百醜千拙草

何とかやっています

トゥキディデスの罠

2015-09-29 | Weblog
「トゥキディデスの罠」という言葉を、先日の米中首脳会談に際して、ハーバード、ベフファーセンターのウェッブサイトから私は学びました。

一週間ほど前、アーミテージ、ナイ レポートでおなじみの「ジャパン ハンドラー」、ジョゼフ ナイは、米中の衝突の可能性について、「米中はトゥキディデスの罠を回避できる」と述べたそうです。

人民網日本語版 2015年09月17日17:06
 著名な国際関係学者で、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は16日、人民日報記者の単独取材に応じ、「米中は各分野での交流を強め、客観的かつ理性的に相手と向き合うことで、『トゥキディデスの罠』は回避できる」と述べた。人民日報が伝えた。
 新興大国と既成大国は必然的に衝突するという歴史的事実を前に、中米関係もこの「トゥキディデスの罠」に陥るのではないかという見方が浮上しているが、これに対しナイ教授は、「米中が歴史と同じ道を辿ることはない。中国は国際秩序の建設的な参加者であり、国際秩序の充実を望んでおり、それに挑戦することはない」と述べた。
、、、
 「トゥキディデスの罠」についてナイ教授は、ぺロポネソス戦争が勃発したのは、日増しに力をつけるアテネを前に恐怖心を拭えなかったスパルタとの間に戦争が起きてしまったためで、現在の中米関係はアテネとスパルタの関係とはまったく異なり、同様に扱うことはできないと語る。「現在米中両国の各レベルでの往来はますます増え、中国人観光客や留学生も両国と両国民の相互理解に貢献しており、知らぬがゆえに恐怖に陥るということはない。そのため、米中両国は『トゥキディデスの罠』を完全に回避することができる」と指摘した。また、中国が国際問題においてより重要な役割を発揮することが、アメリカの役割を削ぎ落とすゼロサムゲームだとする見方があるが、それは愚かだとも指摘する。「例えば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立当初、他国の参加に反対した人がいたが、幸いオバマ政権がAIIB政策の調整を図った。TPPでは中国さえ意欲があれば、中国の加盟は今後いつでも歓迎されるだろう」
、、、
 国際関係における権力の移転についてナイ教授は、国家間の権力の移転や政府と国際組織、非政府組織間の権力の移転は正常な現象で、順応するということを学ばなければならないと指摘した。(編集IM)


その米中首脳会談、ほぼ同時期のローマ法王の訪米や、アメリカ下院議長のベイナーの辞任表明などというビッグ ニュースが重なり、多少、霞んでしまいました。現実的に、これだけの経済的相互依存のある核武装した大国同士が戦争をすることはまずあり得ないと思われます。いくら戦争産業で経済を回してきたアメリカでも、中国相手に戦争をするのはメリットよりもリスクの方がはるかに大きく、事実アメリカがこれまで戦争を仕掛けてきたのは力づくでなんとかなる小国相手です。米中が、例えば、冷戦中のキューバ危機のような状況になることが起こりうるか、と言えば、それは筋書きのあるショーとして以外には無いでしょう。米中が戦うことになるのは、あるとすれば、おそらく第三国間でのおそらく中東付近を火種とする戦争に巻き込まれるという形になると思います。その時には、無関係の土地で、最初に中国軍と戦って捨て駒にされるのは自衛隊でしょうな。

思うに、「中国が攻めてくる」というプロパガンダにのって戦争法案に賛成した人々は、この「トゥキディデスの罠」に陥っているとも言えます。中国政府が日本にどのような形で、何の目的で侵攻してくる可能性があるか、その場合にどういう対処ができるか、ということを具体的に考えれば、中国(政府軍)が日本に侵攻してくる可能性は、少なくとも現時点ではゼロと言って良いだろうと私は思います。罠に陥るのは相手を十分に知らないために生じる恐怖心であり、政府は恐怖心を煽ることによって国民をコントロールしようとするのです。かつての中国の反日政策が良い例でしょう。国民の不満が政府に向くのを抑えるために外敵を想定してプロパガンダを流すのは常套手段です。

