つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

井上荒野「切羽へ」/小説、離島の恋愛小説 書かれない上品(山田詠美)

2019-11-29 23:05:16 | 本の感想/読書日記

のんびり本を読んだ。今月は読書量が少ないから読むとくつろぐというよりも、「ああ本を読んでなかったんだな」という本に対する飢餓感が湧いてきた。
少し何かを食べるとお腹が空いていたのに気づく、あんな感じ。もっと素直に楽しみたいのに~~~。

先だって読んだ本の感想。井上荒野さんの小説「切羽へ」(新潮文庫)を読んだ。直木賞受賞作品です。

切羽へ (新潮文庫)
井上 荒野
新潮社

井上荒野さんの小説を読むのは初めて。荒野は「あれの」さんと読み、特にペンネームではないみたい。そして小説のタイトル「切羽」は「きりは」と読む。

切羽とは、鉱山や炭鉱で掘り進めているトンネルの一番先頭とのこと。初めて知った言葉だな。

物語の舞台はかつて炭鉱で栄えた島。主人公の女性は島にある小学校で保健の先生をしていて、画家の夫と二人暮らし。
その島にある日若い男性教諭がやってきて、主人公が秘められた恋心を抱くというのが小説の大筋。主人公との間には特に恋愛は起こらない。その男性教諭に対する主人公の心のひだ、恋心が綴られている。

 

本当に惹かれているか、小説を読んでいる読者にすらわかりにくい淡い、あるいは秘められた恋心。読み終えて、山田詠美さんによる「解説」を読んで、恋愛小説だと気づいたくらいだった。

ちなみに山田詠美さんによると、この小説のように書かないことによって表現することを「上品」というらしい。

そうなのかもしれない。けど、井上荒野さんの小説を読むのが初めてだったからかもしれないけれど、あたしにはハテナな不思議なことのほうが多かったな。

・・・おそらく画家の夫が気になっていたからというのもある。夫、気になる。離島で絵を描いていて、それで生活が成り立っている。絵を誰かに教えたりもしない。個展のために上京するけれど、その滞在費、交通費も画商が喜んで出している様子。

相当の売れっ子!!だとおもう。もう少し夫のこと書いてくれてもいいとおもうのよね。自分が絵を描いていることもあり、気になるー。

ひとついえるのは、井上荒野さんのような小説を読んだのは初めてな気がしていて、とても新鮮だった。だから著者ならではの空気感を味わうためにほかの著作も読んでみたい。

小説家っていっぱいいるね。読んだことのない小説家があまりにも多いなあ。


ではまた


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