みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

アイちやん

2017年05月28日 | 俳句日記

風が軽い一日となった。
朝から晴れたので、待望の阿武隈川に
弁当を持って出かけた。
本当ならば、川の上流かなたに那須の
峰々が見えるのだが、残念ながら雲に
隠れている。
でも久々の川岸に腰を下ろすと、五月
の風が全身を透明にしてくれるように
爽快な気分となった。

アイは、見当たらない。
代わりに出迎えてくれたのは、雉子で
あった。スマホを構えて近づいてみた
が、ケンケンと鳴いて飛び去ってしま
った。

相変わらず鳥の声が喧しい。
今の時期は、葦切が至るところで鳴き
交わしている。ウグイスだって、まだ
鳴いている。
遠くでカッコウが、自分の名前を呼ん
でいた。

アイはいないが、ひとりで朝餉をとる
ことにした。
本来人類は、お天道様の下でメシを食
うように出来ている。旅をしない人間
は哀しいし、外でメシを食わない人間
は不健康だ。
今日の日の丸弁当は、とりわけ旨い。

そうしたところに、アイが来た。忘れ
てはいなかった。コレが彼の姿です。

もうじき彼ともお別れだ。
サヨナラばかりが人生さ。
ここで会えたのも他生の縁。
せめて居る間は、たらふく喰わせよう。

〈川風に 他生の縁知る 五月哉〉放浪子

5月28日〔日〕晴
みちのくは、今が絶妙の季節である。
あちこち放浪したいが、その間がない。
来年も、再来年も訪れたいものだ。