百醜千拙草

何とかやっています

ICJ判決とハマスの言葉

2024-01-30 | Weblog
南アフリカがパレスティナに対するジェノサイドでイスラエルをICJに訴えた裁判の中間判決が、1月26日に表明されました。複数の項目において、17人の裁判団中15人以上という圧倒的な多数で、イスラエルはジェノサイドを行ってはならず、そのための措置を取るようにとの決定が下されました。当然の裁決だと思いますが、その一方で、南アフリカが求めていた即時停戦への命令はなされませんでした。米英仏というイスラエル支持国が常任理事を務める国連の機関と考えれば、即時停戦決議にまで踏み込むことはできなかったのでしょう。所詮は政治的意向が最後は優先されるということです。一方、イスラエルはこの判決が表明された日にも大規模な空爆を行いその日だけでも500人近いパレスチナ一般人を殺しました。イスラエルはICJも世界も敵に回してでもパレスティナ殲滅まで殺しまくるつもりのようです。死者の数だけで言えば、能登半島地震の犠牲者数をはるかに超える人々が、毎日毎日、3ヶ月以上に渡って殺され続けているのがガザです。そのうちの9割以上が一般市民、その半分が子供。運良く生き延びた人もまた、家も財産も家族も体の一部も失い、乏しい食料と劣悪な環境の中で飢え、苦しんでいます。

この地獄のような現状を知りながらも、そしてこのICJの判決の後でさえ、イスラエルと西側諸国に反省の色はありません。狭い土地に二百万人のパレスティナ人が閉じ込められているガザには産業がないに等しく、そこで生活するガザの人々は、国連の組織である国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援にその生活と生命を依存していると言ってよい状況にあります。そして、ICJの判決がでたあと、UNRWAの人道支援への援助を止めると宣言したのが、そもそもこの問題の根源を作り出したとも言えるイギリス(UK)です。イギリスに続き、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イタリア、フィンランド、オランダの「西側諸国」がUNRWAへの支援を止めると発表しました。その根拠は「ガザの人道支援にあたっている国連組織UNRWAの一部がハマスの10/7の攻撃に関与した」とイスラエルが主張したからです。ガザの人々を物理的に殺戮する上に飢えさせて全滅させようとする邪悪なシオニスト政権と、それを政治利用してきたいわゆる「西側諸国」は、統一教会と自民党のように、持ちつ持たれつで弱者を迫害し続ける、己の利益にしか興味のない、未熟な"subhuman"であると言っても良い。因みに、この件では、強くイスラエル、アメリカ、EUを非難してきたアイルランド、ベルギー、スペイン、そしてデンマーク、ノルウェーはUNWRAへの支援は続行予定。

そして、わが国。当然のようにアメリカに追従し、UNWRAへの支援をストップ。正式にパレスティナのジェノサイド加担国となりました。広島、長崎で無差別市民殺戮を経験してきており、ジェノサイドに関しては強い反対のメッセージを打ち出せるはずなのにやっていることは真逆。戦後、連綿と日本政府がアメリカの番頭となって、国民搾取に加担してきたからでしょう。ツイッターでも日本は実質アメリカの植民地で偽独立国だから当然だというコメントがチラホラ。「長いものには巻かれろ」の日本はヤクザの舎弟という立ち位置が好きなのでしょうが、その親分もいつまで保つか怪しいものです。日本はいざとなれば最初に切られるトカゲの尻尾であるということを自民党はどう考えてるのでしょうかね。ま、今回の裏金問題の追求の緩さを見ても、この国が真の民主主義の独立国になるには、山本太郎が総理大臣にでもならない限り無理でしょうな。

(UNWRA支援については https://www.unrwa.org/japan をご覧ください)

さて、先週はハマスからの動きもありました。1/22にハマスから今回の事件に関する文書が発表され、「アクサの大洪水」と名付けられた今回の攻撃をなぜ決断したのかというハマスの言葉が発表されています。[下のサイト(PDF)で英文でも読めます] 


ここでは、それを解説したサイトから、さらに一部を要約したいと思います。

ハマス文書 -  なぜ我々は「アクサの大洪水」作戦を敢行したのか
、、、、、
ガザ地区とヨルダン川西岸地区に対するイスラエルの継続的な侵略に対し、パラスティナ国民が独立と尊厳、そして史上最長の占領からの脱却のための戦いを続ける中、イスラエルの殺人マシーンと侵略に立ち向かう勇敢さについて記したのがこの文書であり、またこれは「アラブ&イスラム諸国」と「世界中の自由な人々と自由、正義、人間の尊厳を擁護する人々」に向けて書かれたものである。

