コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

「刺客」は刺客なのか?

2005-08-22 | 国政選挙SP
自民党が郵政法案に反対した”前自民党所属議員”の選挙区へ、次々と候補者を立てています。これを、マスコミはこぞって「刺客」と読んでいますが、はたして本当に「刺客」なんでしょうか?

辞書で「刺客」を調べてみると、次のような意味が出てきました。

(大辞泉)暗殺する人。暗殺者。しきゃく。
(大辞林)暗殺をする人。しきゃく。せっかく。

(cf.)
暗殺:(主に政治的な理由で要人を)ひそかにねらって殺すこと。


この意味に照らし合わせると、とりあえず、今回の「刺客」と呼ばれている人たちは、堂々と立候補していますし、公表もしていますし、むしろ積極的にマスコミ露出を高めていますので、すくなくとも「ひそかにねらって」いるわけではありませんね。ということは「刺客」とはいえないということになってしまいます。

そもそも、今回の場合、自民党は(事情はどうにせよ)「郵政民営化」を掲げていた小泉氏を多数の意見にて「組織として選択している」わけですから、小泉氏が総裁を罷免・解任でもされない限り、郵政民営化に関して「明確に反対した」人が今の自民党から公認されないのはアタリマエのことです。(自民党を誰よりも愛しているかどうかなんということは、全く持って関係ありません。)

ここで、自民党としては、選挙に勝つ確率は最大限高めたいわけですから、当然「全選挙区に公認候補を立てる」ということを目指します。郵政法案に反対した前議員の選挙区は、「現時点で公認候補がいない選挙区」となりますので、「だれか公認候補を立てる」という行動をとるのは当然です。ここでは、あくまで「公認候補の有無」のみが自民党の行動選択基準となり、反対派議員がいるかどうか、別の党の対立候補がいるかどうか等といったことは、もはや関係がないのです。

繰り返しになりますが、現時点で自民党がとる「合理的な行動」は「全ての公認候補を立てて、最多得票を得られるように努力する」ことです。その意味では、自民党は極めて「合理的」な行動をとっていますし、反対派議員のいる小選挙区で公認候補とされた人たちは、刺客でもなんでもない、あくまでも「一人の自民党公認候補」に過ぎないのです。

なお、各選挙区の候補者として地元ゆかりの人が良いのか、そうでなくても構わないのかはは、別の問題です。これについては、また別途考えていきたいと思います。

衆院選とは、すなわち「国民の意思表示」です。その結果は、良くも悪くも「向こう数年の国の向かう道筋」が決まります。つい「マスコミの報道演出」に目が行ってしまいがちですが、目先の派手さにとらわれず、「これはどういうことなのか?」ということを真剣に見極める必要があると、私は考えます。

ポッカがゴーイングプライベート

2005-08-22 | 経営実務
本日22日、名古屋市飲料大手のポッカコーポレーションが、「マネジメント・バイ・アウト(MBO)=経営陣による自社株買収」とこれに伴うTOB(株式公開買付)の実施を発表しました。

詳細については同社ホームページ
http://www.pokka.co.jp/
をご覧頂きたいと思いますが、このMBOが成立すると、同社は11月下旬をメドに上場廃止となるとのことです。MBOによるいわゆる「ゴーイング・プライベート(株式の非公開化)」は、7月に発表されたアパレル大手のワールドに続き2例目です。

このゴーイングプライベートの動きについて、両社は以下のようにそのねらいを述べています(TOB賛同表明に関するIR資料より引用)
【ワールド】
経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な経営戦略や施策を短期的な業績の変動に左右されることなく迅速に遂行する体制を整備するとともに、さらに自己責任を明確にした経営体制への転換を図る

【ポッカ】
短期的な業績の波にとらわれず、迅速に遂行する体制を整備するとともに、自己責任を一層明確にした経営体制への転換を図る


ご覧になって分かるとおり、両社とも非常に似たような発表となっております。

単純にみると、「株式公開による資金調達力(直接金融)の拡大」よりも、「MBOによる資本と経営の一体化」がもたらす迅速性・機動性を選択したということとになるでしょうか?いずれにせよ、この動きはもうしばらく続きそうな予感がします。