蝸牛のこちょこちょ

みずしろの普段着物と手仕事と好きなものの記録。

最近の着物など

2020年03月05日 | 普段着物

 着物をまた、ぽつぽつ着始めて、じき5年になります。
 特に遠方へ電車などで出かけるとき、ほぼ着物でいくようになりました。
 ひとさまにお会いするほど洒落た洋服持ってない、というのもあるのですが、一番の理由は「冷暖房で身体を壊さなくて済むから」。
 エアコン、子供の頃からてんでだめなのです。特に冷房に弱くて、夏の遠出は交通機関のガンガンに効いた冷房と外の暑さとの差で、毎年数回はお腹を壊していました。
 それが着物で電車に乗るようになって以来、ただの一度もないのです。どっかの通販広告みたいですが、盛ってないです。ほんとの話。
 考えてみたら、着物は(特に女物は)、いくらスケスケの夏着物とて、襦袢とおはしょりで最低4枚は布がお腹に掛かっていますし、伊達締めをして帯も二重に巻きますから、どんな腹巻よりも「お腹を冷やさない」効果抜群なんですよね。暑いとも言いますが。
 しかし逆にそれだけ布と空気の層があると、暑い炎天下へ出ても「胴体の温度はそう簡単に変わらない」のです。アスファルトの上なんか近年は簡単に40℃くらいになるようですが、自分の身体は36℃程度で変わってないんじゃないかと思います、計ってないから推測ですが、明らかに身体が楽なので…。
 もちろん、暑いんですけどね。特に着るときは暑いです。さすがのわたしも帯巻くときはエアコンつけます。
 でも着ちゃったら、もうTシャツでも着物でも、感覚としてはあまり変わらないです。少なくとも暑いから着物着るのいやだなって思ったことはないです。ジーンズはいやです。夏のジーンズって軽く拷問じゃない?


 で。
 先日とある事情で久しぶりに「洋服の上に着物」をやりました。

 
 なんだかサムネえっらいちっちゃいな!? クリックすると大きくなります。
 インナーは深緑のハイネックカットソー。しまOらの。
 襦袢はなしで、黒地に白と緑で源氏車その他の描かれたポリのプレタ着物を、衿を抜かずに着て、正絹の単半幅帯に帯締め、帯留めは実はブローチです。以前刀の展示見に岐阜に行ったとき、駅で手作り市やってて一目惚れして買った作家さんの刺繍のくるみボタン。
 この上に黒の羽織を着てました。二度見するほど安かった古着で、ずっとポリだと思ってたんですが、着倒していたら妙に柔らかくなってきて、もしかして絹……?という手触りになって来ました。あれ……やばいな、ポリだから大丈夫!っつって突然の雨の中突っ走ったりしてたぞ……(こら)
 屋内で撮ったので下はスリッパですが、このまま仕事行ったので、靴下に普段履きのスニーカーで、運転時はたすきがけしてました。

 洋服に重ねたのは、この日会った人からのリクエストでした。
 また最近立て続けに、着物などほとんど着たことがない数人に、これ楽だよと着せて、実際にめちゃくちゃ楽だしこれなら自分で着られる!とたいそう喜んでもらった組み合わせでもあります。
 が。
 自分では、着つける時点で「……もうやらんとこ……」って思っていました。
 面倒なんです。
 衿芯を入れた襦袢衿が無いから、着物の衿がフカフカして落ち着かない(広衿だったせいもありますが)。衣紋を抜いてないから、前の衿合わせも加減がわからない。胴に巻いてる布も少ないから、帯の下もなんかスカスカとおさまりが悪い(紐や伊達締めは普段通りだったんですが)。そして後ろへ引っ張られる分がないから、おはしょりがだぼだぼと余ってスッキリおさまらない。
 靴もずっと変な感覚でした。裾が決まらない、靴の甲に触れて変なふうに動く。パンプスとかだったらまだマシだったのかもしれませんが、それにしても靴で「着物の歩き方」をするのが変に難しい。
 つくづくと、着物のつくりも周囲の小物も、全ては必要があってこうなってきたんだなあと思いました。
 