読売と並ぶ経団連と与党のプロパガンダ新聞、産経はその社説で、米中首脳会談が平行線であったと述べ、特にアメリカが懸念を示した南シナ海への中国の進出について、「危険が高まった」と書き立て半中を煽り、暗に「安保法案」を後押しするかのような記事。さらに、読売によると、「安倍首相は米ニューヨークでの国連総会などで、習氏との首脳会談を模索しており、中国の強引な海洋進出に対し、日本政府としても働きかけを強める方針だ」との話。中国を名指しで批判して安保法案を正当化しようとしたアベ氏が、中国に何をいうつもりなのか、何を言ったとしても逆効果としか思えません。国連に行って余計なことをするぐらいなら、行かない方がましです。「小人閑居為不善、無所不至」とでも言われそうです。関西風に言えば「いらんことしー」。
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公然の秘密

2015-09-25 | Weblog
撞着語法というレトリックも「公然の秘密」ぐらいに陳腐で使い古された表現になってしまうと、その矛盾にさえ気がつかないようになってしまいます。国民にはおかしいと思うことでさえ、永田町にはそんな矛盾が多すぎて誰も疑問にさえ思わないことが多々あるようです。

「永田町では誰もが知っているが、誰も口にしないこと」を質問すると言って、8月の参院で、山本太郎氏は、2012年のアーミテージ レポートでの日本への要望項目とアベ政権の政策がほぼ完全に一致することを示して、アベ氏を追及しました。日本の政策はアメリカが決定しているということです。
時すでに遅しの感がありますが、ようやく、東京新聞が書きました。大手全国紙は書かないでしょうが、地方紙とは言いながら、東京新聞と中日新聞合わせて発行部数300万以上をほこる大手メディアです。聖教新聞を刷っているはずの毎日も最近は政権批判記事が多いように感じます。今回の戦争法案で、ひょっとすると創価学会と公明党が分離しようとしているのかもしれません。
 これで、永田町だけでなく国民がアーミテージらと日本の政府との関連を広く知ることになって、みんなが口にし出せば、日本もちょっとは変わるのではないでしょうか。
 しかも、この記事では「ジャパン ハンドラーズ」というかつては陰謀論者の言葉であるとされてきたキーワードさえ使ってあり踏み込んだ表現となっています。
 戦後、アメリカは日本人エージェントを操って日本を間接統治してきました。日本が高度成長期の間は、たとえ国民が真実を知らずとも、対米隷属は差し引きプラスであったかも知れません。しかし、現在では明らかにアメリカによる日本の間接統治システムが国民生活に悪い影響を及ぼしており、国民は本当のことを知った上で将来への判断をするべき時期であると私は思います。真実は知らない方が幸せなこともあるかも知れませんが、知った上で幸せになる努力をするのが人間というものです。この辺の内情を知らなかったころ、私はアメリカの日本に対する要望があまりに傲慢であることに憤っておりました。戦争は終わり、日本は主権を回復したはずなのに、何故だろう、と思っておりました。なんのことはない、日本は本当は主権など回復していなかったということだったのです。

以下、東京新聞から。

これからどうなる安保法 (1)米要望通り法制化 (東京新聞 - 9/22)

 
 他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を中心とした安全保障関連法が、多くの国民が反対する中で成立した。「戦えない国」を貫いてきた日本を「戦える国」に変質させる安保法の下、自衛隊の活動はどう変わるのか。国民にはどう影響し、日本はどこへ向かうのか。さまざまな角度から考える。
 「この夏までに成就させる」。安倍晋三首相は五カ月前の訪米中、米議会での演説で安保法成立を約束した。まだ法案を閣議決定する前で、国民も国会も内容を知らない段階だった。
 だが、集団的自衛権の行使容認を含む安保法の内容は五カ月前どころか三年前に予想できた。米国の超党派の日本専門家が二〇一二年にまとめた「アーミテージ・ナイ報告書」だ。
 アーミテージ元国務副長官、ナイ元国防次官補らが共同執筆し、日本に安保法の制定を求めていた。両氏は、一般に「知日派」と訳される「ジャパン・ハンドラー」の代表格。報告書の影響力からすれば、文字通り「日本を操っている」ようにも映る。
 報告書は日本に米国との同盟強化を迫り、日本が集団的自衛権を行使できないことを「日米同盟の障害となっている」と断じた。
 自衛隊の活動範囲の拡大や中東・ホルムズ海峡での機雷掃海も求め、南シナ海での警戒監視活動の実施も要求。国連平和維持活動(PKO)でも、離れた場所で襲撃された他国部隊などを武器を使って助ける「駆け付け警護」の任務追加の必要性を強調した。かなり具体的な内容だ。
 これらの方向性は、ほぼ安保法に網羅され、首相は集団的自衛権行使の事例として、ホルムズ海峡での機雷掃海にこだわり続けた。防衛省は安保法の成立前から、南スーダンでPKOを続ける自衛隊に駆け付け警護の任務を追加することや、南シナ海での警戒監視活動の検討を始めた。
 報告書では、情報保全の向上や武器輸出三原則の見直し、原発の再稼働にも言及。特定秘密保護法の制定、武器輸出の原則解禁、原発再稼働方針に重なる。安倍政権は一二年の発足以降、これらすべての政策を手がけてきた。
 「(安倍政権の政策は)そっくりそのままだ。こういうのを完全コピー、『完コピ』と言う。すべて米国の要求通りに行っている。独立国家と呼べるのか
 生活の党の山本太郎共同代表は安保法の参院審議で政権の姿勢を批判した。
 首相は安保法の運用に関し「政策は日本が主体的に判断し、米国の言いなりになるものではない」と説明。同時に「日米同盟が完全に機能することで抑止力が高まる」とも強調する。
 違憲の指摘にも、国民の反対にも耳を貸さず、集団的自衛権の行使容認に踏み切った安倍政権。米国から具体的な要求を受けた時、主体的に判断できるのか。報告書と、安保法をはじめとする政権の政策の関係を見る限り、疑問と言わざるを得ない。 (中根政人)


