みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

杜鵑花(サツキ)

2017年05月27日 | 俳句日記

郡山に帰ってから、連日の雨である。
今日も、阿武隈川へは行けなかった。
昨夜半、雨音の向こうにホトトギスが
鳴いていた。

梅雨時の長雨の夜に鳴くホトトギスの
声は、鳴き続けに鳴き通して、次第に
か細くなって、ハタと止む。
あっ!遂に血を吐いて死んだか、と思
わせる。
正岡子規先生が、俳号を子規としたの
を、なるほどと理解させる鳴き方だ。

この鳥の当て字の多さも、また興味の
あるところだ。
子規、時鳥、不如帰、蜀魂、杜宇など
があるが、一見意味ありな文字ばかり
が並ぶ。決して明るいイメージは湧い
て来ない。

和名でも「あやなしどり」と言う。
「あやなし」とは、つまらないとか、
取るに足らない、といった意味だから
気の毒になる。

ところが、何にでも救いがあるのもの
で、「杜鵑」という漢字があった。
音で読めばトケンだが、森の中で絹を裂
くような声で鳴いているから当てられた
文字であろうが、この字に花をつけて、
サツキツツジを指すことがある。
ホトトギスが鳴く頃に咲くからである。
ようやく明るい色が出てきた。

〈陸奥に 紅を呼びたり 杜鵑〉放浪子

5月27日〔土〕雨
散歩路にサツキが満開であった。
九州では盛りを過ぎていたと言うのに。