセージ⁉︎






《常葉の柚子》

2022-11-16 12:11:00 | 作品

〈柚子の木や実を摘み去りてなほ常葉〉【久世樹】

 今年もたわわに実りました、猫の額の我が家の庭の柚子。隔年の表裏が際立つ柿の隣りで、毎年食べきれないほどの豊作が続き、家人はせっせとご近所知り合いに配り歩いています。すっかり葉を落として凛とした柿と、実を摘み尽くしてなお瑞々しい深緑の柚子。どちらも我が家の《宝樹》です。




丸山晩霞展

2022-11-12 20:43:00 | 展覧会
スケッチ例会の帰路、小金井の〈はけの森美術館〉で今日から始まった《丸山晩霞・日本と水彩画》展を観てきました。

 明治末から大正・昭和始めにかけては水彩画の一大ブームであったそうで、浅井忠、小山正太郎、吉田博、大下藤次郎らと並ぶ牽引者の一人・丸山晩霞(1867-1942)は、同じ”みずゑ”である日本画と西洋水彩画の融合を求めて、国内はもとより欧米・アジアを旅する画家でした。原画を直に観るのは初めてでしたが、人の手の及ばない火山や滝など自然のスペクタクルに迫る気迫は、ターナーにも通ずる圧巻でした。

別室の洋画家・中村研一のデッサンもなかなか良かったです。(当美術館は中村研一のアトリエ跡)


丸山晩霞《浅嶽旧火口》1897年


『桐一葉』

2022-11-12 18:03:00 | 作品
〈裏表きらりきらりと散る紅葉〉【子規】

〈桐一葉日当たりながら落ちにけり〉【虚子】

 ひと月ぶりのスケッチ例会で三鷹の東京天文台へ。晩秋から初冬へ移ろう武蔵野の森を、近代俳句開拓者の句そのままに「写生」しました。