最初のセクションは、アクサの大洪水作戦の背後にある理由について説明している。ハマスは、シオニスト運動によって、そしてそれ以前にもイギリスの植民地当局によって開始された残忍な植民地化プロセスについて説明することで、この出来事を文脈づけている。

この数十年間、パレスチナの人々はあらゆる形の抑圧、不正、基本的権利の剥奪、アパルトヘイト政策に苦しんできたことを述べており、さらに、この文書では、2000年から2023年までの期間に関連する公式の数字を列挙し、パレスチナ人の死傷者数が衝撃的な数字であることを明らかにしている。

また、ハマスは、いわゆる『平和的解決プロセス』(と呼ばれる欺瞞)と『常にイスラエルを法の上にある国家として扱ってきた』米政権とその西側の同盟国による頑迷さを非難している。彼らはイスラエルによる占領を長引かせ、パレスチナの人々を取り締まるために必要な隠れ蓑を提供し、『イスラエル』がこの状況を悪用してパレスチナの土地をさらに略奪し、彼らの神聖な場所や聖地をユダヤ化することに加担してきた。

「執拗な占領と苦難の75年後、そして解放と民族の帰還のためのあらゆるイニシアチブを失敗させた後、さらにいわゆる『和平プロセス』の悲惨な結果の後、世界はパレスチナの人々に何を求めようというのか」と文書は問いかけている。

「アクサの洪水作戦の出来事」と題された第2章では、その日の出来事を説明し、イスラエル側の嘘をいくつか論破している。
「民間人、特に子供、女性、高齢者への危害を避けることは、アル・カッサムの全戦闘員による宗教的、道徳的コミットメントである。我々は、この作戦の間、パレスチナの抵抗勢力は完全に規律正しく、イスラムの価値観に忠実であったこと、そしてパレスチナの戦闘員は、占領軍の兵士と、我々の同胞に対して武器を携行する者だけを標的にしたことを、改めて表明する。もし民間人を標的にしたケースがあったとすれば、それは占領軍との対決の過程で偶発的に起こったことである」

第3章では、ハマスが「自国領土内でイスラエルが犯した戦争犯罪」の調査を求めたとき、イスラエルの強硬さと要求への拒否、そしてICC(国際犯罪裁判所)への要請によってパレスチナ人を罰するという脅迫に直面したと述べている。

「我々は、これらの国々、特に米政権、ドイツ、カナダ、英国に対し、彼らが言うように『正義に則る』というのであれば、占領下のパレスチナで行われたすべての犯罪の調査過程への支持を表明し、国際裁判所が効果的に仕事をするために全面的な支援を与えることを要求する」

「ハマスとは何者か」と題された第4章では、自らを「明確な目標と使命を持つ民族解放運動」であり、「占領に抵抗する正当性は、パレスチナ人の自衛権、解放権、自決権から得ている」と説明している。

「私たちの確固としたパレスチナ人民とその抵抗勢力は、長く残忍な植民地占領から自分たちの土地と民族の権利を守るために英雄的な戦いを繰り広げている。パレスチナの人々は、パレスチナの民間人、そのほとんどが子供や女性であった人々に対する凶悪な虐殺を行った前例のないイスラエルの侵略に直面している」

「何が必要なのか」と題された第5章では、ハマスが「イスラエルによるガザへの侵略、ガザ住民全体に対する犯罪と民族浄化の即時停止」を求めている。さらに、「イスラエル占領軍がパレスチナ人民に対して引き起こした人的被害について法的責任を追及し、民間人、インフラ、病院、教育施設、モスク、教会に対する犯罪を告発すること」を求めている。

「我々は、世界中の自由な人々、特に植民地化され、パレスチナ人の苦しみを実感している国々に対し、イスラエルの占領を支持する列強諸国が採用しているダブル スタンダードに真摯に反対するよう呼びかける。これらの国々に対し、パレスチナ人民との世界的な連帯運動を開始し、正義と平等の価値、そして人民が自由と尊厳のうちに生きる権利を保障するよう求めたい」

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グローバルサウスの反撃

2024-01-23 | Weblog
この3ヶ月余り、ほぼこの話題ばかりですが、今、ガザで起こっていることが、ネタニヤフの極右イスラエル政権のくだらない欲と差別意識によって、二万人以上の子供が多数の一般市民が一方的に殺され、その何倍もの人々が手足や人生や家族を失い続けてているという現在進行形のこの世の地獄であることを思うと、無関心でいることはできません。

