百醜千拙草

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宗教と科学 (1)

2024-02-06 | Weblog
今回、イスラエルはハマスを攻撃するという名目で、ガザのあらゆる場所に爆弾を落とし、住民を虐殺し、ビルを破壊してきました。しかし、やり方を見れば、ハマスをターゲットにしているのではなく、ガザ全体の破壊を目的としているのは明らかです。加えて、病院や大学、モスクといった建造物を破壊し、ガザにある文化拠点を消滅させ、水道施設にセメントを注入し生活インフラを潰し、かつ、空き家になったパレスティナ人民家には放火し、今回の攻撃が終わったとしても、元に住んでいた住民が戻って来れないようにしてきました。これはネタニヤフが主張してきた「自衛」と強弁できる行為ではなく、ガザの住民の土地を奪い、パレスティナ人殺し、ガザから追い出して、ガザをイスラエルが完全掌握するためにおこなっていることです。

建国以来、イスラエルはパレスティナ住民の土地の略奪と強引なユダヤ人入植によって力づくで領土を拡大してきました。今はハマスを口実に現在はガザのパレスティナ人の追放に主力を使っていますが、ファタハが治めるウエストバンクでもイスラエル人による力づくでの入植は続いてきました。そして、イスラエル入植者によるパレスティナのモスクや民家への放火は今に始まったことではありません。この犯罪をいくら訴えても、自治区を管轄するイスラエル政府は見て見ぬふりをし、イスラエル入植者の犯罪を見逃してきたのでした。

神が約束したパレスティナの土地をユダヤ人だけのものとする、そのシオニスト政権の目標に加えて、大掛かりで組織的なヘイト クライムとも言えるイスラエルのパレスティナへの仕打ちに、怒りが収まることはありません。しかし、これは、特に選民思想の強い差別主義者の支持を得るためにイスラエル政府がわざわざ煽っているという話もあるそうです。つまり、それだけシオニスト政権によるプロパガンダは成功しているということです。

そう思えば、日本でも人種差別やヘイトを撒き散らし、人々の顰蹙を買いつづける自民党女性議員がおります。これも、単なる炎上商法の売名行為ではなく、差別的で挑発的な言動を喜ぶ醜くも愚かな国民が一定数いて、自民党が彼らの票を掬い取るために意図的にやっている可能性もあると思われます。例えて言うなら、肥溜めに落ちている票を糞にまみれて拾いに行くようなものですかね。根性だけは立派と言えないこともないですし、どうも本人は糞まみれになるのを誇りにさえ思っているようですけど、その糞を世間に撒き散らかさないで欲しいものです。私なら、たった一度の人生を糞まみれで終わるなんてごめんですね。

話がそれました。イスラエルのこれまでのパレスティナ人の虐殺、略奪、弾圧を正当化するのは普通の知性を持っている人には困難です。気の滅入る話は、イスラエル人の6割はシオニスト政権が垂れ流すプロパガンダに洗脳され、イスラエル政府と軍がおこなっているジェノサイドは正しいこと(あるいは、やむをないこと)であると考えているということです。これは知識や知性の欠如ではなく、高学歴な人が、陰謀論にハマり込み、統一教会やオウムの「教義」を信じてしまうのと同じように、「信仰(という洗脳)」に係る厄介な問題ということです。それは論理的思考や方法的懐疑という手段を通じて理性によって物事を客観的に理解しようとする科学的アプローチと別次元の、いわば「宗教」の問題です。「神は正しく、神の命令に人はしたがうべきだ」という言説に科学的根拠はありません。しかし、信仰深い人はそれに疑義を挟みません。人は自分の信念というものにはしばしば無自覚なもので、その前提を疑ってみることは難しく、信念の部分に認識の差があった場合に両者が理解し合うのは困難です。信仰や感情は理性よりも強力であり、ゆえに、アメリカでは3割近くの人が、世界の成り立ちについて、客観的根拠はなくても「世界は神によって七日で創られた」と信じているのでしょう。ここにいわゆる「宗教と科学」の対立があります。感情と理性の対立と言っても良いかもしれません。

