薄い言葉でも濃い

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08月29日(火)
故きを温めて新しきを知る (7)
聞き流す言葉をよく考えてみると
 
 聞きなれた言葉には印象が残らないが,ビジネスの関係で,お客にかける言葉は,自分が一番大事にしていることを代弁している。言葉の少ない世間に住んでいると一言に極めて敏感になる。

 歯科医は診療台に乗った患者に対して「長いことお待たせしました。」「歯の調子はいかがでしょうか。」待合室のたまった客の数が最大の関心事である。そして専門の治療に切り替えて次の言葉が発せられる。また,歯科衛生士は患者の歯を明けても暮れても磨く。一人が終了すると「ここは汚れやすいのでしっかり磨いてください。」歯は磨くものであって汚れたまま放置するものではない。これが染み付いてしまっている。
 前にも書いたユースホステルのペアレントは,食事の始めに「本日のメニューは鳥のカレー粉漬け焼きです。すごーくおいしいので是非召し上がってください。」民宿風のユースホステルだから,何もかもしなくてはならない。最も大事にしている仕事は料理であろう。受け取る側は何の気無しに聞き流すだけであるが,少ない言葉から人の大事にしていることを汲みとることができる。

 コンビニでもスーパーでもホームセンターでもレジは唯一のコミュニケーションの場である。言葉によってその人が仕事を大事にしているか否かわかる。おつりの渡し方まで人によって違っている。年寄りにはこぼさないように下で受けながら渡してくれる。こちらも「ありがとう」といいながら反応を見て出てくる。すべてのことばやしぐさはその人の心を表す。話すことを仕事とするテレビにでる人や教壇に立つ人はもっと自己を研究しなくてはいけない。私なら恥ずかしいと思うことがあふれている。
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