南アフリカは、イスラエルをジェノサイド禁止条約違反で国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、今月の11日にハーグで最初の弁説を行いました。そして、その様子が世界中に配信されました。70年以上にわたってイスラエルがパレスティナを不法に占領し、パレスティナ人の土地や財産を略奪し、百万人に達するパレスティナ難民を生み出し、そして、今回、ガザの完全破壊とパレスティナ人虐殺を続行してきたという理不尽に、南アフリカに加え、アラブ50カ国はもとより、欧米以外の世界中の国が抗議の声を上げています。南アフリカはイスラエルをジェノサイド禁止条約違反で訴えましたが、今度はインドネシアが、イスラエルをパレスティナの不法占拠でICJへ提訴予定です。南アフリカ併合時代にアパルトヘイト政策で苦しんだナンビア、パキスタンによる支配を受けたバングラディシュ、南アメリカの数カ国も南アフリカのICJ提訴に賛同。そして、この裁判に直接関係していない国々もイスラエルのジェノサイドに抗議の意を表明してきております。チリとメキシコは国際刑事裁判所(International Criminal Court, ICC)にイスラエルの戦争犯罪を捜査するように要望書を提出。他国にあまり興味のない中国でさえガザ停戦を国際社会に訴えましたし、南アメリカのいくつかの国では、イスラエルの外交官を国外に追放しました。

対して、アメリカの金魚のフンのわが国は、バイデンの顔色を伺って、ダンマリ。イエメンのフーシはイスラエルに抗議し、イスラエルがジェノサイドをやめるまで、紅海からスエズを抜けてイスラエルに向かう船舶の航路を選択的に妨害していますが、それに対し、最近、アメリカとイギリスはイエメンを爆撃。バイデンはイエメンのフーシ派をテロリストと呼んだわけですが、これに対し、イエメン高官は「世界中で殺戮を繰り返し、広島、長崎で何十万人の人間を虐殺したテロの総元締めから、テロリスト認定されたのは光栄なことだ」と皮肉のコメント。今や、原爆も空襲も経験したことがないのがほとんどの日本人と思いますが、原爆を一般市民の住む街に投下し、街ごと吹き飛ばすという行為がどういうものであったかを、具体的に想像してみてもらいたいと思います。それに極めて近いことが現在、ガザで起こっております。国益優先でイスラエル寄りの多い北ヨーロッパ諸国の中では強くイスラエルを非難しているのはベルギーとアイルランド。アイルランドのEU会議議員、Clare Dalyは、イエメン爆撃を行ったアメリカとイギリス、そしてイスラエルのジェノサイドを間接的に支援しているEU諸国を強く非難しました。

かつてブッシュはイラクが大量破壊兵器を密かに造っていると一方的に宣言し、テロとの戦いと宣言してイラクに侵攻しました。大量破壊兵器が見つからないとなると、そのうち大義名分はいつしか、アラブに民主主義を確立するという名目に変わって、アメリカは相変わらずアラブ諸国で諍いを煽り、フセインを殺し、リビアを攻撃しカダフィを殺し、アラブの国々の人々の命と生活を破壊しながら、戦争ビジネスを続け、そして、今、バイデンはパレスティナの大量破壊を行うイスラエルの「子供殺し」を支援し続けています。イエメンや、欧米帝国主義の犠牲になってきたグローバルサウスと総称される国々から見れば、広島、長崎に原爆を落とし、朝鮮、ベトナム、イラン、イラク、と世界各国で争いに首を突っ込んで殺しまくってきたアメリカこそがテロ国家でしょう。4万人以上の民間人がアメリカに殺されたイラクでも、アメリカの偽善への怒りは沸騰しつつあるようで、週末には、アメリカのイラク国外への撤退を主張して、イラク国内のアメリカ軍基地を攻撃しました。

イスラエルは、冷戦時代、ソ連に支援されたアラブ政権に対抗するための西側諸国の手先であり、西側諸国はイスラエルを仲間と見てきました。今だに、建国前にユダヤとアラブの両方に甘言を語って中東を支配しようとしたイギリス、スエズ運河利権を共有するフランス、中東オイル利権のアメリカ、そしてドイツはイスラエル支援を崩していません。そうした西側の国々でも建前は人道主義、民主主義を掲げていますから、その市民の大半は、国益重視でイスラエルのジェノサイドを支援する彼らの政府には反対しており、欧米各地では政府に抗議する巨大なデモが行われております。ヨーロッパではドイツは明確にイスラエル支援を表明していますが、国民の6割はイスラエルのパレスティナ人虐殺に反対、イスラエル人でさえもイスラエル政府のジェノサイドを糾弾する人々は増えています。イスラエル人作家のMotti Lernerは、「自分は一万一千人の子供を殺すような国の市民ではありたくない、国民を守るためと言うが冗談だろう、正気ではない」と政府を非難。イスラエルではネタニヤフを弾劾罷免させようという動きも起こってきているようです。

