みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

小倉の母味「はるやのうどん」

2017年10月28日 | 俳句日記

小倉に着いたのは13時を少しまわった頃
だった、再開発が進む地域を見る為だ。
小倉駅の左手に在った郵便局跡が、複合
施設に変貌しつつある。

これが完成すれば、駅前の景観はガラリ
と変わり、文字どおり小倉は北九州市の
政治経済の中心地になる。
五市合併の後の舵取りは難しかった。

それぞれに生立ちが違った地域を一つに
する事の難しさは歴史が証言している。
北九州市は、今でもその課題を抱え挑戦
し続けているのだ。

クラスター的に都市を発展させる為には
強力なエネルギーを放散する核が必要だが、北九州市にはそれが無かった。
九州新幹線の開通が小倉をそうした。

これからの小倉の変貌が北九州市の変貌
を牽引することになる。
駅前の魚町・京町地区は急速に再開発が
進むことになるだろう。

問題は在来線の地上交差だ。
スロープ交差は冠水の危険性がある。
在来線の高架化が喫緊の課題であろう。
駅前の計画道路は見事に完成していた。

帰途、小倉に立ち寄った理由がもう一つ
あった、母味「はるやのうどん」だ。
私は、中高生の頃、小倉で育った。
常に腹をすかせている年ごろである。

「はるやのうどん」は小倉の若者達の救
いであった。
やや甘めの麺の多い煮込みうどんは、育
盛りの胃袋に流し込むように入った。

それでいて価格は市価の8割程である。
常に店内は若者達の体臭で蒸れていた。
皆、ここで腹を落ち着かせて、更に家に
帰って夕食に臨むのである。

その記憶は、半世紀ののちまでも私達を
機会ある毎にここへ通わせる。
読者に紹介しようと立ち寄ったが、改装
中で残念なことに願いは叶わなかった。

小倉のこれからの変貌に、ここのうどん
で育った多くの者達が関わる事だろう。
楽しみなことだ。

〈秋深し 遠い記憶と 母の味〉放浪子
季語・秋深し(秋)

10月28日〔土〕雨
歯を食いしばった2日間であった。
今日は、ゆっくりと身を癒やしている。
人間、幾つになっても時折の緊張感は
必要で、それが有るから生きておれる。
それにしても小倉は面白い。