 わたしは洋服と着物を合わせて着る着方、賛成派です。洋装の小物も柄も、ガンガン取り入れていいと思っています。
 ずっと舶来ものを取り入れながら変わり続けてきた着物が、なんで今の時代だけ「これ以上変わっちゃいけない」になるのか。
 最近の洋花柄の浴衣は浴衣じゃないなどと言う方もいらっしゃいますが、たぶん、元々バスローブだった浴衣を外で着始めた時代も、歌舞伎役者の着た新柄が大流行した時代も、「あんなものを外で着て」「あんな柄を猫も杓子も」と、同じように眉を顰めるご年配はいらしたんじゃないかなあ。
 技術や伝統の継承はもちろん大切ですが、それを「自分の知らないほうへ変わって行くことに対する本能的な拒絶」みたいなのと混同してるんちゃうかなあ、という論調をちょいちょい見かけます。
 話が逸れた。
 そんなわけで洋服と和服を組み合わせるの、個人的には好きなんですけど、自分の身体はいつの間にか、変化を許容できなくなってしまっていたのです。(大袈裟)
 って、要は単にオーソドックスな着方のほうに慣れちゃっただけですね。多分もうちょい練習したら、洋服を中に着るのもうまくなると思うんですが、なんか、まあいっかってなっちゃった。
 今は襦袢を着て襟を抜いて着るほうが身体が気持ちいいので。
 そのうちまた変わるかもしれません。それもまた楽しみです。

 襦袢の好みも変わりました。ずっと二部式愛用者だったんですが、ひょんなことから長襦袢を着たらこれが着やすくて。
 去年から二部式放置しちゃってます。
 夏物は二部式のポリ絽しかないから、夏はまた二部式に戻ると思いますが。
 帯も最近はずっと半幅でカルタです。いやもう……何するにしても楽で楽で……(笑)
 ただでさえ下手な「帯枕をしょって帯揚げを結ぶ」のが、更に壊滅的になっている予感がします。
 お太鼓はもうずっと「切らずにたたんで作り帯」なので、いいんですけど(よくない)。

 そして先日、デニム着物を買いました。ずっと欲しかったの。
 生地だけ洋服地で仕立てはオーソドックスな長着のものもありますが、わたしが買ったのは茶色のステッチも入っている、よりデニムらしいデニムです。単衣ですがウールや綿と同じ感覚で、花見の頃から着られるかなとそわそわしています。
 着たらまたレポ載せますね。

衣紋抜きの正しい?使い方

2016年05月27日 | 普段着物

 やっと知りました…。


 普段は半襦袢派なんですが、衣紋抜きがどうにも上手く使えなくて。
 多すぎるくらいに抜いても、必ず着物を着ている間に詰まって来るんです。
 着物は大丈夫なの。何故か襦袢の衿のみ。
 衿芯が硬すぎるといわれてメッシュ芯を買ってみたら今度は柔らかすぎて使いづらいし。
 しかし原因はどうやら衣紋抜きの使い方にあったのでした。

 まずひとつめは衣紋抜きの紐通し位置が下すぎたこと。
 昔聞いたのは「ウエスト位置で」だったので、律儀に一番下に通して腰で締めていたのですが
 そもそもクビレがないので上に上がってくる…(論外)
 わたしのようなのの場合、「一番上に通してバストの真下で締める」が正解でした。

 もうひとつは、前身頃を一緒に押さえていたこと。
 衣紋を抜く紐は、身八つ口から中へ入れて、半襦袢の内側で(前身頃をよけて)バストの真下で結ぶ、のだそうです。
 半信半疑でやってみたらあまりにも違うのでたまげました。ほんとに詰まって来ない。
 ちょうどブラのアンダー部分をぐるりと回す感じで、緩んでこない程度に結んで、紐の端はブラの中に突っ込んでしまうと邪魔にならないし汗取りにもなって快適です。苦しくなるほど締める必要はありません。
 普段、腰紐はモスリンを愛用しているのですが、これだと肌に近くてちょっとチクチクするので、洗いざらした木綿で専用の紐を作りました。
 そうしておいて、襦袢の衿は改めてコーリンベルトなどで合わせるわけです。


 実際にこれで先日、始発から終電までの日帰りで京都へ行って歩きまくり遊びまくったんですが、後ろ衿も衿の合わせも信じがたいほど動かなかった上、半衿が着物の後ろ衿から上へはみ出してくることも皆無だったので、これは効果があるなと実感しました。
 むしろ、どうしてこの着方が標準じゃないのだろうと思うくらいで(笑)
 何かこの着方特有の不都合な点などあるのかもしれないので、これからじっくり検証してみることにします。


 あ、ついでに。
 着付けかたと着てからの動き方がうまくなれば、衣紋抜きはなくても大丈夫になります。
 実際、わたしも以前毎日着て一年くらい経った頃は、無しでも詰まって来なくなってました。
 しばらく仕事や介護の都合で着ていなかったら、下手になりました(笑)。
 今は家ではほとんど着られず、月に二、三度のお出かけの時に着るくらいなので、感覚を取り戻すまで時間がかかりそうですが、いずれまた衣紋抜きが要らなくなる日が来ると信じて頑張ります(笑)。