そして、ここにきて、ハマス、ヒズボラを攻撃しているイスラエルが、シリアでの空爆を行い、新たに数人のイラン革命軍の将校を殺害しました。このことを受けて、イランもついに報復を口にし出しました。この地域のおいてはイスラエル-アメリカ-北ヨーロッパ(一部を除く)対 アラブ諸国間での対立が明らかに激化してきています。イランが動けば、ロシアも動く可能性が高まります。

ここにきて、バイデンも、さすがに来たる大統領選に向けて、パレスティナ問題に一定の解決の道筋をつけたいと望んだのか、ネタニヤフに対し二国共存を考えるよう要求。ま、どう考えても、それしか妥協案はないのですが、ネタニヤフは拒絶。ここまで国際社会を敵に回したネタニヤフですから、毒を喰らわば皿まで、パレスティナの完全掌握しか自分が生き延びる道はないと思っているのでしょう。そして、ここからは妄想ですが、仮にパレスティナ問題が落ち着いたとしても、バイデンはアメリカのコア バリューを踏み躙り、インフレを制御できず国民生活を守れなかった失敗者として、多分あと一年弱でホワイトハウスを去ることになり、そして、次の大統領は誰であっても、中東やウクライナからは手を引こうとするのではないでしょうか。もしイスラエルが中東で孤立無援状態に置かれても今のようにパレスティナの完全掌握を狙って破壊と虐殺を続けるのであれば、アラブ - ロシア連合軍による中東制圧の動きが加速し、今度はイスラエルが瓦礫の山となる可能性もあると思います。因果応報、盛者必衰、76年前、ナクバという災いを引き起こして建国したイスラエルという国は災いを受けて滅ぶことになるのかも知れません。そして、ロシアの中東介入があれば、米露は直接対決し、一気に第三次世界大戦へと進行、中国、インドは漁夫の利を狙って動かず、そして最後はアメリカの世界覇権が終了するのではないでしょうか。殺し合いながら国が興亡するのがこれまでの人間の歴史でした。しかし、人類もいつまでも殺し合っている場合ではありません。欧米帝国主義/資本主義の終焉はその第一歩であろうと思います。
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南アフリカが世界を変える

2024-01-16 | Weblog
週末のがっかりニュースは、自民党の裏金問題。結局、検察はアベ派五人衆の立件を諦め、秘書に詰め腹を切らせて終わらせるつもりのようです。ま、最初のガサ入れでさえ、わざわざ予告してからやったようなものでしたから、この事件の収束のシナリオはあらかじめ書かれていたのでしょう。法律の専門家から見ると、裏金づくりの共謀があったかどうかが焦点のようで、それを立証するのは困難とのこと。それはそうかも知れませんけど、一般国民であれば、冤罪を作った上に裁判で負けたら控訴までして被害者を苦しめるくせに、与党政治家であれば億単位の裏金を作ってもお咎めなし。国民は納得できず、怒り爆発。ま、陸山会事件をでっち上げ、調書内容を捏造した東京地検特捜を私はもとより信用していませんけど。そもそも特捜は、GHQが旧日本軍の貯蔵していた隠退蔵物資を摘発する組織として始まったという経緯から、アメリカとその手先(自民党清和会 )と同じ穴のムジナであるという話は以前からあり、陸山会事件のように政治権力闘争の道具でさえあったわけで、その点を考えると、期待はずれというよりも予想通りの展開でした。しかし、今回の特捜への国民の怒りは凄まじく、かつての不正献金事件の時のように、東京地検は再び黄色いペンキを打ち掛けられることになるかもしれません。

さて、先週の山場は、私的には何といっても、ハーグの国際司法裁判所(ICJ)での南アフリカ弁護団による弁説でした。南アフリカは先月、イスラエルをジェノサイド禁止条約違反で提訴、その最初の弁論が、1/11の現地の朝から三時間以上に渡り行われました。南アフリカの代表と弁護チームが訴えたイスラエルの罪状とガザおよびパレスティナの被害は、多大な証拠に則ったロジカルで力強い弁論で、見る者の心を揺さぶりました。中でも、淡々とパレスティナの被害事実の具体例を積み立ててイスラエルの罪状を追求したアイルランド女性弁護士のBlinne Ní Ghrálaighの弁説では凄みがありました。アイルランドもノルマン人やイングランドに支配され虐げられてきた歴史を持っています。

