百醜千拙草

何とかやっています

グローバルサウスの反撃

2024-01-23 | Weblog
この3ヶ月余り、ほぼこの話題ばかりですが、今、ガザで起こっていることが、ネタニヤフの極右イスラエル政権のくだらない欲と差別意識によって、二万人以上の子供が多数の一般市民が一方的に殺され、その何倍もの人々が手足や人生や家族を失い続けてているという現在進行形のこの世の地獄であることを思うと、無関心でいることはできません。

南アフリカは、イスラエルをジェノサイド禁止条約違反で国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、今月の11日にハーグで最初の弁説を行いました。そして、その様子が世界中に配信されました。70年以上にわたってイスラエルがパレスティナを不法に占領し、パレスティナ人の土地や財産を略奪し、百万人に達するパレスティナ難民を生み出し、そして、今回、ガザの完全破壊とパレスティナ人虐殺を続行してきたという理不尽に、南アフリカに加え、アラブ50カ国はもとより、欧米以外の世界中の国が抗議の声を上げています。南アフリカはイスラエルをジェノサイド禁止条約違反で訴えましたが、今度はインドネシアが、イスラエルをパレスティナの不法占拠でICJへ提訴予定です。南アフリカ併合時代にアパルトヘイト政策で苦しんだナンビア、パキスタンによる支配を受けたバングラディシュ、南アメリカの数カ国も南アフリカのICJ提訴に賛同。そして、この裁判に直接関係していない国々もイスラエルのジェノサイドに抗議の意を表明してきております。チリとメキシコは国際刑事裁判所(International Criminal Court, ICC)にイスラエルの戦争犯罪を捜査するように要望書を提出。他国にあまり興味のない中国でさえガザ停戦を国際社会に訴えましたし、南アメリカのいくつかの国では、イスラエルの外交官を国外に追放しました。

対して、アメリカの金魚のフンのわが国は、バイデンの顔色を伺って、ダンマリ。イエメンのフーシはイスラエルに抗議し、イスラエルがジェノサイドをやめるまで、紅海からスエズを抜けてイスラエルに向かう船舶の航路を選択的に妨害していますが、それに対し、最近、アメリカとイギリスはイエメンを爆撃。バイデンはイエメンのフーシ派をテロリストと呼んだわけですが、これに対し、イエメン高官は「世界中で殺戮を繰り返し、広島、長崎で何十万人の人間を虐殺したテロの総元締めから、テロリスト認定されたのは光栄なことだ」と皮肉のコメント。今や、原爆も空襲も経験したことがないのがほとんどの日本人と思いますが、原爆を一般市民の住む街に投下し、街ごと吹き飛ばすという行為がどういうものであったかを、具体的に想像してみてもらいたいと思います。それに極めて近いことが現在、ガザで起こっております。国益優先でイスラエル寄りの多い北ヨーロッパ諸国の中では強くイスラエルを非難しているのはベルギーとアイルランド。アイルランドのEU会議議員、Clare Dalyは、イエメン爆撃を行ったアメリカとイギリス、そしてイスラエルのジェノサイドを間接的に支援しているEU諸国を強く非難しました。

かつてブッシュはイラクが大量破壊兵器を密かに造っていると一方的に宣言し、テロとの戦いと宣言してイラクに侵攻しました。大量破壊兵器が見つからないとなると、そのうち大義名分はいつしか、アラブに民主主義を確立するという名目に変わって、アメリカは相変わらずアラブ諸国で諍いを煽り、フセインを殺し、リビアを攻撃しカダフィを殺し、アラブの国々の人々の命と生活を破壊しながら、戦争ビジネスを続け、そして、今、バイデンはパレスティナの大量破壊を行うイスラエルの「子供殺し」を支援し続けています。イエメンや、欧米帝国主義の犠牲になってきたグローバルサウスと総称される国々から見れば、広島、長崎に原爆を落とし、朝鮮、ベトナム、イラン、イラク、と世界各国で争いに首を突っ込んで殺しまくってきたアメリカこそがテロ国家でしょう。4万人以上の民間人がアメリカに殺されたイラクでも、アメリカの偽善への怒りは沸騰しつつあるようで、週末には、アメリカのイラク国外への撤退を主張して、イラク国内のアメリカ軍基地を攻撃しました。

イスラエルは、冷戦時代、ソ連に支援されたアラブ政権に対抗するための西側諸国の手先であり、西側諸国はイスラエルを仲間と見てきました。今だに、建国前にユダヤとアラブの両方に甘言を語って中東を支配しようとしたイギリス、スエズ運河利権を共有するフランス、中東オイル利権のアメリカ、そしてドイツはイスラエル支援を崩していません。そうした西側の国々でも建前は人道主義、民主主義を掲げていますから、その市民の大半は、国益重視でイスラエルのジェノサイドを支援する彼らの政府には反対しており、欧米各地では政府に抗議する巨大なデモが行われております。ヨーロッパではドイツは明確にイスラエル支援を表明していますが、国民の6割はイスラエルのパレスティナ人虐殺に反対、イスラエル人でさえもイスラエル政府のジェノサイドを糾弾する人々は増えています。イスラエル人作家のMotti Lernerは、「自分は一万一千人の子供を殺すような国の市民ではありたくない、国民を守るためと言うが冗談だろう、正気ではない」と政府を非難。イスラエルではネタニヤフを弾劾罷免させようという動きも起こってきているようです。

そして、ここにきて、ハマス、ヒズボラを攻撃しているイスラエルが、シリアでの空爆を行い、新たに数人のイラン革命軍の将校を殺害しました。このことを受けて、イランもついに報復を口にし出しました。この地域のおいてはイスラエル-アメリカ-北ヨーロッパ(一部を除く)対 アラブ諸国間での対立が明らかに激化してきています。イランが動けば、ロシアも動く可能性が高まります。

ここにきて、バイデンも、さすがに来たる大統領選に向けて、パレスティナ問題に一定の解決の道筋をつけたいと望んだのか、ネタニヤフに対し二国共存を考えるよう要求。ま、どう考えても、それしか妥協案はないのですが、ネタニヤフは拒絶。ここまで国際社会を敵に回したネタニヤフですから、毒を喰らわば皿まで、パレスティナの完全掌握しか自分が生き延びる道はないと思っているのでしょう。そして、ここからは妄想ですが、仮にパレスティナ問題が落ち着いたとしても、バイデンはアメリカのコア バリューを踏み躙り、インフレを制御できず国民生活を守れなかった失敗者として、多分あと一年弱でホワイトハウスを去ることになり、そして、次の大統領は誰であっても、中東やウクライナからは手を引こうとするのではないでしょうか。もしイスラエルが中東で孤立無援状態に置かれても今のようにパレスティナの完全掌握を狙って破壊と虐殺を続けるのであれば、アラブ - ロシア連合軍による中東制圧の動きが加速し、今度はイスラエルが瓦礫の山となる可能性もあると思います。因果応報、盛者必衰、76年前、ナクバという災いを引き起こして建国したイスラエルという国は災いを受けて滅ぶことになるのかも知れません。そして、ロシアの中東介入があれば、米露は直接対決し、一気に第三次世界大戦へと進行、中国、インドは漁夫の利を狙って動かず、そして最後はアメリカの世界覇権が終了するのではないでしょうか。殺し合いながら国が興亡するのがこれまでの人間の歴史でした。しかし、人類もいつまでも殺し合っている場合ではありません。欧米帝国主義/資本主義の終焉はその第一歩であろうと思います。
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