国民が真実を知って納得するのであれば、アメリカ先生のいう通りでも私はよいと思います。問題は、政府自らが、その国民を欺き、バレバレの嘘をつき、詭弁を弄するその態度であろうと思います。そのウソから議論を始めるので先に進まないのです。独立国だという建前から始めるからアメリカと交渉して落としどころを探るということさえできないのです。山本氏が「利権」と言った言葉に、アベ氏は妙に強く反応しましたが、図星を突かれたわけです。一族の繁栄は、日本国民ではなくアメリカのために働いてきたからこそ保証されたものだったでしょう。首相という地位にふさわしい能力をもつとは思えないアベ氏が二度も政権を担当している事実そのものがその証拠とも言えます。

もう一つ簡単に。先日のロシアとの外相会議がかなり不調であったというニュース。ロシア側は北方領土問題は話し合う気がないと断言したとのこと。早々と戦争法案強行採決の悪影響が出てきました。法案通過後、仮想敵国の例として中国を名指したコメントを出したアベ氏。中国政府は、これ幸いと反日政策に利用する格好の言い訳ができたと思っているかも知れませんが、法案通過後にもこのような馬鹿げたコメントを出すアベ氏のトンチンカンぶりに苦笑いしたでしょう。思うに、間もなく行われる米中首脳会談で、日本の立ち位置を思い知らされることになるだろうと思います。日中間の衝突が起きてもアメリカが日本を守るために中国と敵対することは現時点ではあり得ません。

続 壺 齋 閑 話、「岸田・ラブロフ会談の意味するもの」より。

、、、
この会談は日本側から申し入れて実現したものだが、日本がこのタイミングで外相会談を呼びかけたのは、懸案の安保法案が成立したことで一段落ついた安倍政権が、気になりながらも手つかずにいた対ロ交渉再開と、できればプーチン大統領の訪日を年内に実現したいという思惑があったようだ。だがその思惑は、ロシア側の手厳しい反応によって、跳ね返されたというのが目下の現状と言えよう。
、、、
だが、国際政治を冷えた頭で見ていれば、このロシア側の反応は十分予想できたことだ。ロシアとしては、今般の安保法制の整備は、日米の軍事同盟を一層強めるものであり、その矛先がロシアに向かうのではないかと懸念する理由は十分にある。クリミア併合やウクライナ問題を巡って、ロシアはアメリカと大きな緊張関係にある。そこへもってきて、日本が安保法制を整備してアメリカとの軍事的一体化を更に進めるという事態は、ロシアにとって決して面白いことではない。
、、、
ロシアとしては、日本が対米従属の状態から卒業して、一人前の自主国家になれば、まともな交渉に応じもしようが、いつ何時アメリカに振り回されて、一緒になってロシアを攻撃するかもしれない国に、いつもいい顔を見せているわけにはいかない、というわけで、これは別にロシアびいきでなくとも、国際情勢をまじめに見ていれば子供でも理解できることだ。

しかし安倍晋三政権はそうは思わなかった。こちらから下手に出ればロシアと雖も、会談に応じるばかりか、領土問題についての交渉にも乗ってくれるだろう、と考えたわけだ。これはいつもながらのことだが、安倍政権の唯我独尊と言うか、小児病的な体質が現れたものだと考えられる。現実を願望と取り違え、自分の言い分を一方的に主張するというのが小児病の主なシンドロームだが、安倍晋三政権のやっていることは、まさにそうした類のことだ
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二つの死