彼女の演説の中で、救助隊がある種の子供たちを形容するのに使う一つの略語が紹介されました。

WCNSF 

    "wounded child with no surviving family"の頭文字を取ったものです。こんなに悲しい言葉があるでしょうか。しかも、この子供たちは天災でも何でもなく、イスラエルの悪意ある無差別虐殺行為の犠牲者なのです。

彼女の弁論をカバーしたニュースと裁判の様子。

一方、その翌日行われたイスラエルの反論は、正直、「よくこんなことがシラフで言えるなあ」と呆れるレベルのお粗末さでした。イスラエルの主張は、ハマスを選択的に攻撃し、ガザの市民へのダメージを少なく済むべく全力を尽くしているということらしいです。しかしあれだけの無差別爆弾(dumb bomb)をガザに集中投下し、70%の犠牲者が子供と女性という2万人の市民を3か月という短期間で虐殺し、生き延びた子供の手足や未来や家族を奪い、ガザを誰も住めないような瓦礫の山にし、イスラエル国防省の役人からして「ガザを兵糧攻めにする」と公言したイスラエルが、これだけの物的証拠を前にして、何を言うか、と心底、怒りを覚えました。弁護士の一人はやる気がないのか、弁論の原稿の紙をなくして壇上で立ち往生するというお粗末さ。イスラエルは結局、見苦しい言い訳に終始し、南アフリカの主張の枝葉末節に反論するだけに終わりました。

裁判所の判事が完全に中立ならば、南アフリカが負けることはありません。残念ながら、ここは国連、第二次世界大戦の戦勝国が牛耳る組織であります。中国、ロシアを除く常任理事国は多かれ少なかれイスラエルの味方をするでしょう。とくに、そもそもパレスティナ問題を引き起こした元凶である三枚舌外交のイギリスとそれに乗ったフランス、そして何より今回の虐殺に関してはイスラエルと同等の罪を負うべきアメリカが常任理事国ですから、裁判の帰趨はわかりません。加えて、パレスティナ問題に関して国連の勧告をずっと無視し続けてきたイスラエルが国際司法裁判所で敗訴したからと言って諾々と従うわけがなく、事実、ネタニヤフはICJでどういう判決が出ようとも戦闘はやめないと宣言。

その後、南アフリカは、バイデン政権に今度はアメリカをジェノサイド幇助で提訴すると通告。武力で正面からやり合って勝てない相手には、世界の世論を味方につけて、束になってかかるしかありません。ネルソン マンデラの意思を引き継いだ南アフリカが「国家」として、立ち上がってくれたことは、素晴らしいことです。南アフリカの行動は、欧米大国とその属国日本の「自分さえ良ければよい主義、勝てば官軍主義(帝国主義/資本主義)」に対するアンチテーゼであり、今後の進むべき世界の指針を示し、この非道で凄惨なガザの大虐殺の中で世界中の差別に苦しむ人々に希望を与えたと思います。

また、今回の南アフリカの提訴の意義が大きいのは、西側/イスラエル対アラブ/イスラム世界という対立の構図と一見、無関係のように見える南アフリカがイニシアティブをとって、国家として世界に人道主義を訴えたという点です。この南アフリカの行動はこれまでの目先の国益を求めてのものではないからこそ、西側諸国はその国民への影響を恐れ、今回の南アフリカのイスラエルとアメリカに対するICJへの提訴の報道を抑制しています。日本に至っては、このニュースはほとんど無視。イスラエルのジェノサイドに抗議して、イスラエルへ向かう船舶の江海への侵入を止めたイエメンに対して、先日のアメリカとイギリスがイエメンへの爆撃を行った事件に関しても、NHKはあたかもテロ組織への制裁であるかのように報道。ま、アメリカの使いパシリの自民党政権に人事を握られ、自民党に報道内容に口を出されるNHKに公平な報道など求めるのは無理でしょうが。

