百醜千拙草

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Mowing the lawn: Rafahへの攻撃

2024-02-13 | Weblog
先週、世界で話題になったのは、Tucker Carlsonがおこなったプーチンのインタビューでした。二時間以上にわたるインタビュー(というよりプーチンによるレクチャー)から、ロシアの歴史観を知るとともに、1990年のソ連崩壊時、冷戦の終結の条件であった「NATOは東進しない」という合意を、アメリカとNATOが故意に破ってきた結果が今回のウクライナへの侵攻に至っているという経緯を直接プーチンの口から聞けたことは良かったです。このタッカーのインタビューの様子に日本語字幕がついたものがTwitterにありましたので、貼り付けておきます。

タッカー カールソンはもともとアメリカ右翼/保守系メディアのFOX Newsのコメンテーターで、トランプ支持者でした。私はトランプという男の人間性が信用できないので、トランプを支持しようという気にはなりませんが、純粋に政治的なインパクトという点において、現在、次の大統領選で民主党がバイデン再選の方向、共和党のプライマリーで現在トランプが独走という状況をみると、ノーコンだが剛球を投げるピッチャーに期待するファンと同じく、現在の暗い世界情勢を打開する可能性があるのは、ヨボヨボで武器商人の手先のようなバイデンよりも、予測不能な行動をとるトランプの方だろうとは思います。もちろん、その予測不能さによって、現状をさらに悪い方向に向かわせる可能性も高いでしょう。いわば毒をもって毒を制すわけですが、そもそも毒であることを忘れてはなりません。アメリカがまともな良識のある国になるにはバーニー サンダースあたりが大統領になるしかないのでしょうが、強者の理論で動いているアメリカという国にあっては、その可能性は今のところありません。

さて、そのカールソンのプーチンへのインタビューは、プーチンから名指して批判されたボリス ジョンソンからだけでなく、欧米メインストリーム メディアから一斉にヒステリックな批判を受けました。その批判の多くは「プーチンは嘘を言っている」とか「プーチンの話を信用してはいけない」といった低レベルのものでした。多少でも冷戦終結時からの経過を知っている者にとっては、プーチンの話と欧米メディアの批判のどちらにより説得力があるのか比べるまでもありません。プーチンが自らアメリカとNATOとの関係、冷戦終結からウクライナに至るまでの経緯を述べた映像を世界に届けたという点でこのインタビューは意義が大きいと思います。

下でも引用するノーム チョムスキーはこのウクライナ-ロシア戦争が始まったころ、その帰趨について、二つのパターンしかない、つまりウクライナが完全に敗北するか(なぜならロシアの敗北はあり得ないから)か交渉による停戦のどちらかだ、と述べました。ウクライナを(軍事的に)支援するということは勝てない戦争を長引かせ、人々の犠牲を増やすことと引き換えにアメリカ軍産を儲けさせることです。そして、下のチョムスキーが述べているイスラエルの手口と、アメリカがロシアに対してやってきたことは強い相似性があると思わざるを得ません。

以下はカールソンのプーチンのインタビュー動画で、Twitterの投稿された日本語字幕付きのものとオリジナルのYoutube映像です。

さて、ガザでのイスラエルによるジェノサイドの話ですが、イスラエルはついにラファを攻撃すると宣言しました。もうこれは、悪魔の所業としか言いようがありません。エジプトとの国境付近のラファはガザのパレスティナ人の最後の避難所でした。イスラエルは最初はガザ北部のハマスを攻撃すると言って、動ける住民を南部へ誘導し、動けない病人や住人を無差別爆弾によって殺害、その後、最も人口の多かった北部の居住区を破壊し人が住めないようにしてから、まるで、南部へ避難した人々を狙うかのように南部へ攻撃を拡大し、そして、残った100万人以上の難民をラファに集めてから、ネタニヤフはラファを攻撃すると宣言したのです。

この汚いイスラエルのやり方は彼らの定石のようです。これは上に述べたように、プーチンが述べた西側のやり方、つまり約束を意図的に破ってNATOの東進を進め、マッチポンプの危機を煽り、戦争ビジネスで儲けてきたプロセスと類似しています。シオニスト政権のイスラエルの思惑はカネというよりはパレスティナの土地を盗み取り、そこからパレスティナ人を追い出し、完全に我がものとすることで、それに協力する欧米の思惑は、イスラエルを使って、中東での立場を有利にして戦争やオイルや物流でカネ儲けをすることであろうとは思われます。

このブログでも何度も取り上げたアメリカ構造言語学の祖でありアクティビストでもあるノーム チョムスキーの2018年のパレスティナ-イスラエルの問題についてのインタビューの切り抜き動画をTwitterで見つけました。六年前の彼の目には今日起こっていることが、手にとるように見えていたのでしょう。現在、ラファで行われていることはまさに最終段階の「芝刈り」です。

2018年3月18日、アリゾナ大学におけるノーム・チョムスキー博士とジョン・ハース教授との対談より。
2005年以降の標準手順:
- 停戦協定が成立する
-ハマスはそれに忠実に行動する
- イスラエルは違反する
- イスラエルは違反行為をエスカレートさせ、
- ハマスの反応を誘発することで次の段階、すなわち、イスラエルが呼ぶところの「芝刈り」へのお膳立てをする。
-… https://t.co/6NXFGpxbd4 pic.twitter.com/t9Preruykk
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