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政策分析 ~ 民主党(1)

2005-08-17 | 国政選挙SP
お盆をはさみ、「刺客」やら「新党」やらと、政局は相変らず活発な動きを見せていますが、そんな中、各政党からマニフェストや政策が提示されてきています。本blogでは各党の政策を「大きな政府」か「小さな政府」かを中心に分析して行きたいと思います。まずは、早々にマニフェストを提示した民主党からです。

分析に当っての基本的な考え方


まず分析に先立ち、必要な言葉の定義と分析の対象範囲を示します。はじめに、分析に当っての用語の定義(ネタモト帳版)です。
◆大きな政府
租税による「富の再配分機能」を積極的に活用するなど政府の権能を大きく保ち、社会福祉を充実させる考え方。 次に該当する政策は「大きな政府」志向の政策とする。
・社会保障の充実(社会保険、各種手当、所得控除等の拡大)
・政府による規制・制限の強化(規制・制限とは、個人や法人格、団体等に対して「しなくてはならない」「してはならない」として機能するもの)
・官業の拡大・民から官の移転(公務員の人数拡大を伴うものを含む)

◆小さな政府
租税による「富の再配分機能」の活用を押さえる等政府の権能をできるだけ小さくし、所得に代表される個人間の格差を是とする考え方。 次に該当する政策は「小さな政府」志向の政策とする。
・社会保障の削減(社会保険、各種手当、所得控除等の縮小)
・政府による規制・制限の緩和
・官業の縮小・官から民への移転(公務員の人数削減を伴うものを含む)

また、以下に該当する政策は分析の対象外とします。
・「ムダの削減」(ムダをなくすのは当然の働きであり、単独では現状から大小のいずれにシフトさせようとしているか不明なため)
・「異常な状態の改善/正常化」(今が以上かどうかは立脚点によるため。大小の方向性が明確であれば、分析対象とすることもある)

次に、分析の対象とする「政策」の範囲です。各党が様々な文書・資料で政策を発表していますが、ここでは、各政党の公式資料として出された以下の文書を「政策」として分析します。
・いわゆる「マニフェスト」(総論及び各論)及びこれらに順ずるもの
・主要支持団体との政策に関する合意文書(政策協定など)
※分析の順番は過去に出されたものからとする。


また、今回は「大きな政府」「小さな政府」のいずれを志向するかという視点にて分析を行いますので、外交政策については分析の対象外とします。
(私自身、外交政策についての基本となる論点が頭の中で整理できておりません。どなたか良いサイトがありましたらご紹介頂ければ幸いです。)

なお、繰り返しになりますが、この分析はあくまでも私の私見として、各政党の政策を「上記の基準に基づいて」大きな政府か小さな政府かを分類したものにすぎません。これらの分析が、政策の是非を評価しているものではないことをご了承願います。

最近、「小さな政府」がよいという話が良く出ていますが、これは小さな政府という言葉が「ムダのない政府」と混同して用いられているように感じます。 あくまでも小さな政府とは「政府の権能をできるだけ小さく設定する=規制や再配分機能をできるだけ少なくする政府」ということです。

「大きな政府」はいわゆる北欧に代表される地域にて実現され、一定の成功を収めていますし、「小さな政府」についても、米国にて成功を見ています。大小のいずれも、あくまでも国家全体のバランスとしてどうするかを考えるものに過ぎず、それ自体が優劣を決するものではないことにご注意ください。

民主党の政策分析(1)「民主党と連合の政策協定」


さて、ではホームページ上で最初にマニフェストを公開した民主党の政策から分析します。

まずはじめは、民主党の最大支持団体である連合と交わした政策協定です。この政策協定で掲げられている「重点的に取り組む」課題を「大・小」に分析すると以下の通りとなります。

◆「大きな政府」志向と判断される政策
  • 国民、特に雇用労働者を標的に安易に税負担増を強いるのではなく、積極的に財政構造改革をはかるとともに、税制における所得再配分機能を強化し、不公平と格差を是正する税制改革を実現する。(1)
  • 年金制度改革にあたっては、基礎年金の税方式化や保険料率15%以内での制度設計など、2004年と2005年に民主党と連合で確認した事項に沿って対応する。(2-1)
  • 医療提供体制の整備と新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度を改革する(2-2)
  • 「社会保障基金」の創設など、労使が参画し、国民の納得のいく制度を確立する。(2-3)
  • 全ての雇用労働者への社会保険の完全適用をはかる。(2-5) 均等待遇実現のための「パートタイム労働法」の制定をはじめ、最低賃金制度の機能拡充や最低賃金水準の大幅な引き上げ、不払い残業の撲滅など、ワークルールを強化する。(3)
  • 中小企業・地場産業に対する経営コンサルティングや資金繰り対策などを支援・拡充し、中小企業に焦点を当てた地域経済の活性化に資する政策を強化する。(5)


◆「小さな政府」志向と判断される政策
なし

◆いずれにも判断できない政策
患者・利用者の立場に立った診療報酬・介護報酬の改定を実現する(2-4)

