寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3624話) 「マダム、キャッチ!」

2024年02月04日 | 出来事

 “昨年の花冷えする頃でした。地下鉄の車内で、ちょっとした揺れに反応できず「おっとっとっと」と焦った時でした。「マダム、キャッチ!」と背中をしっかりと支えてくれる明るい男性の声。すぐに振り返り「ありがとうございます。おばあちゃんですが・・・」と言うと、彼はきっぱりと「いいえ、マダムです」と。彼の友達が数人、クスクスと笑っています。制服姿の高校生でした。私も嬉しいやらおかしいやらで、思わず大笑いしました。
 あの時、ひざから落ちたり転倒したりしていたら、とんでもないことになっていたと思いま1す。心底、ありかたく感謝しています。とっさのことで、もっときちんとお礼を言わなかったことが、今でも大反省です。なんと明るくユーモアたっぷりのやさしい人だったのでしょう。昨年は楽しいことが数多くあったけれど、やっぱり忘れられない一日です。
 毎日ウォーキングしても、どこも痛くなく、好きな所へ出かけられるのも、彼のおかげと思い「ありがとう」とつぶやいています。76歳のこんなおばあちゃんに「マダム、キャッチ!」とは。今日も思い出してニヤニヤしている私です。 ”(1月7日付け中日新聞)

 名古屋市の今井さん(女・76)の投稿文です。キャッチした人は高校生ですね。それにしても「マダム、キャッチ!」と言う言葉と行動は、普通では出てきません。凄い、素晴らしいと思いました。まずはとっさに体が動いたことです。ビックリして見ているのが普通ではないでしょうか。相手は、老いたと言っても女性です。それを男性が抱えるこむなんていうことは、何をいわれか分かりません。とっさに出た態度で、こんなことを考える間はなかったでしょうが、でも危うい行動です。もしこれが若い女性であったら、触ったところが危うかったら、どうなったでしょう。今は親切が親切で通らない世の中です。でもこれを救ったのは「マダム、キャッチ!」と言う言葉ではなかったでしょうか。まさに機転の利いた言葉です。こんな言葉はどこから出たのでしょうか。いろいろ含めて感心せざるを得ません。