2015-09-21 | Weblog
先週末、戦後日本の歴史に大いなる汚点を残した戦争法案が通過。
日本では、議会での議論というものが何の意味も持たず、多数を握る与党の執行部が党議拘束や選挙協力などの脅しを使って与党議員をコントロールし、独裁的に法案を通していく様子がよくわかりました。戦争法案に関しては、アベ氏も閣僚も誰も野党の質問にマトモに答えることができず、国民の大多数が反対し、憲法学者のほとんどが違憲である、というようなシロモノです。この時点でこの法案に賛成できるのは、よほど思考能力に欠陥があるか、我が身かわいさで独裁アベ政権にイエスマンになって、選挙で票を入れてくれた国民の方から目を背けているいるということでしょう。

しかし、この一連の戦争法案を巡っての出来事は、日本の近代史における大きな汚点ではありますが、二、三の良い影響もあったと思います。

一つは、日本が戦後70年たってもアメリカの植民地であるということを少なからずの国民が実感したこと、
そして、安倍政権というものが、全くアメリカと対米隷属官僚の言うがままの、傀儡政権であったということが明らかになったこと、
第三に、日本は民主主義国家という建前の官僚独裁国家であり、政治(立法)というものは、官僚(行政)という最高権力を国民から守るための防波堤としてしか機能しておらず、国民の代表のフリをするのは選挙の間だけだ、ということです。

そのことを、読売などのプロパガンダ新聞を読まなくなった若い世代が気づき、抗議行動に移したということに私は勇気づけられました。
恋愛と革命は若者の特権と言いますが、若者が思いもかけないようなやり方でこれからの古い対米隷属日本を変えていくだろうという期待を感じました。

アメリカが凋落していき、多極化するこれからの世界、アメリカのツケをいつまでも払っていくだけの体力は日本にもありません。もはや戦後ではない、この点において、私はアベ氏と意見は同じです。しかし、彼は戦後ではないと言いながら、日本がアメリカの植民地であり続けることによって、彼の属する日本会議の目指す戦前復帰を果たそうとしているように見えるところが、どう考えても矛盾しています。二言目には「戦後レジームからの脱却」というくせに、その戦後レジームを作ったアメリカの要望には100%の従順を示し、アメリカ軍事戦略の片棒を担ぐために、憲法を捻じ曲げ、国民の富と生命を差し出すTPPと戦争法案というアメリカの要望書通りの政策を国民の大多数の反対を無視してゴリ押しするのです。論理的には、戦後レジームを脱却して戦前復帰するにはアメリカに戦争で勝つというのが論理の筋でしょう。しかし、アメリカには勝てないし、何より対米隷属官僚のいうがままので、結局「戦後レジーム脱却ごっこ」という自慰行為にふけるしかないのでしょう。この異常な行動は、アベ氏にその言動と行動の矛盾を客観的に見るだけの知性がないただの「操り人形(男人形)」にすぎないことを示しているように私には思えます。

先週の参院での採決の際、山本太郎氏は、国民政党としての自民党(すなわち、党内の派閥間での合意を重んじる政治)が、小泉-安倍によって死に、ナチスと同じく民主主義を建前にした独裁制となったことを批判して、喪服で登壇し、党議拘束と粛清の恐怖で縛られて、長いものに巻かれようとする与党政治家を声高く批判したあと、焼香の仕草をするパフォーマンスを行いました。アホウ氏が「ナチスの手口に見習え」といった通り、アベ氏は選挙で勝ったことを錦の御旗として、独裁制を民主的であると正当化しました。そして、戦後の国民政党としての自民党は死にました。自民党政権は今や粛清による恐怖政治を行う北朝鮮と同じとなりました。


ところで、まったく関係のない話ですが、偶然、今日、Waye Dyer氏が8月末に心臓発作のためにハワイで死去していたということを知りました。ユーモアあふれる話を通じて、道教や東洋的思想、神秘主義的思想を一般向けに伝えた人で、私も以前はその話をよく楽しく聞きました。寂しい気持ちがします。
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シラフで正論

2015-09-18 | Weblog
参院で、安保法案(別名、戦争法案)、予定通りに与党は強行採決。公明党は死にました。次回の選挙での自公議員落選運動リストもできているそうです。
今年の夏には成立させると国会に提出される前からアメリカと約束してきたもので、それと引き換えにソーリ大臣をさせてもらったり与党で美味しい目をさせてもらっている以上、彼らに良心を求めても無い物ねだりですが。厳しい批判も彼らの胸には届かないでしょうね。

