“テレビを見ても、新聞を読んでも、暗い気持ちになるニュースばかり目に入る。心配性の私は、いろいろな事に不安がつのる。日々、心配の種を拾い集めているようだ。
ある日、ふと思った。この種を蒔いたら、どんな花が咲くのだろう。真っ黒な花?嫌な臭いの花?蕾さえ持たないかもしれない。
そう思うと何だかおかしくなった。咲かせるなら綺麗な花。芳しい香りの花がいいに決まっている。どうせ拾い集めるなら喜びの種にして、たくさん蒔こう。
何だか周りを見渡す目も変わる。まずは自分の心に明るい色の花が咲いた。”(5月15日付け中日新聞)
「300文字小説」から千葉県木更津町の主婦・輪鍋さん(64)の作品です。コロナに戦争、本当に暗い話が多い。税金をばらまき、借金を増やす。更に軍事費の増額である。反省どころか、不安をあおり拍車をかけている気がする。この先がますます心配になる。
わが家もそれに巻き込まれている。いろいろなことが起きている。それでも何とか乗り越えている。そんなときである。輪鍋さんのこの小説である。どうせ拾い集めるなら喜びの種の方が良い。「話・話」 はまさにそれを望んで続けている。いい話をかき集めている。これに拍車がかかれば良い。人間は気持ちが大きく左右する。