今年末の大統領選に向けて予備選が始まろうとしています。民主党はバイデンに二期目をやらせるつもりでしょうが、無理でしょう。バイデンはようやく大統領になれたのに、ウクライナの戦争を煽り、イスラエルの虐殺に手を貸し、死の商人の手先という汚名を着て晩節を汚し、一期でホワイトハウスを去ることになると思います。次の政権が共和党になるのは仕方がないです。しかし、イスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移したトランプがまた返り咲くのは御免被りたい。トランプはバイデンのような武器商人ではないかも知れませんが、数え切れぬほどのセクハラや詐欺などの数々の訴訟に示されるように、人間性には大いに問題があり、そして自己顕示のためには、米軍の最高司令官という立場を行使して核ミサイル発射ボタンを押すぐらいのことはやりかねない危険人物ではないかと思っています。人の不幸を望むのはどうかと思いますけど、正直、バイデンもトランプも、二人とも予備選の間に脱落してもらいたい。フランス並みとはいいませんが、アメリカももっと若く新しい世代の人に任せたほうがよいでしょう。
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ICJ予想

2024-01-09 | Weblog
震災の被災者の生活を伝えるニュースを見ていると心が痛みます。亡くなった方や遺族の苦しみ、避難生活の困難さ、元の生活を取り戻すまでの苦労を想像すると、募金ぐらいしかできない自分の無力感を強く感じます。そんな中で、すぐ意味ある行動に移せる人々には尊敬の念しかありません。中でも心を打たれたのは愛知のトルコ人ボランティアの方々が行った炊き出し。異国の地で自らも不自由な生活をしている中で、本来無関係の他人を思いやり、かつそれを行動に移すことができるというのは、われわれ自身を逆の立場において想像してみれば、どれほど大変なことか理解できます。現場では、いつもの山本太郎の姿がありました。過去十年にわたって、災害時に現場に入って自らボランティアとして活動しながら被災地の情報を集めて、現地の人々の要望を聞いて、国会で伝えるという活動をつづけてきた国会議員は彼だけでしょう。災害支援NPOの信頼も厚く、現場のNPOと直接連携できる国会議員は彼一人という状況。一方で、災害対策を話し合ったという与野党の代表議員、現場の邪魔になるからという理由で現場には行かないことを決定したそうですが、なぜか防災服で一緒に記念撮影。

山本が現地で何をしてきたのかは下の彼からの情報を伝えるツイートによく表れているので、是非、読んで欲しいと思います。現地にも行かないのにオフィスの中で防災服コスプレで「やってるフリ」しているおじさんには、わからないことでしょう。まして、同じ国会議員でありながら、現場の何も知らず、なんの行動もしないヘタレどもが、山本太郎が被災地に行って渋滞を引き起こしたの、被災者用のカレーを食べたと言っては叩く、この低劣さには眩暈がします。ついでにいうと、呆れたのが、被災地と遠くはなれた街角で募金活動する自民党のクソ議員。予算をつけれる与党の立場にありながら、募金活動で庶民に金を出させようとするそのハズれ具合。そんなに募金が好きなら、せっせと作った裏金と官房機密費を寄附すればよい。多少の罪滅ぼしにはなるでしょう。

山本太郎の報告は以下の連続ツイートです。

さて、天災で家屋や生活や命を失う以上に、痛ましく悔しいのは、意図的に行われる無差別な民族の殲滅で、パレスティナでのジェノサイドは進行中です。アパルトヘイトで苦しんだ歴史を持つ南アフリカは、先月、国連の最高法規機関であるInternational Court of Justice (ICJ) にイスラエルをジェノサイド禁止条約違反で告発し、今週から聴取が開始されます。この南アフリカの提訴にヨルダン、トルコ、マレーシアは賛意を表明。こうした直接的なイスラエルの非難はなくとも、アメリカ以外のほとんどの国連参加国はイスラエルに停戦を求めている状況であり、すでに12,000の子供がイスラエルの攻撃によって殺されている現状と、アメリカがイスラエルのパレスティナ弾圧を従来から支援してきたという事実を鑑みると、より一層強い圧力をイスラエルとアメリカにかけ続けていかねばなりません。そうこうしている間にも、毎日、子供が殺され続け、生き延びた子供も手足に重度の障害を受け、医薬品供給が止まり麻酔も輸血もなしで、切断手術を受けるという状況が続いています。

今回の南アのイスラエル提訴の帰趨についてのインタビュー動画(日本語字幕)のツイートを見つけましたので紹介します。

日英メディア翻訳者斎藤キリク@kirikousaito

ジェノサイド条約に基づいた差し止め命令を国際司法裁判所で勝ち取った経験のある人権弁護士フランシス・ボイル氏の 今回のイスラエル対南アフリカの裁判に関する所見。 南アは勝てるのか。 なぜ国際刑事裁判所(ICC)ではダメなのかなど。 必見。
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新年

