百醜千拙草

何とかやっています

幸せな研究者になるには

2015-10-27 | Weblog
BIomed サーカスに紹介されていた二つの記事に似たようなニュアンスを感じたので。

「へのへの先生仮免中」から

うまくいかなかったことの多い地にいくと、どうやったらうまくやれたのかなぁとウツウツと考えたりしてしまうのは性格というものだろうか。
40年生きても時間を戻せる力も得られず、ただダラダラと過ごした時の重みに押し潰されるのであった。
おおう、自分のブログ読んでも、うざい、うざいわ。
まぁとりあえずいい目標でもたてて、現実的に頑張ってるほうがよっぽどマシってなもんだろう。
ならぬものはならぬのだ、幸せいなりたかったじゃなくて幸せにならんとイカンわ。
自分がなりたい研究者像ってなんだろう?
教育者にもならねばならんわけだが。


教授と僕の研究人生相談所「ノーベル賞に届かない人たちへ」から

僕「はい。その相談者ですが、自分がノーベル賞を取るなんてことは考えてはいなかったようですが、やはり心の中でノーベル賞やそれに類する有名な賞への憧れがあり、届かないまでもそういう賞を目標としていたみたいなんです」
教授「目標を持つということは大事だと思うよ」
僕「でもアカデミアでは鳴かず飛ばずで、何とか企業に中途入社はできたものの、新規性の高い発見ができるような研究内容ではなく、そもそも論文として発表する機会もなく、自分が昔に抱いていた理想の研究者像からかけ離れていて、博士号なんて取らなきゃよかったと思っているようなんです」
教授「そんな風に思わなくてもいいのにな」
僕「で、毎年ノーベル賞のニュースが世間を賑わすと、今の自分と過去の自分が思い描いていた自分とのギャップを再認識して非常に心が苦しくなるようなんです。でも、自分の能力がどんなところに位置付けされるかは自分できちんと理解していると書いてあり、だからこそ、こんな悩みを持っていることは誰にも相談できず、今回相談メールを送ったようなんです。馬鹿げた悩みということは自覚しているとのことなので、尊敬する教授に厳しい言葉をもらって目を覚まして自分があるべき場所で頑張れるようになりたいみたいなんです」
教授「目を覚ます必要もないだろう」
僕「え?」
教授「そこまで色々とわかってるんだ。この相談者の悩みは時間が解決してくれる。そして、そうやって苦しみながら自分の人生を頑張るのも大事だ。ま、あまり卑屈にならないようにな。心が締め付けられるような思いをすることもあるだろうが、そんな中でも自分が幸せと思えることになるべく多くの時間を割けるように頑張ればいい」


さすがに教授は、年の功、いいこと言いますね。
過去を悔いて、夜中に布団にくるまって叫ぶというような経験をしたことのない人間とは話すに足りぬ、と狐狸庵先生は過去に言いました(と記憶しています)。過去を悔い、未来に不安を感じては苦しむのが人間というものです。そして、常に出版、パテント、グラントと競争を意識せざるを得ない研究者にとっては、つい他人と自分を比べて、うらやましがったり、妬んだり、自己嫌悪になったりするのは日常とも言えるでしょう。
私は、そういう人間の性というものが自分も含めて誰にでもあると肯定的に認めてやることから始めるのがいいと思います。人間というものはそういうものだ、自己本位なエゴの存在は否定のしようもないし、金やモノや名誉をだれでも欲しがるものです。でもそれでもいいではないか、「人間だもの」という辺から始めるとラクになると思います。己の中にあるイヤなもの、エゴ、否定して消そうとしても、そう簡単にできるものではありません。そうしようとすればするほど、より執着を生んで苦しむことになります。自分の中に、汚いもの、イヤなものがあるのを自分ではどうしようもありません。だから、少なくともその存在を認めてやる、それだけでその葛藤は随分マシになると思います。イヤなものをも許容する包容力みたいなものを発達させることは有用だと思います。私も実生活で、イヤな人間と関わらざるを得ない機会が多いですが、いくらこちらが彼らの存在を否定しようが、憎もうが、文句を言おうが他人は変えられません。同様に、自分の心にあるネガティブなものもそう簡単に消せるようなものではないと私は思います。

結局、研究者も「へのへの先生」のいうように、幸せになりたかったじゃなくて幸せにならんとイカンのです。まず、幸せになると決めること、そして、それを阻んでいるのが、環境でももって生まれた才能でもなんでもなく、これまでと今の自分を否定しようとしている他ならぬ自分自身であることに気づくことではないでしょうか。そのために、「まぁとりあえずいい目標でもたてて、現実的に頑張ってるほうがよっぽどマシ」と開き直ることです。目標を立てて現実に頑張ることなくして、何の成功もあり得ませんし。その瞬間、われわれはすでに幸せになることができます。目標をたてて現実に頑張ることができる幸せに感謝できると思います。
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