岩切天平の甍

親愛なる友へ

物価

2007年07月11日 | Weblog

経済番組のための物価リポート。
主婦リポーターのFさんとスーパーを物色。
さすが本物の主婦、コメントがいい。
「うーん、けっこうしますねぇ。あたしなら...買わないなぁ。」

ニューヨークの物価は高いのか安いのか。
十八年前、僕が住んでいた月六百ドルのイーストビレッジのアパート(写真)、百年前から建物は変わらない、今なら千五百ドル位か。当時一ドルだった地下鉄が今は二ドル。まあ、安いか...。出勤前に買う朝ご飯、チーズバーガーとコーヒーで二ドルだったのが今は屋台でクリームチーズ入りベーグルとオレンジジュースで二ドル。ほぼ変わらず、胃袋の元気は下降気味。映画館、十ドルから十二ドル。これもほぼ変わらず。

不動産が突出して値上がりし続けている。
街から個性的な個人商店や小さなレストランがどんどん消えて、代わりに大資本のチェーン店が出来ては消え、出来ては消え...アメリカ中どこへ行っても変わりばえのしない街並になってきた。
あのビレッジゲイトの、日曜日にジャズマン達が集まってセッションしている横でお茶を飲んでいたテラスやビートニクたちが通ったセントマークスの古本屋、今やただのおっさんになってしまったパンクどもがたむろしていたCBGB、バッハが流れるカプチーノの旨いイタリア人経営のピーコックカフェ、みんな莫大な家賃の値上げに耐えられず、消えて行ってしまった。

アパートを探すには、不動産ブローカーのオネエチャンに会うことになる。
「で、アンタ、いくら位の部屋を探してるのォ?」と、上から見下ろされる。
「えーと、まぁ、千ドル位で...。」
「スッ(鼻から抜ける笑い)!せーんドルですってぇ?ここいらであんたそんな安いもん聞いた事もないワ。」
ええ、わかっていますとも。あなたに言われなくたって。でもあなた、こんな小さな部屋に月二千ドルだなんてどんな仕事してる人が払えるんですか?まともなことだと思いますか?ちょっとくらい申し訳なさそうな顔をしてもよさそうなものじゃあないでしょうかねぇ...

要するに持ってるやつの金は増え続け、持ってないやつはどんどん苦しくなる。

僕のギャラも横ばいのカニさん...