岩切天平の甍

親愛なる友へ

かぼちゃ

2007年12月26日 | Weblog

九時、朝食。おしゃべりの続き。
「ねえ、ミシシッピ、行く?」
「うーん、赤ん坊連れてっちゃだめよね。いい旅行者じゃないもの。ううん、全然良くないわ。」

ハリケーンカトリーナが南部を襲ってから再建がなかなか進まず、未だにボランティアを募集しているのだそうだ。建築の仕事が得意なアーミッシュの人達もバンをチャーターし、十時間かけて行く。あのバンで行くのかなぁ・・。

「このカボチャ、すごく甘いと思わない?」
「濃いオレンジ色ね。どうやって料理したの?」
「オーブンで焼いただけよ。日本のカボチャ。」
「種、どうした?乾かしたら芽がでるかしらね。」

子だくさんのアーミッシュ、人口はどんどん増える。
人は増えても土地が増えるわけではないから、皆が皆、農業をやって行くわけにもいかない。ある者は家具を作り、ある者は観光業、建築業、工場労働者・・・。
笑い合う彼らの顔を眺めながらぼんやりと人口問題を思う。
昔は人が少なかったからそれで良かったのかもしれないけど、
どう思うのか訊いてみようか・・、止めておく。
絶滅に向かってゆっくりと、幸せな日々を送るんだろう。

デイビッドが泣きそうな顔をして言う。
「イマニュエル、引っ越すのがどんな気持ちか分かるよ・・・。」
黙っているイマニュエルの横でレベッカが、
「何だかみんな騒いでるけど、へんよね。あたしはリラックスしてて、ただ引っ越すだけ。もう忙しくってね・・・。」

「あー、食い過ぎだ!散歩に行こう。」
男達は外に、牧場の角まで歩く。「どうする?ここから。」立ち止まって三人顔を突き合わせる。「うーん、あの橋まで行って帰って来るってのは?」また歩き出す。いつでも皆で話し合って物事を決めるのが面白い。「あっ、空き缶だ!これ持って行くと十セントになるんだよね。」とデイビッド。エイモス、「あそこにもあるよ、十セント。」
デイビッドは巨大な肩を落として空き缶を拾いながらつぶやいた。
「どんな気持ちか分かるよ。」



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