イスラエルにおいて、これらの国家ぐるみのプロパガンダで染まった人々を脱洗脳するのは非常に困難です。(ちなみに日本では、政権やスポンサー企業がメディアや新聞に圧力をかけて権力側に都合のよいように世論誘導している現状を打開すべく、昨年、弁護士など50人の市民グループが共同でテレビ朝日の株を5千万円取得し、株主総会で公平公正な報道をするような提案をしていく、とのニュース。日本において権力を監視すべきメディアが権力の手下となっているということを意識している国民は少数派ではないでしょうか)

自己利益のためにイスラエルのガザ虐殺を支援してきたのが欧米で、事実、ガザに落とされたイスラエルの大量の爆弾の半分はアメリカ製でした。二期目の大統領選に臨むバイデンにとって、武器商人の手先とか殺し屋とか「Butcher Biden」と呼ばれ続けるのは、さすがに避けたいと思ったのでしょう、ここへきて、パレスティナ人民家に放火したウエストバンクのイスラエル入植者に対して制裁することを表明。これまで散々、ガザのパレスティナ人虐殺に手を貸してきたくせに、ウエストバンクでは突然イスラエル批判。思うに、これまでで十分商売できたので、これからイスラエルのハードコア支持からはソフトに撤退しようとでも考えているのかもしれません。しかし、もうヨボヨボで支持も低いバイデン、二期目はいずれにしても無理でしょう。ま、いずれにしてもアメリカがパレスティナ自治区のイスラエルに制裁するとか、今回イエメンに激しく攻撃を加えるとか、ほんとにこの国は何様のつもりなのでしょうか。というか、ヨーロッパ帝国主義を引き継いだのが前世紀のアメリカであって、今だにアメリカはその原理で動いております。日本での統一教会同様、そのアメリカの中枢に手を突っ込んでいるのがシオニストであるのはよく知られている話です。統一教会が日本の政策に口を出しているのと同様、アメリカでは、イスラエル支持を表明しないとビジネスができないというような驚くべき州法が多くの州で存在します。全世界に数千万人いるといわれるユダヤ人の4割はアメリカに住んでおり、彼らはアメリカではマイノリティーでありながら、多くのユダヤ人が何らかの権力をもつ立場についておりますから、アメリカは第二のユダヤ国家と言っても誇張ではないかもしれません。

私がネタニヤフを狂人と呼ぶのは、彼の言動や行動が私や現代世界の多くの人々が共有する倫理観と全くそぐわないからですが、もともとユダヤ教の原点である旧約聖書の記述を文字通りに読めば、ネタニヤフは一種のカルトに洗脳された信者であると言えなくもないかもしれません。聖書にあるように、ユダヤ人はイスラエルの神によって選ばれた民族で、神の命令に従って、他民族を殺しその土地を奪うのが正しいことであると本気で信じているのかもしれません。

聖書のヨシュア記は、ヨルダン川を渡りパレスティナの地に入ったイスラエル人たちのパレスティナ侵略の話です。イスラエルの神は、パレスティナの原住民を殺戮し、略奪するように命じ、そして「イスラエル人にその戦争に勝たせてやったのは私で、イスラエル人が開いて作ったのではない土地や街や畑や食べ物を略奪によってイスラエル人に与えのは私であるから、私(主)を恐れ、イスラエル人の先祖が川の向こうやエジプトで使えた他の神々を除きさって私に支えなさい」と言うのです。

興味深いのはイスラエルの神は自分以外に神がいるということを認めているらしいことでしょう。しかるに、西洋の宗教は一神教であり、ただ一つの神を信じるわけですから、他の神をイスラエル人は認めず、よって、自分の神が唯一最高の神であり、その神に選ばれたのがイスラエル人であるというトートロジー的解釈によって、シオニストはカルト化したのではないかと想像します。

前置きを書いているあいだに長くなってしまいましたので、続きはまた今度にします。
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