AJAA  安倍晋三に反対する成蹊大学後輩による抗議声明」を読みました。

これほどまでにみんなに嫌われて、一般国民の6割以上が反対する法案をゴリ押ししてまで、対米隷属官僚に頭を撫ぜてもらいたいのですかね。どう考えても、この人は後世に悪名しか残さないのだから、腹痛という言い訳も通ることですし、もうやめたらどうかと思うのですけどね。

1977年度成蹊大学法学部政治学科卒業生、安倍晋三さん

私たち成蹊大学後輩一同は、あなたの安全保障関連法案における、学問を愚弄し、民主主義を否定する態度に怒りを覚え、また政治学を学んだとはにわかに信じがたい無知さに同窓生として恥ずかしさを禁じえません。
日本国憲法に、集団的自衛権の行使を基礎づける条文が存在しないことを、私たちは成蹊大学で学んでいます。
憲法を、時の総理大臣が自らを責任者と称し解釈で改憲することは、法の支配に反する行為であると、私たちは成蹊大学で学んでいます。
、、、、、
私たち成蹊大学生は、先輩・安倍晋三さんの立憲主義を否定する態度に反対し、安全保障関連法案の廃案を求めます。


確かにアベ氏は国民にとっては困ったものです。だからこそ一部の支配者層には重宝されているワケです。この人にもう少しでも国民の立場になってものごとを考えるだけの知性と想像力があれば、ここまでバカ丸出しにはなれなかったでしょう。霞が関とアメリカを中心とした利権互助会が敵の本体なのでしょうが、それを直接攻撃するワケにはいかないのが苦しいところです。しかし、アベ氏が、国民の代表ではなく、利権互助会の代弁者として働いている以上、とりあえず倒すべき敵の一部であることは間違いありません。

山本太郎氏、永田町の「公然の秘密」を国会で晒してきています。与党政治家にとってみれば、みんなで酒場で酔っ払って、上司の悪口を言ったり下品なセクハラ冗談を言っているところにシラフで正論を述べて場を白けさせる人みたいな感じです。これが高度成長期のころなら、国会は酒場で議論はスーダラ節でも良かったかも知れません。でも、今はみんなが酒場で酔っ払っているような状況ではないと私は思います。

福島原発の事故が良い例でしょう。原発は作ってから40年も経ち、現場には原発がマトモに理解できる技術者でさえおらず、客観的には何がおこってもおかしくない危険な状態でした。それが、これまで大丈夫だったのだからと油断していたら、大事故となって手の施しようがなくなりました。対米隷属も同じでしょう。アメリカ経済は低迷し、日本も経済成長が止まって30年です。アメリカは何年も前から日本をアメリカの軍事戦略に利用することを計画し、安保法案を通すことを前提として、安保法案が国会に出される遥か前に早々と1/4近くの国防予算を削りました。自民にはそれをかつて身を張って止めてきた人もいたようですが、アベ氏には残念ながら先を見る目も本当の意味でのプライドもなさそうです。安保法案は日本の国防とは何の関係もありません。

先日の国会で、山本氏は、日米合同会議という名のアメリカの要望を日本が唯々諾々と聞くだけの会があって、その根拠になっている日米地位条約について「売国条約」と呼び、アベ氏が改定する気はないのか、と追求しました。それについて、国会にいた他の酔っ払いの面々が「売国条約」とは穏やかではないと窘めたという話を聞きました。山本議員は「『売国』は訂正するが主権を売り渡す占領時代と変わらない条約はおかしい」と再び指摘したとのこと。
この事件についてのコメントのツイートをいろいろ見ました。

売国条約を売国条約って言って何が悪いか!良識ある人間は皆そう思ってる。日米地位協定なんて売国協定そのものではないか!

