みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

桃の花

2018年02月23日 | 俳句日記

棲家の近くの遊歩道沿いに、桃の花が咲
いていた。
ずっと以前に書いたが、豊かな中国文化
での春の花といえば桃の花である。

晩唐の詩人杜牧の「江南の春」で緑紅に
映じていたのは、紅の桃の花であった。
同じ杜牧の「山行」に詠われる二月の花
も桃、杜牧はこの花が好きなのだ。

「三国志」の「桃園の誓い」も有名だ。
梅に桃に桜、どの花の風情も優劣をつけ
難いが、福島県にはそれを一時に楽しめ
る町がある、郡山に隣接した三春町だ。

町名の由来は、その三つの花が同時に咲
くことから付いたと言われている。
福島県に居たころ何度も訪れた。
溜息が出るほどに美しい町であった。

〈ゆき去りて
三春懐かし 桃の花〉放浪子
季語・桃の花(春)

2月23日〔金〕晴れ
初仕事と言えるほどのものではないが、
昼食を交えながら手許に寄せられている
街づくりの案件について打合せをした。
彼は、カロリー制限を受けている私を気
遣って、二人で蕎麦屋に入った。
「おっ!旨そうだな」
蕎麦専門店であつても、今時のお店はセ
ットメニューが豊富に有る。
カツ丼とのセットが目についた。
いやいや待て待てと自制して、稲荷一個
と去年から流行りの掛蕎麦を注文した。
「君は?」
「あの〜、カツ丼セットでいいですか⁈」
彼は、申し訳なさそうに言った。
当然「どうぞどうぞ、遠慮なさらずに」と
応じたが、病んだ身には、そんな一言が
嬉しいものだ。
彼と友達で良かった、と思った。