上記の通り、この政策協定に掲げられている「重点的に取り組む」課題については、ほとんどが「大きな政府」を志向しています。

民主党については、この他に「岡田政権500日プラン」と「2005年 衆議院選挙マニフェスト 政策各論」が提示されています。この2つについては明日のblogにて分析をご紹介します。

なお、民主党の政策の原文についてはhttp://www.dpj.or.jp/ からご覧ください。

オマケ・・・「干からびた高級チーズ」


さて、オマケネタ。衆院解散直前のごにょごにょとした動きの中で、首相との打ち合わせのために官邸に出向いた某M元首相が、会談後にえらく怒っていたのを覚えてますでしょうか?解散回避に向けた会談が不調に終わったのもあるのでしょうが、缶ビールと乾き物しか出なかったこの会談に、「こんな干からびたチーズ出しやがって・・・」とぼやいていたのがある意味印象的でした(なんだかな~、という意味で、です)。

すっかり頭の片隅に行っていたこの話題ですが、今日になって、突如新聞のネタに復活しました。というのも、このチーズの余談話が現れたからなのです。
なんでも、くだんの「干からびたチーズ」、実は「ミモレット」というフランスの高級チーズだったのではないかという話。「ミモレット」は熟成すると硬くなる性質で、硬ければ硬いほど品質が高いとのこと。先の「干からびたチーズ」が本当に「ミモレット」だったどうかは分かりませんが、いずれにせよ、あまりいちゃもんをつけるもんではないですね。

もしかしたら、小泉首相は”知っていた”んじゃないでしょうか?あくまでも勝手な推測ですけれど・・・。あれほど口に苦労したM氏ですが、まだ懲りてないんだなぁ、と感じた今日の記事でした。

期限切れのポイントカード

2005-08-17 | マーケティング
今年のお盆は、土日が絡んでしまって”長期連休”という感じではありませんでした。私は仕事の関係で普通にカレンダーどおり仕事しておりました。とはいっても、お盆ですので、土・日ぐらいはしっかり休みを頂きました。

日本のお盆といえば「親族の集まり」です。私も相方の家の集まり(とはいっても、相方家族+相方のお姉さん一家の二家族ですけれども・・・)にお呼ばれし、一緒に食事を頂くことになりました。最近は、大勢集まるときには近くの回転寿司屋さんから「持ち帰りのお寿司」を頼むのが定番となっていましたので、今回もそれに習って、いつものように注文しました。(今はFAX注文できるので便利ですね。)

さて、当日、お寿司を取りに行ったとき、おすし屋さんの入り口にある張り紙がありました。梁が美奈はこれまで行ってきたポイントカードサービスを終了すること、また、これに伴って、ポイントカードは満点になっていなくても点数に応じて割引してくれることの案内がありました。この回転寿司屋さんは普段から時々行くお店だったので、そういえばポイントカードがあったな・・・と確認してみると、4分の1ほど溜まったカードに加え、満タンにポイントが溜まったカードが1枚出てきました。ただ、この満タンカード、期限が切れてしまっていたのです。

普通なら、「せっかく集まった」のに残念だなぁとあきらめます。ただ、この日都合10人分(実際には20人前近く)のまとまった量を頼んでいました。そこで、「どうせダメなら・・・」と店員さんに「これ、使えないですか?」と期限切れの満タンカードを見せてみました。

店員さんは見るからにアルバイトです。普通なら「できません」と断ると思いますし、実際、最初は「ごめんなさい、使えません」との返事がありました。私も普段ならここであきらめるのですが、なんとなくその日は、「たくさん買っているし,なんとかならない?」と無理を承知でちょっと押してみました。すると、その店員さん、なんと「分かりました」と応じてくれたのです!これには頼んだ私の方が非常にびっくりしてしまい、思わず、「え、本当にいいの?」と確認してしまいました。すると、その店員さんは「今日だけ特別ですよ~。」と軽く受けてくれたのです。おかげで、私たちは実質1割引でおいしいお寿司を頂くことができました。

お客であるこちら側は「多分無理だろうな・・・」と引け目を感じています。そんなとき、お店がその「無理」を通してあげられれば、それはお客様への「サプライズ」となります。すると、お客様は非常に感激し、ある種の「負い目」のような感覚を感じます。これが、このお店や店員さんへの「感謝」の気持ちとなり、お客様の中で「また来なきゃ」という原動力になるのです。

この店員さんはレジを任せられていることから、このお店ではある程度の経験を持った人だったのでしょう。お店のマネジメントの面から本来であれば、店長に話しを通して判断を仰ぐことも必要だという考え方も可能です。しかし、その場ですぐに”サプライズな”判断をしたことが、お客様から「ありがとう」につながり、お店の「ファン=NextOneのお客様」を獲得することができたのです。

たとえ期限が切れていたとしても、お客様が持って来たポイントカードは「今までお店に通ってくれたお客様」の証であることに変わりはありません。期限切れのポイントカードを「期限切れ」と断るとは簡単なことですが、「今までお店に通ってくれた大切なお客様」に対してどのように接し応えていくのか、真正面から考えるだけの価値がのあるシチュエーションであると、私は考えます。