米国が引き起こす戦争のために日本人の命も資産も提供し、TPPでは主権を売り渡す、原発もまた同様。日米協定を(売国条約の)他になんと表現しようか。

総理も委員長も、利権だとか売国条約だとか、山本太郎さんに事実を言われたから、ガチでぶちきれてる件。

アメリカとの協定と利権は安倍の一番突かれたら嫌な事やったんや。戦闘地域や後方支援やホルムズ海峡より何より異常反応。鴻池も必死やった。山本太郎が放送禁止用語でも言わはったんかと思うくらいの鴻池の狼狽ぶり。

『利権』に異常な反応。『売国条約』に更に反応。図星って事。山本太郎さんお疲れ様でした。


強行採決後も野党の反発は続き、山本太郎氏は、総括質疑を省略して採決に入ったことを問題視し、「現在の国会の中に民主主義はないということだ。この国に生きている人にこの状況をしっかり見てもらいたい」と話した、とのこと。日本の現実は、立憲主義に基づいた民主主義国家ではなく、宗主国アメリカの植民地であり、その番頭である官僚と与党の利権互助会による独裁国家である、ということを理解するところから始めねばならないと思います。その事実にシラフで立ち向かう必要があります。

それにしても、安保法案に賛成している一般の人は、利権と売国条約をどう思っているのでしょうね?公然の秘密だけれども、みんな酔っ払っていたから、冗談とでも思っているのでしょうか?それとも本気で安保法案は日本の国防のためであって、そのためには憲法をねじ曲げることもやむを得ないとでも思っているのでしょうか。

あるいは、第二次大戦でコテンパンにやられたので、羹に懲りてなんとやらで、アメリカの言うことに逆らえばまた原発を落とされるとでも思っているのでしょうか。そして、これまでずるずる対米隷属でやってきたから、これからもずるずるいける、とでも思っているのでしょうか。

しかし、若い世代はそうは考えていないようです。バケツの底が抜けかかっていることに彼らは気づいています。
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リズムセクション

2015-09-15 | Weblog
仕事に復帰しましたが、まだ休み気分が抜けきりません。
休み中に「和楽器バンド」というバンドの曲の幾つかをたまたま聞きました。このバンドは太鼓と尺八と琴と太棹に加えて、ドラムス、ギター、ベースに吟調のボーカルという和洋折衷バンドで、音楽的には、アップテンポのハードロックを演歌歌手が歌うというような感じです。私、演歌もハードロックも中学生以来、聞いておりませんが、なんとなく気に入って数曲、聴いてみました。琴と三味線と太鼓のリズムセクションに尺八が絡んでいるのがいい感じです。なぜ気に入ったのかな、と思って、記憶をぼんやり辿ったら、30年前に好きだったセネガルのバンド、ユッスー・ンドゥールとスーパーエトワールのリズムセクションに似ているからではないか、と思いあたりました。スーパー エトワールのアフリカのリズム楽器の緻密なリズムにホーンセクション、これもアフリカとヨーロッパの折衷音楽です。前にも書いたような覚えもありますが、中でもシネバルという曲での、緻密なアフリカのリズムにホーンセクションの特徴的なリフには若いころに感動しました。このリズムセクションは、弦楽器(何の楽器かわかりません)と太鼓がウラで緻密なリズムを奏でています。ちょうど、琴と太鼓のような感じで、そこに西洋楽器のホーンセクションとドラムスとベースです。


さて、その和楽器バンド、多くの曲で、ドラムスのビートが強すぎて、どの曲も似たようなハードロック調(最近はハードロックとは言いませんね)になってしまうのが、私的にはちょっと残念です。ドラムスのシンバルとハイハットをもう少し控えて、琴、三味線と太鼓のリズムセクションを強調したものを聞いてみたいです。
有名なカバー曲らしいですが「千本桜」の出だしのじょんがら風の三味線からつながるリズムセクションはなかなか格好がいいので紹介。



さて、参院での安保法案の強行採決が近づいてきました。野党一致して、内閣不信任案などで参院での採決を阻止するという手はもう取れないのでしょうか。一方、沖縄では、知事が辺野古移設の承認取り消しの手続きを始めるとのこと。植草氏の解説によると、もう手遅れになるだろうという話。本気で阻止するつもりであれば、政府との協議の前に、まず承認取り消しをしておくべきであったという主張です。前知事の最後での裏切りもあるのでしょうか、植草氏は翁長知事の今回の承認取り消しの遅れについて以前から疑念を呈しておられます。今回の協議や承認取り消しがプロレスショーであるのかどうか私にはわかりませんが、もうそうだとしたら、一連の知事の行動からすると、かなり手の込んだ台本が書かれているようです。しかし、結局は結果次第であろうと思います。台本があろうとなかろうと辺野古に基地が移設されてしまえば、米軍基地の恒久化は決定したも同然となり、沖縄(ひいては日本の)の植民地からの独立は更に困難になるだろうと思われます。問題は政府がアメリカからの要求を全て絶対的命令であるとして、交渉の余地があるという考えさえ持っていないということではないかと思います。彼らは、一般国民や沖縄にその痛みを押し付けてしまえば自ら痛みを感ずることもないのですから、沖縄の人々の苦痛にさえ目をつぶっていればラクなのでしょう。
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アベ政権のあと

