岩切天平の甍

親愛なる友へ

SICKO

2007年07月03日 | Weblog

マイケル・ムーアの新作、“Sicko”を観る。
アメリカの医療制度についてのドキュメンタリーだ。
散りばめられたギャグがおかしいんだけど、ブラックすぎて笑えない。
映画館の暗闇に、観客のすすり上げる音が四方から聞こえた。

我が家は夫婦二人で毎月九万円程の医療保険代を払っている。
子供のある家族はそれ以上の支出になる。
どうにかすると家が買えそうな額だ。
実際、真面目に働いているのに、保険に入れないという友人がいる。
毎月払うより、病気になった時に莫大な治療費を払ったほうがまだマシだと、保険に加入しない友人もいる。

カネもうけが医療を操るといかなる結果になるかという話なのだが、それだけに留まらず、この国に、ひいては世界に対しての本質的な問いかけが見えてくる。

人間の欲望を原動力に最も成功し、世界で最も進んだ社会、アメリカ。
日本を始め、世界中がそうなりたがっているアメリカ。

他人の命や幸福を踏み台に、見たことも無いような金を稼ぐ人達が、その金でいったい何をしているのか。
判でついたように趣味の悪い豪邸を建て、ゴルフにカジノに酒に女…
踏み台にされる人間が怒るかと思いきや、すきさえあれば自分もああなりたいといった根性…
その原理が全てを決めている国のほころびが、少しずつ見えてくる。

こんな国になりたいですか?
こんな人になりたいですか?

是非観てください。


写真(歯医者のウェイン先生)と本文とは関係ありません。