2024-01-02 | Weblog
正月休みでのんびりしていたら、新年早々、石川での地震災害で驚きました。
すぐに取り壊される役に立たないリングに350億もかける余裕があるなら、直ちに万博中止を決定して被災地の援助と復興、それから一部電源喪失したり、燃料プールの水漏れを起こした原発の廃炉に資金を振りむけろ、という沢山のツイートは正論中の正論です。そして、もし今、再び原発事故が起きたらと思ったら、悪夢の自民党政権下、しかも無能の極みのキシダ政権、不安しかありません。

さて、去年はいろいろと大きな出来事があった年でした。
個人的には研究活動から本格的に引退し、職を変えたことでしたが、今のところ、研究という活動を離れたことにほとんど何の後悔も寂しさも感じていません。この十年ほどはアカデミアでの研究がどんどん面白くなくなっていきました。理由は複数思いつきますが、基礎医学研究においては、前のNIHディレクターで医師でもあるフランシス コリンズが10年にわたってより実利的な応用研究を強調してきたことが大きいのではないかと思います。そうした研究でないと研究費を取れないと思う研究者の忖度もあって本来、アカデミアでしかできないような研究は自己制限されていったのではないかと感じます。製薬会社の下請けのような研究を製薬会社の何百分の一の予算でチマチマとやっていて面白いわけがありません。また、最近の中国が科学論文数で世界一になり、日本が科学論文出版で世界への貢献度を落としているというニュースを見ても、正直、この十年あまりほど、中国からの論文原稿に数多く直に接して時間を浪費してきた身としては、むしろ、この世界から足を洗えてよかったという気持ちの方が強いぐらいです。

とはいっても、どんな世界にも光もあれば闇もあります。現状にはまずまず満足はしていますが、人生の義務的なことがらをほぼ終えた身としては、二ー三年をめどに、また熱中できる新しいことをしたいと望んでいます。それまで頭と体が保てばの話ですが。

日本国内では、増税クソメガネがやるべきことは何もやらず、やるべきことでないことばかりに邁進した結果、国民生活はますます困窮を深めました。しかし、今年はいよいよ悪夢の自民党政権が崩壊の秒読みに入ったと思わされることがいろいろありました。日本の国民が他の先進国並みに十分に立憲民主主義を理解した成熟さを持っていれば、腐敗しきった自民党政治はとっくの昔に終わっていたはずで、日本はここまで貧困化せず、格差も開かなかったでしょう。民主主義国家でありながら、実質は未開の独裁国家、一部の人間が持たざる人々を搾取し、恵まれない人々には「努力が足りないからだ」と上から目線で自己責任論を押し付ける恥知らずが跋扈し、一旦、下に置かれた人間はそこから這い上がれないような社会構造が固定化されてきました。西洋が闘争の末に勝ち取った民主主義を戦後日本は憲法に戴くことができたにも関わらず、従来の日本人の事なかれ主義と上下関係を軸に置いた人間関係ゆえか、少なからぬ日本人はいまだに立憲民主主義を理解も実践もするだけの成熟度を得ていないと感じます。パワハラ、セクハラが横行し、加害者を非難するより、被害を受けた方の落ち度を強調するような社会では、自民党が改憲案で削ろうとしている憲法97条(基本的人権の不可侵性)に対する意識が低すぎると言わざるを得ません。

特に最近、「自己責任」という言葉をよく聞きます。国民からは世界第二位の高い税金を搾り上げるくせに、先進国最低レベルの社会保障のニッポンで、困窮し助けを求める国民を突き放す時に、自民党政府や金持ちが使う言葉です。その一方で手前らは、世界最高レベルの議員報酬をとった上に裏金づくり。しかしながら、それを放置した責任は、結局はこれらの腐敗政治屋を選挙で落とさなかった日本国民自身に求めるほかありません。そういう点では自己責任と言えましょう。

不人気で過去最高の不支持率を誇る増税メガネへの不満、それから例の組織的裏金づくりで、自民党が追い込まれているのは間違いありません。だから、来年早々に自民党は改憲発議を出し、永遠の独裁を可能にする「緊急事態条項」を通してしまおうとしています。これさえ通してしまえば、自民党は選挙そのものを止めることができ、内閣の独裁は完成し、国民の支持率を気にする必要はなくなるのですから。それを国民投票で止めることができないと、日本は再び戦前に逆戻りし、個人の権利は蹂躙され、生活はますます苦しくなり、「欲しがりません、勝つまでは」の生活を延々と強いられることになるでしょう。日本人に改憲の危険性への危機意識が十分にあるように思えないのが不安です。