2015-09-08 | Weblog
休暇中でのんびりしております。
挨拶回りの手土産に、京都、満月の阿闍梨餅を買いに行きました。久しぶりの京都で、高校時代以来初めて清水の音羽の滝に行ってみたくなり、ついでに行っていましたが、平日にもかかわらず、すごい数の観光客に驚きました。バスを待っていると、後ろからラテン系の言葉を話す外国人に道を尋ねられ、私も地元民ではないので、隣の人に質問したらその方もアジアからの観光客、前にいた人も観光客、バスの中では中国語のアナウンス、とすっかり私の知っていた京都とは様変わりしていました。知らないうちに月日は流れ、長らく見ていなかったテレビでは知らない人ばかりになり、諸行無常を実感しました。きっと今は大勢の人で賑わう京都駅駅前もいつかは廃墟になる日が来るということを確信しました。

自民党総裁選、なんとか野田氏が推薦人を集めて欲しかったのですが、残念。別に自民党の党内人事に関心があるわけではないですが、このタイミングでの総裁選なら、野党にとっては安保法案の審議を遅らせる材料になったのにと思っただけです。本来、憲法違反なのだから審議すること自体がナンセンスなのです。しかし、盗作(?)の疑いが濃厚になっても、外圧がかかるまで、オリンピックのエンブレムを引っ込めようとしなかった国です。憲法も法律もなんのその、絶対多数の与党はやりたい放題という無法国家です。ニュースを見るたびに怒りが噴火しそうになります。

今回は、やはり、沖縄辺野古米軍基地移設での集中協議。政府は最初から、沖縄と日本にとっての最善策を考えるという気持ちはありません。最初からある結論をゴリ推しするだけのアリバイ作り。

東京新聞、「集中協議 「辺野古ありき」で決裂 沖縄に歩み寄らず

協議で菅義偉(すがよしひで)官房長官は新基地建設に向け「工事を再開させていただく」と表明。翁長雄志(おながたけし)知事は「全力で阻止する」と反発した。(後藤孝好)

 集中協議は工事を一カ月間、中断して行われてきた。だが、政府は新基地の建設計画の撤回を求め続ける沖縄の民意に歩み寄ることはなく、打開策を見いだせずに終わりを迎えた。
 最終協議で初めて出席した安倍晋三首相は「普天間飛行場の辺野古移設は、あくまでも十九年前の日米両政府の合意が原点だ」と強調し、新基地建設を推進する政府方針を繰り返した。
 これに対し、翁長氏は「戦後、住民の土地が強制接収され、米軍基地が造られたのが原点で、代替施設を求められるのは理不尽だ」と反論した。
 中断した工事については、翁長氏が協議で「再開ですか」と尋ねると、菅氏は「そうさせていただきます」と述べた。翁長氏は「工事を再開するなら、全力を挙げて阻止する」と決意を述べた。
、、、最終的には政府と沖縄県の法廷闘争に持ち込まれる可能性も高まっている。


と全面対決。沖縄としては当然。その沖縄の気持ちを汲もうとする気が一切ない政府。アベに至っては、アメリカの19年前の要望書にあるから、とアメリカには律儀に忠誠を示すくせに、たった数年前に選挙前に国民にした約束は平気で破り、詭弁を弄し、ウソをつく、という情けなさ。沖縄や国民に対してはエラそうにするくせに、アメリカに対しては遥か昔の話でも交渉さえしようとしないのです。上には絶対服従するのに下には傲慢、一番嫌われる中間管理職タイプですな。そのくせ、自分は「最高責任者」とかいう大ボケをかますのです。笑えぬボケにつっこむのは山本太郎さんぐらいというのも悲しい。

所詮、アベは操り人形です。同、東京新聞、「筆洗」のコラムから

 藤子・F・不二雄さんのSF漫画を思い出している。舞台は長い歳月をかけて旅する宇宙船内。乗組員の中に一人、意地の悪い男がいる▼この人物、なぜか他の乗組員に嫌がらせばかりする。当然、乗組員たちは男を警戒し、結束を強める。その結果、困難な旅を乗り切る▼結末を書くことをお許し願いたい。性悪な男の正体は宇宙船の会社が雇った「嫌われ屋」。宇宙船という閉ざされた空間の中で、顔を突き合わせていれば、ストレスは高い。乗組員の不満や鬱憤(うっぷん)を向かわせる相手として雇い、船内の秩序を維持するという狙いなのだという、、、、


