春が戻って来た。
穏やかな土曜日の一日、大気が羊水の様
に身体を癒す。
ただただ浮かんでいればよかった。
目白がチチと芽吹き前の街路樹で遊ぶ。
控えめな車の往来が、道路を広場に変え
て、天地が広くなった。
歩行者ボタンも押さず渡った。
ファーマシーで、いつものレジの奥さん
からお釣りの小銭を沢山貰った。
「おっ!お賽銭が出来た」
とつぶやいた。
「六地蔵ですか?」
「ええ」
「まあ、ありがとうございます」
と、こちらに手を合わせてくれた。
微笑みを交わすと店を出た。
もと来た道路を渡るとお地蔵さんにお参
りをして、ご当地の安寧を祈った。
日本人の心には仏様が宿っている。
〈春の日や 姿のままの 地蔵尊〉放浪子
季語・春の日(春)
2月24日〔土〕晴れ
友人が魚を差し入れしてくれた。
鯛のお刺身と大ぶりの鯖一本である。
鯛はキロ級の半身であったから、母と弟
の三人で鯛づくしの饗宴を開いた。
鯖は冷凍してある。