そして、現在進行中でもある昨年の最大のニュースは、この三ヶ月のガザの破壊と大虐殺のことでした。ヤシーン村の虐殺に象徴されるパレスティナ侵略に始まった血に塗れたイスラエル建国の後、シオニストは数多くのパレスティナ難民を生み出し、75年にわたって彼らを迫害し、土地を奪い、貧しさと窮屈な生活を強いてきました。そして、ハマスによる抵抗を逆手にとって、「自己防衛」という名目で、ガザのパレスティナ住民を殲滅し、ガザの完全破壊を目指すイスラエルの極右政権は、この3ヶ月で桁違いの大量の爆弾を使って無差別に破壊と殺戮を繰り返し、たった3ヶ月で12,000人の子供を虐殺するという戦争犯罪史最悪の結果を晒しました。イスラエルに殺されたパレスティナ人の92%は一般市民です。まさに悪魔の仕業としか形容しようがない。その悪魔が、太々しくも、ハマスとパレスティナ人を「人間以下の存在」で文明を破壊するモンスターと呼び、戦いに勝つまで、相手を叩き潰す、停戦を叫ぶものはユダヤ人差別者だ、と言うのです。ネタニヤフは狂人としかいいようがない。今はアメリカ以外のほぼ全世界がイスラエルに停戦を要求しています。いくつかの国家元首は、「ネタニヤフ政権はナチスより邪悪である」、「イスラエルはテロ国家だ」と声高に批判し、南アフリカはジェノサイド条約違反でイスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴しました。第二次大戦が終わって約八十年たって、このような人道を完全に無視するような異常な政権が、世界一強大な軍事力をもつアメリカの支援のもと、ずっと迫害してきた人々を市民、子ども、老人、病人を問わず、たった三ヶ月で無差別に大量虐殺し、自治区をほとんど瓦礫の山に変えてしまったということが現実であるのが、本当に信じられません。この虐殺を支援しているのが、他人の命とか人道とかは、自らの利益と金儲けの前には何の意味もないと思っているような連中です。

バイデンはウクライナとイスラエルの支援はアメリカの安全保障における「投資」である、と説明しました。バイデンもネタニヤフも動機は多少は違えども同じ穴のムジナ。ネタニヤフも、ここまでやってしまった以上は、パレスティナ人から彼らの土地を完全に奪い、レバノン、シリア、イランの反イスラエル勢力を殲滅し終えるまで、とことんやるつもりでしょう。そして、それまでアメリカと英仏は見捨てるはずがない、と考えているのでしょう。しかし、ツケは必ず天の采配によって払わされます。ネタニヤフの残りの人生は安楽なものにはならないでしょう。現在、イスラエルは、シリアやレバノンへの空爆も激化させており、それに対してロシアが介入してきています。イスラエルに殺されたイラン革命軍参謀の報復もイランは考え始めているでしょう。このイスラエルと西側利権国とアラブ世界の争いが第五次中東戦争へとエスカレートした場合、最後はネタニヤフはヒトラーと同じ運命を辿ることになるでしょう。

聖書の黙示録とエゼキエル書にあるこの世を滅ぼす悪魔の国マゴグとその王、ゴグはロシアのことだと考えられています。聖書ではゴグが中東や北アフリカの国々と連合軍を組んでイスラエルに攻め込んでくると予言されています。今回のイスラエルの周辺アラブ諸国に対する攻撃が第五次中東戦争へと発展し、そこへロシアが介入してくるとなると、アメリカを巻き込んだ第三次世界大戦勃発となり、アメリカの手下である日本も無傷では済まなくなるでしょう。聖書の記載からはその後、一旦は中東を支配したロシア連合軍が内ゲバで自滅して、最後はイスラエルが中東を支配することになるということですが、本当にそういう展開になるのかどうかは勿論、まだわかりません。

それはともかく、戦争ビジネスの手先となり、安全保障のための「投資」と称して、子供を1万人以上も殺しまくるイスラエルを支援するバイデンも邪悪な存在だと言って差し支えない。彼らにとってパレスティナの子供達は未来のハマスの兵士であり、緑の芝生に生える雑草の芽ぐらいにしか思っていないのでしょう。地球全体で見れば、ネタニヤフやバイデンやアメリカ軍産や、その金魚のフンの自民党の方が、人類に対する害虫です。害虫にも5分の魂と5分の理があるのは認めましょう。しかし、子供を無差別に殺すことは絶対悪です。その一点を以てしても、彼らは最も強い言葉で非難されなければなりません。
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