アベは嫌われ屋となりつつありますが、誰が何のために雇ったのか、その辺を常に考えておくべきだろうと思います。本人は、ガス抜き目的、スケープゴート、嫌われ屋にされているとさえ思っておらず、本気で「最高責任者」とでも思っているかも知れません。とりあえずはアベを辞めさせなければなりませんが、所詮は捨て石です。アベが退陣したところで本当の戦いは終わりません。アメリカはアジアや中東から遠からず手を引きます。その前に搾れる部分はできるだけ搾り取ってなるべくロスを小さく縮小したいと思っていると思います。問題はその後、日本がいかに対米隷属から離脱してアジア諸国と協調していくことを実現するかを考えることのできる人材やシステムを構築していくということではないでしょうか。
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バケツの底が抜ける日、代理を撃つ

2015-09-01 | Weblog
週末の安保法案反対デモは国会前、12万人とのことでした。全国各地での数を合わせるとかなりの規模になっているはずです。100万人というのは無視できない数です。

安倍氏がもう少し融通の利く人であれば、この法案はノラリクラリで事実上廃案にすることもできたでしょう。小沢氏も言ったように、あいにく、この人は目上の人の言うことをよく聞く「良い子」なのです。「良い子」ぶって、ハラの中で別の計画を練るというような芸当はできないのだと思います。目上のアメリカ様の要望を通すことと引き換えにソーリの椅子に座れているのだ、そのことを忘れるな、と言われると、きっとこの人は「ハイ、わかりました」と、言われた通りに努力しようとするのでしょう。だから「目下」だと思っている議員や国民に対しては必要以上に傲慢な態度をとるのではないでしょうか。自分に自信がないのでしょう。

いずれにせよ、言われたことをバカの何とかのように忠実に実行しようとする融通のなさ、大局観や長期展望のなさ、想像力の欠如、そしてアメリカ様には絶対服従の一方で国民を下に見ているような人間が総理であるということは、本当に国民の不幸としかいいようがありません。ただ、潮目は変わっています。安倍氏は遠からず退陣せざるを得なくなります。行き詰まっても自ら身を引くことはこの人にはできないかもしれませんが、自民党議員や党員が下ろし始めるでしょう。安保法案に関しては、参院での強行採決でさえできるかどうか怪しくなってきました。

移動中のラジオで、懐かしいBob Marleyの「I shot the sheriff」が聞こえてきました。ジャマイカのルーツ レゲエはイギリス帝国主義によって、奴隷としてジャマイカに連れてこられた黒人のアフリカへの回帰を望む魂の歌です。初めてこの歌を聞いた時は子供で、しかもエリック クラプトンのカバーでしたから、保安官を殺したという歌の意味は私には全く理解できませんでした。

この歌の歌詞の解釈と解説は多分多くされているとは思いますが、「保安官を撃った。それは自己防衛だった。でも俺は保安官代理を撃ったんじゃない。」という部分がどういう意味なのか、あらためて考えてみました。「John Brownという名の(イギリス人風の名前の)保安官を撃ったが、代理は撃っていない」という歌詞、どうして代理を撃ったのではないとわざわざ言ったのでしょう。
保安官は宗主国のイギリス、代理は黒人なのにイギリスに命令されて同胞を取りしまる黒人、という意味なのだろうかと思いました。

日本に当てはめてみれば、保安官はアメリカ、代理は対米隷属官僚と安倍政権、と言ったところでしょう。安倍政権と対米隷属官僚は確かに魂をアメリカに売った売国奴です。しかし彼らを操って日本国民を搾取しようとしているのは、アメリカの民間シンクタンクで「知日派」とかいってあたかも親日的に振る舞う連中と、その裏にいるアメリカの軍需産業や金融産業群です。安倍政権が上司のいうことを「ハイ、わかりました」と忠実に実行しようとする「良い子」に過ぎないのなら、「I shot the sheriff」は、本当の敵を見失うな、というメッセージなのかもしれません。

もう一つ、この曲が40年を経て私の心に響いたのは、歌詞の最後、「毎日、井戸の(重い)水を運んていると、バケツの底というものは突然抜けるのだ」という部分です。高校生、大学生までもが立ち上がって、12万人が国会前に結集しデモを行いました。バケツの底は抜ける寸前に来ていると思います。
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